今回は(も)インターネット番組、ニッポンジャーナルを取り上げます。
12月4日(木)の番組です。
まずは切り抜き動画から。
昨今の中国の恫喝について→「中国の恫喝を過大評価して萎縮する必要はない」「実態はガラスのハートでビビりまくっている」との見方を示し、日米側は冷静かつ戦略的に対処すべきだ、という方向性の話です。
要約は以下の通り。
このパートでは、トランプの「台湾関係強化」表明で中国が激しく反発する中、その実態はかなり追い詰められた独裁国家だ、という話を、笑い混じりに分解して説明しています。内容を整理してまとめます。
1. 「レッドライン」乱発と中国のジレンマ
- トランプが台湾との関係強化にサインしたことで、中国は「レッドラインを越えた」と激しく抗議しているが、
出演者は「中国の“最後通牒”やレッドラインは何度も出てきて全然最後にならない」と揶揄。- 日本に対しても「レッドラインを越えた」と言ってきた以上、本気で制裁をやらなければ「口だけ」とバレるし、
本当にやれば自分たちの経済に跳ね返って大ダメージになる、とジレンマを指摘。- たとえば留学生の帰国命令、渡航制限、航空便削減、アメリカ製品不買などが考えられるが、
実際にやれば中国側の痛手が大きすぎて現実的ではないと見ている。- 出演者は「拳を振り上げたはいいが、このあと何もできずに固まる可能性が高い」「だからこそここは中国を“いじる”べき」と、
中国の威嚇が実は脆いと強調。
2. 国内統制の強化と“北朝鮮化”
- 習近平政権は、国内向けには「アメリカに負けない強い指導者」として宣伝しているが、
実態は「ちょっとでもネガティブなことを言うと即アウト」という北朝鮮的な恐怖政治に近づいていると指摘。- 例として、
- 農村出身の若者の悲哀を歌うロック歌手・李志(リー・ジー)の楽曲が「ネガティブだ」として事実上封殺され、
中国国内での活動ができなくなったこと。- 彼は日本のレーベル(パンダレコード)の企画で日本ツアーを行い、観客のほとんどが中国人で、
コンサート会場は「巨大なお葬式」のような雰囲気で人々が涙を流していたこと。- ただし当日はスマホ完全禁止で、袋に入れさせられ、SNSにも誰も投稿しない徹底ぶりだったこと。
「中国でその映像が広まると当局ににらまれる」空気があるため。- 中国当局は、アイドルコンサートなど群衆が盛り上がるイベントも、「反共産党の集会に転化するのでは」と恐れて中止させるケースがあると紹介。
- こうした締めつけは「習近平がいちいち全部命令しているというより、現場官僚の“忖度”が大きい」と解説。
中国法は曖昧に書いてあり、担当者が「こうやって締め上げれば上に褒められるだろう」と勝手に強権的に運用する構造だと説明している。
3. 日本の“左派文化人”への皮肉
- 出演者は、日本の一部左派系ミュージシャンや文化人が「高市総理には安全な場所から批判するが、
習近平や中国共産党には何も言わない」と批判。- 本当に“反権力”を名乗るなら、天安門広場の前でゲリラライブでもやって逮捕されるくらいの覚悟を見せれば「本物」だが、
実際はそのような危険は負わず、日本国内でだけ“安全な反権力ごっこ”をしている、と辛辣に評している。
4. 中国経済の悪化とデフレ化
- 経済面では、中国の景況感を示す製造業PMIが「8か月連続で50割れ」となっており、
企業が将来の需要を悲観して仕入れを減らし続けている=デフレモードに入っていると解説。- PMIとは、企業の購買担当者が「今後モノが売れそうか」を見込んで仕入れを増減する指標で、
50を下回る状態が長期化しているのは「将来の需要がないと見ている」サインだと説明。- 企業が需要減を織り込んで行動し、それがやがて消費にも波及し、実体経済の冷え込みが一層進む「悪循環」が起きていると指摘。
- その一方で、イオンのような“デフレ商法”の企業は、中国のデフレ環境とは相性がよく、
「イオンは中国で受ける」「牛丼チェーンが“貧乏人セット”のような超廉価メニューで大ヒットしている」と、
貧困化と低価格競争が進んでいる中国の消費実態を例示している。
5. 日本企業への“撤退しないで”要請
- 日本企業に対する中国側の本音として、「撤退されると困る」という事情が紹介される。
- 北部を中心に地域格差が大きく、日本企業が撤退すれば失業増などで社会不安が高まりかねない。
- そのため中国外交官が日本企業を回って「お願いですから今後も中国に留まってください。皆さんは守ります」と説得しているという話を紹介。
