今回は(も)私が政策立案でお世話になっている救国シンクタンクのレポートから。
まずは資料へのURLと関連動画を。
我が国の『情報防衛力』の強化に向けて―開かれた社会を、隠れた工作から守る―(2026年8月5日)政務調査会インテリジェンス戦略本部 自民党
動画「江崎道朗の生配信【第57回】:自由民主党インテリジェンス戦略本部による第二次提言を読み解く」(URL: http://www.youtube.com/watch?v=CoMwMUCZMM0 )について、ポイント一覧です。1. 提言の背景と位置づけ
提言の概要2026年8月5日に自民党政調で了承・公表された自民党インテリジェンス戦略本部の第二次提言『我が国の「情報防衛力」の強化に向けて―開かれた社会を、隠れた工作から守る―』(約40ページ)を取り上げ解説しています,。 第一次提言とのステップ2026年春に出された第一次提言(司令塔となる「国家情報会議」の設置)に続くもので、第二次提言では政府の有識者会議で議論すべき具体的な論点・課題を提示しています。2. 提言の質の高さと自民党若手(新安保族)の主導
官僚任せではない議員主導の本格的な設計小林鷹之氏(本部長)や塩崎彰久氏(事務局長)ら40〜50代の実務派議員が自ら調べ上げて起草しており、官僚の作文ではない実践的な内容になっています,。 欧米諸国の最新10年の法制度を網羅アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアなどの同盟国・同志国における最新の防諜法体系や制度設計を精緻に比較・反映しています,。 同盟国インテリジェンス機関との高い水準での連携日本の政治家側に深い専門知見があるからこそ、米英などの情報機関と踏み込んだ水準で手の内を共有し合う議論ができていると評価しています。 スローガン政治からの脱却単に「スパイ防止法を作れ」と叫ぶだけの抽象論にとどまらず、即座に法制化に着手できるレベルの具体的な制度設計が示されています。3. 「国民監視」ではなく「自由と民主主義を守る」ための情報防衛
軍国主義化批判への論理的回答「情報機関の強化=国民監視や軍国主義化」という従来の批判に対し、「外国勢力の隠れた工作から国民の自由な意思決定と民主主義を守るための防御機能である」と明確に位置づけています。 情報機関の手足を縛るリスク憲法護憲を理由に情報機関の手足を縛り続けることこそが、結果として外国の工作活動を野放しにし、日本の国民主権を危機に晒していると指摘しています。4. 外国による工作・代理活動の規制(米「合衆国法典951条」モデル)
外国影響工作への法規制国家機密を盗み出す古典的なスパイ行為だけでなく、外国政府の指示下で行われる政治的情報収集や影響力工作を規制する枠組み(外国代理人登録法/外国影響工作防止法)を提起しています。 FBIによる台湾総統の親族監視・摘発事例台湾の頼清徳総統の息子の写真や動向を撮影・収集し北京へ送っていた人物がFBIに摘発された事例を挙げ、公開情報の収集であっても外国政府の意図下で行われる工作に対処できる法の必要性を説いています,。 日本の政界への浸透工作の是正議員会館など日本の政治中枢に外国のエージェントが自由に出入りし、働きかけを行っている実態を可視化し、透明化・事前登録を義務付ける重要性を指摘しています,。5. SIGINT(通信情報)の収集能力と世論工作への対抗
SNSを通じた世論工作の実態把握皇室関連などの言論誘導をはじめ、SNS上の情報発信・拡散が外国政府の指示や資金提供を受けて行われていないかをチェックできる能力が不可欠であるとしています,。 SIGINT(通信情報傍受・分析)の強化外国政府と国内エージェントとの通信や指示関係を客観的に特定するため、米NSAのような通信情報収集能力を日本も整備すべきだと提言しています,。6. 濫用防止・権利救済の制度設計
段階的なアプローチ(透明化を優先)いきなり刑罰を科すのではなく、まずは「外国政府のための代理活動であること」を表に出して国民に知らせる(透明化・情報公開)ことを軸としています。 第三者機関・国会監視と救済手続き情報機関の暴走を防ぐため、国会による監視、第三者専門家によるチェック機能、さらには自身の思想・信条による活動である場合の不服申し立て・救済手続きまで含めた制度設計を行っています。 正規の外交対話の保護工作活動と正規の外交対話を峻別できるようにすることで、正当な対話を行う政治家が不当に「親中派」などと攻撃される事態を防ぐ狙いもあります。7. 政府機関・物理的セキュリティの国際標準化
官邸・省庁の情報保全ルール見直し首相官邸や外務省・防衛省へのスマートフォンの安易な持ち込みを制限するなど、情報保全の基本を諸外国の標準レベルに引き上げる必要性を求めています。8. 中国による浸透工作の手口と最新動向
あらゆる情報を吸い上げる体制中国は自国より進んだ欧米の先端テクノロジーや情報を網羅的に収集するために巨大なリソースを投じている現状を解説しています。 イギリスにおける警戒事例(学術・研究機関への浸透)英国内の大学・研究機関(AI、軍事転用技術、特殊暗号通信など)に中国側が資金提供を行い、その成果を取り込もうとしていた事案に対し、英情報機関(MI5)が警告を発した事例を挙げ、相手の手口を正確に把握してこそ対抗策が打てると強調しています,。
これに関する救国シンクタンクレポートは以下。
「自主独立のための選択肢」No.235「自民党インテリジェンス戦略本部第二次提言」
◆◆ 救国シンクタンクメールマガジン 26/10/07号 ◆◆
情報史学研究家の江崎道朗です。
「なぜ民間シンクタンクが重要なのか」という観点から毎回、政治的課題について書いていこうと思います。今回は、インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議での検討課題は何か、についてです。自由民主党インテリジェンス戦略本部による第二次提言『我が国の「情報防衛力」の強化に向けて――開かれた社会を、隠れた工作から守る――』が2026年8月5日に政調審議会で了承され、公表された。https://www.jimin.jp/news/policy/213980.html
