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食品消費税減税の課題と小規模事業者の選択〜複数税率の不条理を越えて『目の前の減税』を形に〜

今回は食品消費税減税による、小規模事業者への影響について。

なかなかややこしい話ではありますが、そもそも消費税の複数税率に問題があります。

そして複数税率という複雑な制度において各事業者にしっかり納税させる仕組みとしてのインボイス制度にも問題があります。

まず、消費税導入時の議論として、複雑な税制度を簡素化するというものがありました。その簡素化された消費税において、複数税率が導入されたのが大きな問題でしょう。

以下、その説明。

1989年(平成元年)に消費税が導入された背景には、「複雑・不公平化していた数々の個別間接税を統合・整理し、税制を簡素化・公平化する」という明確な目的がありました。

消費税導入によって何がどう整理・簡素化されたのかを3つのポイントで解説します。

1. 「物品税」をはじめとする多数の個別間接税の廃止・統合

消費税が導入される前、日本には商品やサービスの種類ごとに細かく税金がかかる個別間接税が乱立していました。

  • 廃止・統合された主な税金:

    • 物品税: 贅沢品とみなされた特定の商品にかかる税金(自動車、家電、宝石、ウイスキー、ゴルフ用品など)

    • 入場税: 映画館やテーマパークなどの入場料にかかる税金

    • 通行税: 新幹線や飛行機などの利用にかかる税金

    • 料理飲食等消費税: レストランやホテルでの食事にかかる税金

消費税は、これらを一点ずつ個別に指定して課税する方式をやめ、「すべてのモノやサービスの流通・消費に対して一律に広く薄く課税する」というシンプルな仕組みへと一元化・統一するために導入されました。

2. なぜ「個別間接税」の限界と不公平が生じていたのか?

物品税の時代は、「何が贅沢品で、何が生活必需品か」を政府が個別に定めていましたが、時代の変化とともに著しい不公平や矛盾(歪み)が生じていました。

  • 時代遅れの線引き:

    昭和初期〜高度経済成長期には「贅沢品」だったテレビ、冷蔵庫、自動車などが一般家庭に普及しても高い税率がかかり続けました。

  • 複雑すぎる品目判定:

    例えば「コーヒーは課税だがココアは非課税」「みかん箱は非課税だがプラスチック箱は課税」「レコードは課税だがテープは非課税」など、商品ごとの線引きが極めて煩雑化し、事業者や税務署の負担となっていました。

消費税の導入は、こうした「品目ごとに税率や課税対象を変える複雑さ」を排除し、「全商品一律(当初は3%)で公平に負担してもらう」ことで税制の簡素化を図る狙いがありました。

3. 本来の「単一税率・全分野統一」という理念

消費税(付加価値税)の根本的な思想は、「すべての取引に同じ税率をかけることで、価格やビジネスの選択を歪めず、計算も極めてシンプルにする」という点にあります。

  • 直間比率の是正と簡素化: 所得税や法人税への過度な依存(直接税中心)を改め、消費に応じた間接税へシフトする際、旧来の複雑な個別税を廃止して消費税に一本化することが最も簡素で効率的だとされたのです。

まとめ

消費税の原点は、ご指摘の通り「バラバラで複雑だった数々の税金(物品税等)を一本化し、制度を簡素・公平にするため」に作られたものです。

それだけに、近年導入された軽減税率(8%)や今回の食品1%減税、さらにはインボイス制度や免税事業者問題のように税率が複数(10%・8%・1%など)に分かれて制度が複雑化・迷走している現在の状況は、導入当時の『統一と簡素化』という本来の理念から大きく離れてしまっているとも言えます。

消費税に複数税率が導入され、インボイス制度が導入された背景と理由について。

単一税率・統一簡素化を理念としてスタートした日本の消費税が、軽減税率(複数税率)およびインボイス制度の導入に至った背景と理由は、政治的理由と税務・制度上の理由の組み合わせによるものです。

1. 軽減税率(複数税率)が導入された理由

2019年10月に消費税率が8%から10%へ引き上げられた際、酒類・外食を除く食料品等に対して「8%」の軽減税率が同時に導入されました。主な理由は以下の2点です。

  • 逆進性(低所得者ほど負担感が重くなる問題)の緩和

    消費税は所得の多寡にかかわらず一律の税率がかかるため、収入に対する食費(生活必需品)の割合が高い低所得者層ほど負担が重くなります(逆進性)。この批判をかわし、生活必需品である食品の税率を据え置くことで「低所得者の生活負担を抑える」という政治的・庶民感情的な要請から導入されました。