- 同時に、中国当局としては日本企業からの投資・雇用の恩恵を得つつ、
場合によっては「日本政府への批判もしてほしい」といった政治利用も狙っているのではないか、と分析している。
6. 全体としてのメッセージ
- このパート全体で出演者が強調しているのは:
- 中国は「レッドライン」と威嚇を繰り返すが、経済・社会の実情はかなり苦しく、実際に強い制裁を打つ余力は限られている。
- 国内は文化・言論統制が一層強まり、北朝鮮化・全体主義化が進んでおり、国民は抑圧的な環境に置かれている。
- 中国経済のデフレ化と長期停滞傾向は明らかで、日本企業や安価ビジネスに依存する構図も見える。
- その上で、「中国の恫喝を過大評価して萎縮する必要はない」「実態はガラスのハートでビビりまくっている」との見方を示し、
日米側は冷静かつ戦略的に対処すべきだ、という方向性を示している内容になっています。
番組(無料部分)全体の動画はこちら。
要約は以下の通り。
番組全体としては、
- トランプの「台湾保障実施法」署名と中国のレッドライン連呼
- ロシアの「停戦」詐欺とウクライナ戦況
- 中国人留学生の“秘密の誓約書”問題と留学生政策
- 経営管理ビザ改正と「32万世帯追放」ショート動画の煽り
- ショート動画時代の情報リテラシー
- グレンコ氏のウクライナ支援活動の近況報告
あたりを、上念・グレンコの視点から「是々非々」で深掘りしています。
① トランプの台湾保障実施法と中国のレッドライン
法案の中身と台湾の受け止め
- トランプ大統領が「台湾保障実施法案」に署名。
- 米国務省に対し、台湾との公的交流に関する指針を少なくとも5年ごとに見直すことを義務づける内容。
- 台湾は「民主主義・自由・人権という共通価値を確認し、交流を強化する象徴だ」と歓迎。
- 見直しが頻繁になれば、「台湾当局者の米連邦機関訪問・会議参加」がしやすくなる可能性があるが、法律文言はそこまで明示していない。
中国の反発と「レッドライン芸」
- 中国外務省は「台湾問題は中国の核心的利益」「越えてはならない第一のレッドライン」として米国を非難。
- 上念:
- 「レッドライン何本あるんだ?」と皮肉。何度も“最後通牒”を繰り返す中国は、脅しの信頼性を自分で下げている。
- 日本にもレッドライン云々と言ってきた以上、本気なら米国にも制裁しないと筋が通らないが、それをやると中国経済が致命傷なのでやれないジレンマ。
- 中国経済はPMIが8か月連続50割れでデフレ色が濃く、内政は文化大革命以降のような「恐怖と忖度」でガチガチ。ネガティブな歌を歌うロック歌手リージの公演が実質禁止になり、**中国人が日本公演に押し寄せるほど“言論の窒息ぶり”**が露呈している。
日米の対中戦略として
- グレンコ:
- 中国が一番望むのは「世界が台湾のことを忘れる状態」。その時が一番侵攻しやすい。
- 逆に、日米が台湾との関係を明確にし、介入姿勢を打ち出すほど抑止力になり、侵攻は遠のく。
- 「中国を刺激するな」という議論は誤りで、肝心なのは「中国が勝てると思うかどうか」。勝てないと判断させることが重要。
- 高市総理の発言やトランプの署名は、「台湾有事への日米介入の意思を示し、侵攻を遠ざける効果がある」と評価。
- さらに、今回の中国の観光制限・制裁で、
- これまでの「中国依存にべったり」という異常な日中関係が徐々に正常化していると指摘。
- 観光・ビジネスで中国に過度依存すると、観光客を止められた瞬間に日本側が何も言えなくなる。
→ 今のうちに「中国依存ビジネス」から距離を取り、デカップリングを進めるべき「好機」と位置付け。
② ロシアの「主導権は我が軍に」と停戦・和平の罠
プーチンの主張と実際の戦況
- プーチンが前線司令部を訪問し、ドネツク州の要衝などを制圧したと報告を受け、「主導権は完全に我が軍にある」と発言。
- これに対しウクライナ側は陥落を否定。
- グレンコ:
- ロシアの「この町を落とした」宣言はしばしば誇張で、市街戦継続中の“半分だけ制圧”を「奪取」と言い張るケースが多い。
- 上念:
- ロシア寄り軍事ブロガーでさえ「ポクロフスクはまだ完全制圧ではない」と認めており、プーチンの発言はかなりの“盛り”。
- 先月だけでロシア軍は兵士約1万5千人、車両500台規模の損耗とも言われ、戦車・防空システムも大量に破壊されている。
