今回は労働基準法の大改正の予定について。
まずはざっくりと、規制強化なのか?規制緩和なのか?について。
基本的には**「規制強化がメイン」**です。
- 残業時間の上限引き下げ、情報開示義務、勤務間インターバル、休日連絡NG、「名ばかり管理職」是正、偽装フリーランス保護…などは明確に締め付け強化。
- 一方で、副業での労働時間通算の見直しや裁量労働制の使いやすさ向上など、一部だけ緩和寄りの案が混ざっている、というイメージです。
ざっくり言えば、**「長時間労働と休日拘束には厳しく、働き方の選択肢にはやや緩く」**という方向性ですね。
X上での解説ポストを紹介します。
【法律改正】衝撃!40年ぶり大変革!労働基準法改正の要点
1. 「偽装フリーランス」リスクの顕在化による二極化
2. 「勤務間インターバル」と「つながらない権利」によるビジネス速度の低下
3. 「副業」の労働時間通算見直しの行方
4. 中小企業の淘汰とM&Aの加速コメント欄で詳述 pic.twitter.com/aacB0rQ7k5
— aRenaSta(技術士なちほ) (@2a1Re5naS1ta6) November 25, 2025
「偽装フリーランス」リスクの顕在化による二極化
リスク予測⇒
「フリーランス保護」の流れは不可逆です。曖昧な契約でフリーランスを使っている企業は、将来的に未払い残業代や社会保険料の遡及請求を受ける確率が極めて高くなります。 pic.twitter.com/sabyLyb8eG— aRenaSta(技術士なちほ) (@2a1Re5naS1ta6) November 25, 2025
「副業」の労働時間通算見直しの行方
リスク予測⇒「労使対立」があげられます。労働時間の通算(A社+B社で8時間を超えたら割増)が維持される限り、企業はリスク回避で副業を許可しない可能性が高まります。 pic.twitter.com/HD1jM4Dlm6— aRenaSta(技術士なちほ) (@2a1Re5naS1ta6) November 25, 2025
気持ちが追い付かないと思いますが、一旦自社の状況チェックをしてください。
これによってリスクの所在が明確になります。
企業の意識改革が必要な範囲でもあるため、早めに準備をして円滑な対応が功を奏すと考えられます。
これらの内容が役に立ったら『いいね』や『フォロー』をお願いします! pic.twitter.com/LurNDOPfEB— aRenaSta(技術士なちほ) (@2a1Re5naS1ta6) November 25, 2025
現時点で、国民の賛否の傾向ははっきりしないように思います。
人気YouTuber、オタク会計士ch山田真哉さんの解説動画を紹介します。
内容を端的にまとめると次のようになります。
偽装フリーランス保護・残業規制強化・休日連絡NG・勤務間インターバル導入などを柱に、2026年の労基法大改正で“長時間労働前提の働かせ方”が全面的に見直される見込み。
要約は以下の通り。
この動画は、「2026年に予定されている労働基準法の大改正」(まだ“検討中”の内容)について、会社員・フリーランス・経営者それぞれにどんな影響が出そうかを、20項目に分けて整理した解説です。
ざっくり言うと、長時間労働の是正+健康確保+働き方の多様化(テレワーク・副業)+偽装フリーランスの保護
を柱に、40年ぶりの大きな見直しが進んでいる、という話です。(内藤一水社)
以下、内容を細かめに整理します。
1.「誰が労働者か」が変わる:フリーランス保護強化
- フリーランスにも労基法がかかるケースが広がる見込み
- 形式は「業務委託契約」でも、
- 会社のオフィスに常駐
- 自社の机やPCを使用
- 上司から具体的な指揮命令を受ける
といった“実態”があれば、それは実質的には労働者=労基法の対象とみなそう、という方向。- 労基法上の「労働者性」は
- 使用者の指揮監督下にあるか(使用従属性)
- 報酬が労務提供の対価(時給・日給に近いか)
で判断されるが、多くの“偽装フリーランス”がここに当てはまるため、今後は「労働者」として保護される可能性が高い。
- 家事使用人(家政婦さん)にも労基法を適用する方向
- 現在は家事使用人は労基法の適用外だが、
「さすがにこのご時世、それはおかしい」という問題意識から、
家政婦さんにも労基法を適用する方向で検討されている。
2.会社のルール作りの単位・代表の位置づけ
- 就業規則・労使協定の単位を、「事業場」から「企業」へ広げる検討
- いまは原則「事業場ごと」の就業規則・36協定だが、
一定の要件を満たせば企業本社で一括管理できる範囲を広げる方向。- 企業グループでバラバラになっているルールを、もっとまとめて運用しやすくする狙い。
- 労働者代表(過半数代表)の権限と選び方を明確化
- 労働組合がない会社では、「過半数代表」が36協定などを締結するが、
- 誰がどう選ばれているのか
- 任期はどうするのか
が曖昧なケースが多い。- そこで、
- 代表を複数にして負担を分散する
- 選挙や任期のルールをきちんと決める
など、代表の位置づけを法律・通達レベルで明確化しようとしている。
3.残業時間の規制がさらに厳しく
- 「月45時間/年360時間」の原則を本格的な上限に?
