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参議院の調査室に調査依頼→各国の通貨発行の仕組みと通貨発行量の国際監視制度の有無について

(2020年7月22日追記 参議院調査室の行う調査は、各議員の調査依頼に沿うものであり、調査結果については参議院調査室の見解ではありません。ここで公表している内容は、調査室に調査いただいたことではありますが、あくまで立法調査活動の「補佐」いただいたものであり、私の責任のもとの調査結果として公表させていただくものです。)

国会の衆議院・参議院ともに、それぞれの議員を調査面でお手伝いしてくれる調査室という機関?があります。

国会キーワード 参議院の調査室(PDF)

衆参両院には、議員活動全般を調査面で補佐するため、それぞれ「調査室」が置かれています。

(中略)

調査業務の一端を紹介すれば、例えば、議案審査では、議員立法を起草するための調査、付託された法律案の提案理由・問題点・利害得失等に係る調査、参考資料の作成、決議や審査報告書・調査報告書の原案作成等を行っています。また、委員派遣等により国内外の行政現場等を視察する際には、日程案を調整した上で、現地に赴く議員に随行し、報告書の原案作成等を行います。さらに、国会議員や議員秘書の方々からの依頼に応じ、法律案等の論点整理、政策課題の問題分析、各種公表資料の収集・分析を行い、議員が本会議や委員会等において質疑・討論等を行う際の準備作業を補佐するなどしています。

これまで調査室には幾度となくお世話になってきました。調査内容については、PDFファイルやワードファイルなど、電子データでいただけるのがありがたいです。

さて先月、私のもとに表題のように各国の通貨発行の仕組みとそれを監視する仕組みなどに関する質問をいただきました。質問内容は参議院の調査室に調査を依頼することにしました。

※参考までに関連するような動画を紹介します↓。

そしてその後、この調査結果・回答が届きました。せっかくなので共有しておこうと思い、記事にして紹介させてもらいます。質問は以下の通り、大きく3つです。

(1)各国が通貨発行をする場合、その発行量は国際機関のような第三者的・中立の機関で監視されているのでしょうか? 監視している場合、その機関名と構成、委員の選任はどのようになっているのでしょうか?
もし国際的な機関による監視がない場合、どうやって各国の通貨発行量(または紙幣の量)を相互に国際間で知ることができるのでしょうか?

調査室による回答

→ 自国通貨に対する国家の主権(通貨主権)は、国際法上、伝統的に承認されており、通貨の発行もその一つに該当します(資料1)。通貨主権は、ユーロ参加国が通貨政策の権能を欧州中央銀行に移譲していたり、G7やG20などにおける国際協調(資料2 島村髙嘉・中島真志『金融読本[第28版]』(東洋経済新報社、2011年)のp.300)といった例外はあるものの、原則として他の国家等によって制約されるものではないと考えられています。
国際機関による監視については、国際通貨基金(IMF)によるサーベイランス(政策監視)が挙げられます。IMFは、2020年4月時点で189か国が参加する国際機関であり、国際条約であるIMF協定の規定を根拠として、各国の為替政策について必要な情報提供を加盟国に求めることができ、これに基づき、全加盟国のマクロ経済運営等について協議、政策提言を行っています(資料3 岡村健司編『国際金融危機とIMF』(大蔵財務協会、2009年)のp.300)。IMFが収集した情報は、データベース(https://data.imf.org/?sk=B83F71E8-61E3-4CF1-8CF3-6D7FE04D0930)として取りまとめられ、その中で、通貨発行量(マネタリーベース)ではなく通貨流通量(マネーストック)となりますが、各国の情報が公表されています。

「国際通貨基金」という名の通り、IMFが世界各国の通貨発行に関して管理的な立場にあるようですが、通貨主権は原則として各国が持っているとのことです。

(2)他国にわからないように通貨発行をすることは可能でしょうか? 例えば中国政府が人民元を発行しまくって、それを使って政府主体事業の支払いをしたり、外国の不動産(土地やビル)、企業を買収することは実際に可能でしょうか?