- 「ロシア優勢だからウクライナは飲めない条件でも飲め」という日本側論者は、誇張されたロシア発情報に乗せられていると批判。
「停戦」と「和平」の違い
- グレンコが一番強調したポイント:
- 停戦(Ceasefire)
→ とりあえず戦闘だけ止める。細かい条件や最終的な平和条約はその後、落ち着いた状態で決める。- 和平(Peace treaty)
→ 領土問題や政治体制など「すべての条件」を合意してから実行。
→ 戦闘中に全条件を詰めるのは現実的に不可能。- ロシアは「和平の枠組を決めろ」「紛争の原因を取り除け」と繰り返し、停戦よりも前に“完全勝利の条件”を飲ませようとしている。
- ロシアが言う「紛争の根本原因」は、実質「ウクライナが独立していること」。
- つまり「ウクライナの主権と独立を奪い、ロシアの一部にする」まで戦争をやめない、という宣言に等しい。
- 本当に停戦したいなら、
- 「ミサイル攻撃だけまず止める」「海上戦闘のみ停止」といった部分的なエスカレーション停止から入るはずだが、そうした動きは皆無。
トランプとの関係
- グレンコ:
- ロシア側とトランプ陣営のやり取りの音声では、
- 「トランプをどう持ち上げれば機嫌よくなり、ウクライナ支援打ち切りの言い訳を提供できるか」が語られている。
- トランプは当初「まず殺し合いを止め、その後条件交渉を」と言っていたが、プーチンと会った後はロシア式の「和平枠組」論に寄ってきたと指摘。
- 上念:
- ロシアの“和平案”28項目のうち譲れない3条件は、
- 「非ナチ化」=ゼレンスキー政権の打倒
- ウクライナ軍の兵力・装備制限
- 西側支援の制限
→ これは「ウクライナの完全従属」が目的であり、和平とは名ばかり。- さらに今のロシアは、北朝鮮と実質同盟関係にあり、日本にとっては「拉致・ミサイルの相方」と組む国。
→ それを「保守」を名乗りながら応援する日本の親露派を痛烈に批判。
③ 中国人留学生の「秘密の誓約書」ショート動画をめぐる議論
ショート動画の内容
- 参院で北村晴男議員が、
- 中国には国家情報法があり、国民全員に情報活動への協力義務がある。
- 中国人留学生の一部は、共産党への忠誠を誓う「秘密の誓約書」に署名させられており、スウェーデンではこれが問題になった。
- 欧米では、こうした「留学生を装った工作員」を拒否する大学も出ている。
- 文科省側は、
- 安保貿易管理に基づき各大学で審査している。
- 特定国の留学生だけを対象とする調査には慎重であるべき、と答弁。
上念の視点:リスクとリターン
- 中国人留学生が国家情報法の「潜在的スパイ」であるリスクは否定できない。
- しかし一方で、
- ソ連崩壊時、西側に出たスパイが「西側は豊かで自由だ」と実感し、その情報が本国に広まり体制崩壊の一因になったように、
- 留学生は“二重スパイ”として、民主主義のソフトパワーを本国に持ち帰る存在でもある。
- だから、
- 「中国人留学生全面禁止」はリスク低減にはなるが、
同時に日本や民主主義の魅力を伝える機会も失う。- 本当に必要なのは、
- スパイ防止法・セキュリティクリアランスの整備
- 日本人研究者への十分な研究費・待遇
- G7各国と連携した情報共有
といった制度的対応であって、「留学生ゼロ」にすることではない。グレンコの視点:奨学制度と“反日教育”
- グレンコ自身が「国費外国人留学生」出身として制度の仕組みを解説。
- 日本政府の奨学金は、在外日本大使館が筆記試験+面接で選抜し、日本の大学・指導教員に丸投げする形。
- 一方で中国は、日本の制度を丸パクリした上で、留学生に徹底的な親中・反米教育を施すシステムを構築している。
- 日本側の問題:
- 「金は出すが口は出さない」ため、
受け入れ教授が左派・反日であっても、そのまま任せてしまっている。- 結果として「日本の税金で来た留学生が、反日的な教育を受けて帰る」という、本末転倒な構図も起こり得る。
- グレンコの提案:
- 制度自体は残しつつ、
「留学生を受け入れる資格を持つ教授・大学」を限定する仕組みに変えるべき。- ただし上念は、「思想チェックが過剰になると日本が中国的な管理国家になる危険」も指摘し、この点は慎重論。
④ 「在日中国人大震撼 32万世帯追放」ショート動画と経営管理ビザ改正
ショート動画の主張
- 2025年10月、日本の経営管理ビザが大改正され、
- 資本金要件:500万 → 3000万円
- 日本人・永住者の正社員雇用義務