第一次提言が「司令塔=国家の頭脳」の整備を主題とし、実際に司令塔たる国家情報会議が創設されたことを受けて、第二次提言では、「政府の有識者会議に対し、立法・組織設計上の選択肢と論点を提示する」と称して、防諜・対外情報収集・民主的統制、すなわち「目と耳」および監督を制度化する構想を打ち出している。
ここでいう「政府の有識者会議」とは、正式名称を「インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議」といい、政府の情報活動を今後どう強化するかを検討する、首相直属の専門家会議だ。2026年9月25日の首相決裁で設置され、同月28日に第1回会合が開かれた。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/intelligent_features_kyoka/index.html
要はこの有識者会議で検討すべき論点を第二次提言は明示‥‥―――――――――――――――
ぜひ、会員向けメルマガで全文をご確認ください。
ご入会いただくとメルマガをお届け致します。
貴重な情報満載の過去のメルマガもすべてお読み頂けます。
【会員ページ】 https://kyuukoku.com/account/
【ご入会案内】 https://kyuukoku.com/support/救国シンクタンクの理念に賛同し、活動にご協力いただける方は、ご入会の手続きをお願い致します。
(文責:事務局)********************
当該レポートの簡潔なまとめを共有します。
レポートの重要ポイント
提言の位置づけ:第一次提言による「国家情報会議(司令塔)」創設に続き、新設された首相直属の「インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議」へ具体的な論点・選択肢を提示。 基本理念と三本柱:「情報防衛力」を国民監視ではなく「外国の隠れた工作から国民の自由な判断と民主主義を守る能力」と定義し、「抑止」「収集」「監督」を不可分のパッケージとして提示。 制度的中核「外国干渉防止法(仮称)」:
登録による透明化(国家公安委員会が管理案)と違法な干渉行為への刑事罰を一体化。 欺罔による政治・社会干渉や外国情報機関への支援等を処罰対象としつつ、正当な外交・学術・報道・経済活動を萎縮させない明確化を追求。 運用体制(役割分担と原則的分離):
警察庁(外事情報部:捜査・摘発の中核)、公安調査庁(国内諜報の収集・未然防止)、国家情報局(分析・評価)、常設合同タスクフォースを配置。 収集側の成功バイアスを排除するため、「収集機能」と「分析・評価機能」を原則的分離。 情報収集機能(4類型)の強化策:
SIGINT(通信・電波):通信傍受法の対象拡大に加え、安全保障目的の「対外情報収集法(仮称)」の制定検討(令状・司法的関与・データ最小化など厳格な歯止めを一体化)。 HUMINT(人的情報):自民・維新の連立合意に基づき、令和9(2027)年度末までの「対外情報庁(仮称)」新設を検討(外務大臣監督下の独立外局案、政策介入を防ぐ独立性や要員の身分保全を考慮)。 OSINT(公開情報):SNS上の影響力工作・偽情報ネットワーク分析能力の向上(民間・大学との連携)。 GEOINT(地理空間情報):内閣衛星情報センターの24時間運用の早期実現。 監督と統制(能力強化の前提条件):
国会監視の対象を行政活動・予算全体へ拡大(米・英・豪の議会特別委モデル)。 個別作戦や通信傍受を専門検証する合議体型「独立監察機関」の設置(英IPCO参照)および機関内部の監察機能(米IG参照)。 横断的実務インフラの整備:
官邸等の電子機器持込み規則見直し(防諜プロトコル)。 省庁横断の「トップシークレットクラウド」整備。 「インテリジェンス・アカデミー」の創設や、米In-Q-Tel型をモデルとした先端民間技術(AI・量子等)への出資・育成。【会員限定詳細レポートのご案内】各国法制度との緻密な比較分析、運用上の詳細な課題検証、および今後の政策展望を含む完全版レポートは、救国シンクタンク有料会員限定にて公開しております。確かな知見に基づく本格的な政策提言・分析の全文を読まれる方は、ぜひ有料会員へご登録のうえご覧ください。
今回の自民党インテリジェンス戦略本部による第二次提言、そして江崎道朗先生による解説・レポートを拝読し、私が特に注目したのは、「情報収集能力の強化」と「厳格な民主的統制(国会監視・独立監察・権利救済手続)」が不可分のセットとして設計されている点です。
インテリジェンス機能や防諜体制の強化というと、どうしても「国家による国民監視や権権濫用につながるのではないか」という懸念が付きまといます。しかし、本提言ではそうした旧来の懸念を払拭すべく、能力強化を「監督の代償」とするのではなく、「厳格な監督・統制こそが国民の信頼と能力強化の前提条件である」と明確に位置づけています。
米英豪などの議会特別委員会を参考に、国会による行政活動や予算への監視権限を拡充することや、独立した専門合議体による監察、さらには国民の権利侵害に対する救済手続を設けるなど、自由と民主主義を守るための極めて現実的かつ洗練された制度設計が模索されています。単にスローガンとして叫ぶだけではなく、権力の暴走を防ぐチェックアンドバランスを組み込んだ上で法制化を目指す姿勢は、自由主義の立場からも大いに評価・注視すべきポイントです。
我が国の主権と自由な社会を外国の隠れた工作から守るため、政府の「インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議」において、こうした論点が骨抜きにされることなく着実に具現化されていくのか、引き続き私自身もしっかりと動向を追い、提言を続けてまいります。