- 現在:
- 原則:月45時間・年360時間
- 特別条項付き36協定を結べば、年720時間・月100時間未満などの「特例」が可能。
- 改正議論では、
- この“特別条項”を縮小・廃止し、原則値を実質的な上限に近づける方向の案が出ている。
- ただし、中小企業の人手不足を考えると、一気に全社一律で厳格化するのは現実的でないため、
- 段階的引き上げ
- 一部業種の猶予
など、ソフトランディング案も議論されている。
- 残業時間・休日労働の「情報開示」を義務づける方向
- 会社の外(求職者・社会)に対して、
- 平均残業時間
- 長時間労働者の割合
などを見える化する案が出ている。- 社内に対しても、
- 部署ごとの残業実態
- 個々の残業時間
を、労働者代表や衛生委員会に開示することを義務化する方向。- ねらいは、「隠れ残業」や「ブラック体質」を可視化し、是正圧力をかけること。
- 週44時間制(小規模店舗など)の“特例”廃止方向
- 商業・サービス・旅館など、従業員10人未満の一部事業場に認められている「週44時間」特例を、
- 原則週40時間に統一する方向で検討。
- 家族経営・小規模店舗には痛手なので、
- 段階的な移行
- 経過措置
が付く可能性が高い。
4.休日・休息のルールがかなり変わる
- 「4週4休」→「2週2休」へ、連続勤務は13日まで
- 現行制度:
- 原則:週1日休日
- 例外:4週に4日休みがあればOK(理論上、最大48日連続勤務も可能)
- 改正案:
- 「2週間で2日以上」の休日確保(2週2休)
- 最大連続勤務日数を13日までに制限
- 連続勤務の上限は、労災基準などに合わせて13日が妥当とされている。(社会保険労務士法人 プロセスコア)
- 法定休日を「何曜日か」まで明示する義務
- いまは実務上「うちは日曜が法定休日です」と決めていても、法律上は明示義務がない。
- 改正後は、
- 就業規則などに「法定休日は○曜日」と明示
- 振替休日のルール(いつ・どうやって振替るか)も明文化
- 法定休日労働は35%増しの割増賃金対象なので、どの日が“法定休日”かを曖昧にできなくなる。
- 勤務間インターバル制度の義務化(原則11時間案)
- 終業から次の始業まで一定時間空ける仕組み。
- 医師やトラック運転手ではすでに9時間以上などのルールがあるが、一般企業にも広げ、
- 欧州に倣って11時間インターバル案が有力。
- 例:24時に業務終了 → 翌11時までは働かせてはいけない。
- シフト制やトラブル対応が多い業種では、勤務組み替え・人員増など大きな影響。
- 休日のメール・チャットはNG方向(「つながらない権利」)
- 休日や深夜に、
- 上司からのLINEやメール
- 顧客からの緊急でない問い合わせ
に対応しないといけない空気がある現状を問題視。- 欧州で広がる「つながらない権利」を参考に、
- 勤務時間外の連絡は原則控える
- 出ても出なくても評価に不利益を与えない
といったルールづくり(ガイドライン→将来は法制化も視野)。(note(ノート))
5.休憩・有給休暇のルール
- 休憩を“全員一斉”に取らせるルールの見直し
- 現在:
- 6時間超勤務で45分以上
- 8時間超で1時間以上
の休憩を「原則一斉に」与える必要がある。- しかし、
- フレックス
- 裁量労働制
など「時間の自由度」が高い働き方では、一律休憩1時間ルールが実態に合わない。- そこで、
- 働き方に応じて柔軟に休憩を決められるよう、一斉付与の原則を緩和する方向で検討。
- 有給休暇5日の「時季指定義務」の見直し
- 現行:
- 年5日は、会社が時季を指定して取得させる義務。
- 問題になっている場面:
- 育休から復帰直後の人
- 退職直前の人
にまで機械的に5日指定するのはどうか?という違和感。- よって、
- 特定のケースでは免除等を認める方向で、運用の柔軟化が議論されている。
- 時間単位年休をどこまで認めるか