調査室による回答

→ 当室が調べた限りでは、他国に分からないように大量の通貨を発行した事例は見つけられませんでした。一般論としては、閉鎖的な経済体制を採っていない限り、大量の通貨を発行した場合、物価、賃金水準を始めとする様々な経済指標に影響が出ることが予想されることに加え、外国の企業等を買収しようとする場合、買収先の国の為替管理制度などの規制を受けるため、外国の当局に気づかれないように通貨を発行して政府事業への支出や外国企業の買収などを行うことは非常に困難であると考えます。
以下、参考情報となりますが、政府の財政支出に充てるために自国通貨を大量に発行していた事例として、近年ではジンバブエが挙げられます。同国では、かつてはジンバブエドルを自国通貨として使用していたものの、巨額の財政赤字を中央銀行によるファイナンスで埋め合わせしようとした結果、ハイパーインフレが生じ経済が混乱したため、自国通貨を廃止し、他国通貨を法定通貨とすることとなりました(資料4 『週刊ダイヤモンド』(2019年9月7日号) 東短リサーチ代表取締役社長 加藤出のp.21)。同国が他国に分からないように自国通貨を発行していたかは定かではありませんが、強制的な価格統制策を行ったなどの結果、当局が公表したインフレ率と、経済学者が試算した実質上のインフレ率に大きな乖離が生じたことも指摘されています(資料5)。

外国に気づかれないようにして通貨を発行して外国の企業を買収しようとするのは困難だ、とありますが、かの国はそういうことを平気でやりそうであり(現にやっているのでは?)、この返答は個人的にはいまいちわかりかねます。異論があれば受け付けます。

(3)国際為替レート(通貨の交換レート)はどのように決まるのでしょうか? 上記(2)の場合、通貨発行量がまともに計測されてない場合、為替レートが意味をなさない仕組みとなる可能性はありますでしょうか?

調査室による回答

→ 世界の為替相場制度は、変動相場制と固定相場制に大別されます。
変動相場制の場合、国際為替レートは通貨の需要と供給が均衡する価格として決定されます。一般的に、通貨の需要と供給は、主にGDP、経常収支、物価などの経済の基本的な動き(ファンダメンタルズ)によって決定されると考えられており(資料6 有吉章編『図説国際金融』(財経詳報社、2003年)のp.114)、通貨発行量はそのファンダメンタルズの一つとして位置付けられています(資料7)。
固定相場制の場合、自国通貨を米ドルに固定する「ドル・ペッグ制」や複数通貨で構成される通貨バスケットに基づき固定する「通貨バスケット制」など様々な決定方式があります(資料8 島村髙嘉・中島真志『金融読本[第28版]』(東洋経済新報社、2011年)のp.298)。
通貨発行量と為替レートの関係について実証的に分析したものは多くありませんが、米国が非伝統的金融政策を採用した2008年以降、日本円・米ドル間の国際為替レートの変化において日米間のマネタリーベース比が大きく寄与していると分析しているもの(資料9)、両者に相関関係が見られると分析しているもの(資料10 ニッセイ基礎研究所 年金ストラテジー (Vol.210) December 2013 )が見つかりました。
なお、通貨発行量が適切に計測されていないことと国際為替レートの仕組みとの関係については、分析している資料が見当たらず、確定的に回答することは困難ですが、変動相場制、固定相場制いずれの場合においても、通貨への信認が大きく損なわれ、何らかの影響が生じる可能性は否定できません。

おそらくですが、質問者の知りたいことは別にあって、その回答は次のリンクになるのではと思いました。

外国為替市場ってどこにあるの?

電子ブローキング

コンピューターが仲介して売買します。仲介手数料が安く、人間と比べてミスもないため今では為替ブローカーより電子ブローキングの比重が高まっています。

勉強してみると色々と面白いですが、まだまだ分かったような分からないような感覚が残っていることは正直に白状させていただきます。

時間が許せば、このような面白そうな本↓を読んでみようと思います。

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