  • 税率10%引き上げに対する国民・事業者の反発抑制

    二桁(10%)の大台に乗る増税に対する国民感情の反発を和らげるため、与野党での政治的妥協・公約の実現として組み込まれた背景があります。

2. インボイス制度(適格請求書保存方式)が導入された理由

軽減税率の導入によって「税率が複数(10%と8%など)混在する状態」になった結果、それを正確に捕捉・徴収するためにセットで必要となったのが2023年10月導入のインボイス制度です。導入の主な理由は以下の3点です。

  • 複数税率下での正確な税額計算(不正・ミスの防止)

    事業者が国に納める消費税は「預かった消費税」から「払った消費税(仕入れ)」を差し引いて計算します。税率が10%と8%(今回の1%等も含む)のように混在していると、どの商品にどの税率が適用されているかを請求書レベルで厳密に区分・証明しなければ、計算ミスや悪質な税率の誤魔化しが発生します。これを防止するため、登録番号と税率・税額が明記された「公式な証明書(インボイス)」が必要となりました。

  • 益税(買い手・売り手のミスマッチ)の排除

    従来の制度(区分記載請求書等)では、免税事業者が取引先から消費税分を受け取りつつ納付しない「益税」や、取引の過程で税額の転嫁が不透明になる仕組みが存在していました。国税庁としては、インボイスを軸にして「誰がいくら消費税を納め、いくら控除したか」の追跡可能性(トレーサビリティ)を高め、税収の漏れをなくす狙いがありました。

  • 国際標準(欧州型付加価値税)への適合

    元々ヨーロッパなどの付加価値税(VAT)導入国では、複数税率とインボイス制度はセットで運用されています。日本も複数税率を採用するにあたり、国際的にも実績のあるインボイス方式へ移行せざるを得なくなったという経緯があります。

まとめ

  • 軽減税率: 税率アップに伴う「低所得者の負担軽減(逆進性対策)」という政治的・社会保障的理由から導入。

  • インボイス制度: 軽減税率で税率がバラバラになったため、「正しく税額を計算し、不正や益税を防ぐ」という税務・技術上の必要性から導入。

「統一と簡素化」を目指して始まった消費税ですが、軽減税率という政治的配慮を入れたことが引き金となり、それを管理するためのインボイス制度が必要となり、結果として制度全体が非常に複雑化したという構造になっています。

そして、インボイス制度導入後は、課税事業者と免税事業者に分かれます。誤解を恐れずに分けると、大きな会社と小さな会社、です。

インボイス制度が始まってからの「課税事業者(税金を納める人)」「免税事業者(税金を納めなくていい人)」の違いについて、例えを交えて解説します。

一言でいうと?

  • 課税事業者(インボイスがある人):

    手続きは面倒で税金も払うけれど、「どんな会社とも安心して商売ができる人」

  • 免税事業者(インボイスがない人):

    手続きが楽で税金を払わなくていいけれど、「会社からお仕事を断られたり損をしやすい人」

3つの大きな違い

① お仕事の「頼みやすさ」が違う(お店や会社目線)

あなたが「会社のお買い物担当者」だと想像してみてください。同じ10,000円の商品を買うとき、どちらから買いたいでしょうか?

  • 課税事業者から買う場合:

    「インボイス(ちゃんとした証明書)」がもらえるので、会社は払った消費税分を自分の節税に使えます。だから安心して買い物ができます。

  • 免税事業者から買う場合:

    インボイスがもらえないので、会社は節税に使えず、実質的に損をしてしまいます

    そのため、会社から「損する分、値下げして!」「インボイスを出せる別の人に頼むね」と言われやすくなってしまいました。

② 払いすぎた消費税を「返してもらえるか」が違う

お米をつくる農家さんのように、「売るときにもらう消費税(1%)」より「肥料や機械を買うときに払う消費税(10%)」の方が圧倒的に多くなってしまったとします。

  • 課税事業者:

    「払いすぎた差額」を、国にお願いして現金で返してもらえます(還付・かんぷ)

  • 免税事業者:

    そもそも税金を納めるグループに入っていないため、国から1円も返してもらえず全額自腹になります。

③「めんどくささ」と「手元に残るお金」が違う

  • 課税事業者:

    1円単位で細かくレシートや帳簿を計算して税務署に提出しなければならず、とにかく手続きや計算がめちゃくちゃ大変です(税理士さんにお金を払って頼むことも多いです)。

  • 免税事業者:

    面倒な消費税の計算をしなくてよいため、手続きがとっても楽ちんです。また、一般のお客さん相手(BtoC)のお店なら、もらった消費税分をそのまま自分のポケット(お小遣い)に残すこともできます。

まとめ

課税事業者(インボイスあり) 免税事業者(インボイスなし)
税金・手続き めちゃくちゃ面倒で大変 とても楽ちん
会社とのお仕事 頼まれやすい(安心される) 断られたり「安くして」と言われやすい
払いすぎた税金 国から返してもらえる 返してもらえず自腹になる

「手続きの手間や税金を払うコスト」をとるか、「お仕事を失うリスクや自腹の損」をとるか、という厳しい違いが生まれています。

そして、ここからが本題。

今回の食品消費税減税導入後の免税事業者の受ける影響について。

食品の消費税が1%へ減税されると、免税事業者(小さなお店や農家さん)が受ける影響は「これまでは8%回収できていたものが1%になり、おトク感が消えて大損しやすくなる」という非常に厳しい内容になります。

3つのポイントで解説します。

1. ポケットに入る「お小遣い分(益税)」が消える

  • これまでは「8%回収」できた:

    お客さんから消費税8%分を回収しても国に納める必要がなかったため、その8%分がそのまま自分の利益(ポケットに入るお金)になっていました。

  • 減税後は「1%回収」に減る:

    回収できる消費税が「1%分」に減ってしまうため、手元に残るおトク感がほぼゼロになります。

2. 「回収1%」vs「支払10%」で大赤字になる

  • 肥料・ガソリン・機材・電気代などを買うときに支払う消費税は「10%」のままです。

  • 一方でお米や野菜を売るときに回収できる消費税は「1%」に下がります。

  • 「回収するお金(1%)< 支払うお金(10%)」となり、差額の9%分を自分のポケットから自腹で持ち出さなければならなくなります。

3. 損した分のお金を国から返してもらえない

  • 国に税金を納めている大きな会社(課税事業者)なら、仕入れで払いすぎた消費税を国から現金で返してもらえます(還付)

  • しかし、免税事業者は「そもそも税金を納めていないグループ」なので、国からお金を返してもらう権利自体がありません

まとめ

これまでは「10%支払って8%回収できた」ため、手間の少なさも含めて免税事業者のメリットが勝っていました。

しかし、食品が1%になると「10%支払って1%しか回収できず、差額も国から返してもらえない大損グループ」になってしまいます。そのため、大損を覚悟して免税のまま耐えるか、面倒な手続きや税理士費用を払って課税事業者になり、お金を返してもらうかという厳しい選択を迫られることになります。

これまでのことがなんとなく理解できれば、公認会計士の山田真哉さんの動画の説明も理解しやすくなるのではと思います。

動画「【超最速!】来年4月導入。食品消費税1%で全業種に大激震!実務の注意点25選と事前準備」のポイントをまとめました。

動画URL:http://www.youtube.com/watch?v=Qn9No_CK73o

1. そもそも何が起きるの?

  • 食品の消費税が「1%」に安くなる(2年限定)

    2027年4月から2年間限定で、食べ物や飲み物を買うときの消費税が今の8%から1%に下がります。

  • 税率が3種類になって超複雑に!

    「10%(一般商品・レストラン内での外食)」「8%(新聞)」「1%(食品・テイクアウト)」と税率がバラバラになり、お店の計算がめちゃくちゃ大変になります。

2. スーパーなどの「大きな会社」に起きるピンチ

  • 「国からお金を返してもらう(還付)」ことが大量発生する

    商品を売るときにお客さんからもらう消費税(1%)より、お店の電気代や運送費、レジの改修などで支払う消費税(10%)の方が多くなります。そのため、払いすぎた差額分を国から返してもらう仕組み(還付)が使われます。

  • お金が戻ってくるのが遅くて「資金繰り」がヤバくなる

    税務署は審査を厳しくチェックするため、返金まで4ヶ月〜半年以上かかります。先に10%分の消費税を払わなければいけないのに戻ってくるのが遅いので、手元のお金がなくなってしまう危険があります。