- 4時間だけ、2時間だけ、といった時間単位の有給を今より増やすかどうか検討中。
- 会社側・従業員側には便利だが、
- 労組側は「細切れよりも、丸一日しっかり休める権利が重要」と主張。
- 双方が合意した会社だけ、上限を増やせる仕組みになる可能性もある。
- 「出勤率8割以上」の年休付与要件を廃止するか
- 現在、有給付与には「全労働日の8割以上出勤」の要件があるが、
- 諸外国にはあまり見られない
- 病気や育児で休んだ人ほど不利になる
という批判があり、廃止方向で議論されている。- ただ経営側は「そもそも出てきていない人になぜ年休が?」と反発しており、攻防が続いている。
6.賃金・副業・裁量労働制など
- 割増賃金率(特に深夜)の引き上げ検討
- 長時間労働を抑制するため、
とくに22時以降の深夜割増率を上げて、会社側に“残業させにくくする”インセンティブを与える案。- ただ、すべての業種・働き方に一律で適用すると影響が大きく、慎重論も強い。
- 副業・兼業時の「労働時間通算」をやめる案
- 現行ルール:
- A社8時間+B社2時間働くと、合計10時間として割増賃金の対象にする、という考え方。
- しかし、
- 実務的に2社間で情報共有・時間計算するのは非常に面倒
- 副業が進まない原因にもなっている
- そこで、
- 副業分については労働時間の通算をしない/割増賃金も各社独立で計算するという大胆な案が出ている。
- 労組側は「長時間労働是正に逆行」と猛反対、経営側は「本人の意思で働く副業を残業と同視するのはおかしい」と主張し、議論は平行線。
- 裁量労働制の適用拡大と手続き簡素化の議論
- 裁量労働制は、
- 実働時間に関係なく「みなし時間」で賃金を払う仕組み。
- 対象業務はシステム開発・デザイン・研究などに限定され、手続きも重い。
- 改正では、
- 業務範囲の拡大
- 手続きの簡素化
が検討されているが、
労組側は「過重労働温床になる」と強く懸念しているため、どこまで拡大されるかは不透明。
- 「管理監督者」(いわゆる管理職)の定義を明確化
- いわゆる「名ばかり管理職問題」への対応。
- これまで、
- 店長=自動的に管理監督者扱い → 残業代なし
としてきた企業が裁判で負ける例が多かった。- 今回の議論では、
- 管理監督者の要件を法律・ガイドラインで明確化
- 管理監督者であっても、健康確保義務(休日日数、面談等)はきちんと課す
という方向で整理されている。
- 農業・畜産・水産など「適用除外」業種にも労働時間規制を導入へ
- 現在は労働時間規制の適用外になっている一次産業などにも、
- 週40時間原則
- 勤務間インターバルや健康確保措置
を段階的に導入しようという方向。
7.この動画の結論・注意点
- 今回紹介された20項目は、2025年11月24日時点で労働政策審議会などで議論されている“検討案”であって、まだ確定ではない。
- とはいえ、
- 長時間労働の是正
- 休日・休息の強化
- 偽装フリーランスの保護
- 副業容認・テレワーク前提の制度見直し
という方向性自体は、複数の公的資料・解説でも共通しており、近い将来かなり似た内容の改正が実際に行われる可能性が高いと見られている。(内藤一水社)動画の最後で山田さんは、
- 残業が多い会社ほど影響が大きい(上限規制+情報開示+勤務間インターバルで、これまでの運用が通らなくなる)。
- 一方で、高市政権下でどこまで“規制強化”がそのまま通るかは未知数で、今後の政治判断次第で緩和方向の修正もありうる。
- どちらに転んでも対応できるよう、
- 自社の残業実態・シフト状況を見える化しておく
- 就業規則・副業規定・勤怠システムの見直しを想定しておく
ことが重要だ、とまとめています。こんな感じが、この動画の中身の骨格です。
休みをしっかりとらせるようにする、という心意気は評価しますが、果たしてその目的がなされるのか?今後の議論の推移を見守り多と思います。