- 社内に日本語N2レベルの人材が必要
- 経営経験3年以上 or 関連学位必須
- 事業計画書は専門家審査必須
- 既存ビザ保持者にも遡及適用され、3年以内に条件を満たさなければ更新不可 →
「在日中国人32万世帯が国外追放」と煽る内容。ファクトチェック
- 上念・グレンコの整理:
- 条件の内容自体はほぼ事実。
ペーパーカンパニー量産を防ぐため、資本金要件や実体審査を厳格化するもの。- ただし、
- 2028年10月までは猶予があり、それまでは旧条件でも更新可能。
- 条件未達のまま放置した事業者が、段階的に更新できなくなるだけで、「即32万世帯が追放」は明らかな誇張。
- さらに、今回の改正方針自体は、
高市政権以前(菅〜岸田期)に決まっていた可能性が高く、「高市が一気にやった」とするのはミスリード。政策評価
- グレンコ:
- ビザの名にふさわしい実態(実際に事業しているか)を求めるだけで、真面目に経営し、税金・社会保険を払っている外国人にはほとんど影響がない。
- 困るのは、そもそも違法・不正に近い運用をしていたケース。
- 上念:
- インドネシアなど他国では、経営ビザに日本円で数千万円単位の資本要件がある国も多く、日本の旧500万円は極端に甘かった。
- 今回の改正は、国際的な水準から見ても「ようやく普通になった程度」と評価。
- まとめ:
- ショート動画は**「事実+過剰な見出し」で再生数を狙う典型例**。
内容の9割はファクトだが、「高市が32万世帯追放」というタイトルは煽り。
⑤ ショート動画時代の“情報リテラシー”への警鐘
番組の企画コーナーとして、「ニュース系ショート動画を検証する」企画を実施。
- 全体傾向:
- 完全なデマはそれほど多くないが、
「事実9割+結論の1割だけ捻じ曲げる」パターンが非常に多い。- タイトル・サムネで感情を煽った方が再生されるため、「中国人○○」「日本オワタ」系の煽りが横行。
- 上念・グレンコのコメント:
- 危険なのは、古いショート動画がアルゴリズムで何年後にも出回ること。
→ 既に法改正等で状況が変わっていても、「政府は何もしていない」と誤解が再生産される。- 台湾では、ディープフェイク広告や匿名政治広告に「デジタル署名」義務やプラットフォーム責任を課した結果、偽広告が激減した例があり、日本も学ぶべき。
- ウクライナ、バルト三国、北欧など、ハイブリッド戦の最前線の国々の対策を真剣に研究すべきだと提言。
⑥ グレンコの「車両支援プロジェクト」報告
- グレンコ・アンドリー氏から、視聴者の寄付で進めているウクライナ支援プロジェクトの報告。
- 11月中に日本の中古車(Nissan X-TRAIL 2台+メルセデスSUV1台)を購入し、コンテナでウクライナに発送。
- これで合計15本のコンテナ、車両45台をウクライナ軍に供与したことになる。
- 目的:
- 大規模戦争では車両の消耗が激しく、前線部隊は慢性的な車不足。
- 日本製SUV・ピックアップは耐久性が高く、「機動力の確保」という点で非常に重宝されている。
- 日本の視聴者に対して、
- 引き続き「資金」「車両本体」の寄付を呼びかけ。
- 左ハンドル・右ハンドルを問わず、実際にウクライナで戦う兵士の命を守る手段となる、と説明。
ざっくりまとめ(番組のメッセージ)
- 台湾問題では、「中国を刺激するな」ではなく、「日米が介入意思を明確にすることが抑止力」という立場。
- ロシア・ウクライナ戦争では、「和平」を口実としたロシア側の時間稼ぎを見抜き、「まず停戦、その後交渉」という原則を守るべきだと強調。
- 中国人留学生・在留中国人については、
- 安全保障上のリスクを認めつつも、「ゼロリスク」発想で排除に走れば日本が中国のような国になってしまう。
- スパイ防止法・セキュリティクリアランス・大学側の体制整備など、制度的な対応でリスク管理すべき。
- ショート動画時代の世論形成について、
- 「事実9割+煽り1割」の動画が世論を歪める危険を指摘し、
- 台湾やウクライナのような最前線国家のノウハウを日本も取り入れるべきだと提案。
- そして最後に、グレンコ自身がウクライナ支援を実践していることを報告し、視聴者に「自分にできる行動」を促して締めくくっています。
一番重要なこととして。
中国の在外公館の「錯乱」は中国側の焦りの表れであり、日本は感情論ではなく国益を軸に冷静に対処すべきだ。
中国側が悪手ばかりなので、自滅を待ちましょう。