3. 「小さなお農家さん」に起きるピンチ

  • 免税事業者のままだと大損する

    野菜や米を売るときにもらう消費税は「1%」ですが、肥料やガソリンを買うときに払う消費税は「10%」のままです。税金を納めていない免税農家は国からお金を返してもらう権利がないため、差額分を全額自腹で負担することになります。

  • めんどくさい書類手続きや税理士代の負担が増える

    損をしないためには、税金を納めるグループ(インボイス登録)に入って難しい計算の確定申告をしなければなりません。

4. 飲食店やお店に起きるピンチ

  • 「持ち帰り(1%)」と「店内(10%)」の差がデカすぎる

    店内飲食とテイクアウトの税率の差が9%にも広がるため、「店内で食べるのに『持ち帰り』と嘘をつく客とのトラブル」や「持ち帰り専門店の方が有利になる」という歪みが生じます。

  • レジやパソコンのシステムを直すのに大金がかかる

    お店のレジや計算ソフトを1%に対応させる改修が必要です。しかも「2年限定」なので、2年後(8%に戻る時)にまたシステムを作り直さなければなりません。

まとめ

一見すると「食べ物が安くなってラッキー!」と思えますが、裏では「お店や農家さんの資金繰りが大変になる」「レジや書類の手間・コストが爆増する」という大パニックが起きる、というのがこの動画で解説されているポイントです。

色々とデメリットは多いですが、それでも様々な背景のもとで実現しつつある目の前の減税は意義があると思います。

オレは飲食店やってて何もいいことないから心の底から食品消費税減税が嫌だし、コンビニやスーパーやウーバーイーツの値段が下がって外食が不利な競争させられることに全く納得がいかないが、まー目の前に値段が下がって喜ぶ人がいるのは理解する。
こういう分断と市場の歪みを生むのが軽減税率の悪よな。結論、軽減税率がクソなんよや。

食料品消費税率0%にした場合、農家は消費税還付を受ければ良いだけなんじゃないのかなと。

税理士を雇うことは経営コストとしてそもそもやっておくべきであるし、農業の大規模化が進むきっかけにもなるので、むしろ政策としては望ましいです。

何の問題があるのか分かりません。

国民民主党の主張は、自民党が農業大規模化に舵を切ろうと改革しようとしているのに、あえて自民党の支持基盤である零細農家を焚き付けて、その方向を潰そうとしているように見えます。

日本の農政をどうしたいのか、競争力強化の観点から政策を見るべきです。

その経営規模なら税理士使わなくても税務申告が可能であるので、そもそも普通に計算して税還付を受けたら良いだけです。

勘定科目も単純で複雑性もほぼないと思うので、仮に決算入れても10万ちょっとでやってくれる税理士もいます。

自分は散々補助金を突っ込んだ上で、自分で会計処理を適切にせず、税理士費用も払わない事業者の味方はしませんので、

申し訳ないけども、その経営規模の農家は整理させれていくべきであり、

土地を集約して大規模化していくことが望ましいです。

さまざまな立場からの懸念や制度上の混乱が指摘されている今回の食品消費税減税ですが、私自身は「まずは目の前の減税を一歩でも前に進めること」が極めて重要だと考えております。

制度の複雑化や市場の歪みといった課題は、そもそも消費税に軽減税率(複数税率)やインボイス制度を持ち込んだこと自体に根本的な原因があります。本来であれば、旧来の個別間接税を統合して簡素・公平な税制を目指した消費税の原点に立ち返り、すべての品目において一律に税率を大幅引き下げ(あるいは廃止)することが最もシンプルで望ましい姿です。

しかしながら、理想論を唱えて足踏みをするくらいであれば、国民負担を直接軽減する具体的な減税策を一つずつ実現させていくべきです。

また、小規模農家や個人事業者への影響についても、渡瀬裕哉氏が指摘されるように、適切な会計処理や消費税還付の仕組みを活用することは経営の健全化や業界の大規模化・効率化を図る絶好の機会にもなり得ます。過度な保護や複雑な給付付き税額控除などの議論に迷走することなく、事業者各自が財務管理の質を高め、たくましく市場で競争できる環境を整えることこそが本質的改革につながります。

私、浜田聡は、制度の簡素化・市場メカニズムの最大活用という大原則を見失うことなく、国民の自由と豊かさを守るための「実質的な減税」を粘り強く推進してまいります。

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