サイトアイコン 参議院議員 浜田聡のブログ

NHKの受信料の法的取り扱い等に関する質問主意書 ←浜田聡提出

今回は、私が初めて参議院に提出した質問主意書を紹介します。2019年11月11日に提出したものです。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

で、私の提出した質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

NHKの受信料の法的取り扱い等に関する質問主意書

NHKから国民を守る党は、先の第二十五回参議院議員通常選挙において比例代表選挙にて約九十八万票、選挙区選挙にて約百五十二万票を獲得し、一議席を得た上で政党要件を満たした。NHKから国民を守る党は放送法を改正し、NHKの受信料制度の改革を行うことを最重要公約としている。
さて、政府は令和元年八月十五日の閣議にて「NHKと受信契約を結んだ人は受信料を支払う義務がある」とする「衆議院議員中谷一馬君提出令和時代のNHKのあり方に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一九九第一六号。以下「先の答弁書」という。)を決定した。さらに、受信料を支払っている人だけがNHKの放送を見られるようにするスクランブル化について、「NHKが公共放送としての社会的使命を果たしていくことが困難になる」という見解を先の答弁書において明らかにした。先の答弁書を基に、国民がNHKの諸問題に対する政府の立場を正確に把握するために、政府の見解を確認したく、以下の質問をする。

一 過去に国会において、受信料の支払いを義務化するかどうかに関して数回にわたり議論されている。
昭和四十一年には受信料の支払いの義務化を盛り込んだ放送法改正案が提出されたが、政府が受信料は強制徴収ではなくNHKに対する私法上の取り扱いであると説明した後に審議未了により廃案となっている。昭和五十五年にも放送法改正案が提出された。受信機の設置とともに受信料の支払いを義務付ける案であり、罰則に関する規定も盛り込まれていた。この時には、受信機の設置と同時に受信料の支払い義務が生じることが憲法二十九条の財産権の保障に違反するのではないかという議論が出る中で、衆議院が解散され、審議未了により廃案となった。その後、平成十八年に竹中平蔵総務大臣は、受信料の引き下げと同時に罰則のない支払いの義務化を含む放送法改正案を提出する方針を明らかにした。同方針は平成十九年に菅義偉総務大臣に引き継がれたが、NHKが受信料の引き下げに難色を示したために、受信料の支払いの義務化のみを行うことは国民の理解を得られないとして、結局、放送法改正案には盛り込まれなかった。
よって、放送法六十四条にて、受信機の設置をした者に放送受信契約の締結が義務付けられているが、受信料の支払いに対して法的に義務化されている事実はない。受信機を設置の上で放送受信契約を未締結であることは法律違反である。しかし、放送受信契約を締結の上で受信料の未払いをする者は法律に違反するものではなく、NHKとの契約における私法上の滞納者に過ぎない。右記の通り、現行の放送法においてNHKの受信料の支払いは法的に義務付けられてはおらず、先の答弁書での政府の見解は多くの国民に対して誤解を招きかねないと危惧するところであるが、政府としての所見を伺いたい。

一について
お尋ねについては、御指摘の答弁書(令和元年八月十五日内閣衆質一九九第一六号。以下「一六号答弁書」という。)一から三までについてでは、「放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第六十四条第一項において、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会と受信契約を締結する義務があることを定めており、当該受信契約を締結した者は、協会に対し、当該受信契約に基づく受信料を支払う義務がある」とお答えしているところであり、国民に誤解を与えるものではないと考えている。

二 平成二十九年十二月六日、最高裁判所にて、「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者がNHKとの受信契約を承諾しない場合は、NHKが承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって契約が成立する」という判断が下された(以下「平成二十九年最高裁判決」という。)。受信設備があれば受信契約を締結しなければならないという放送法六十四条に定める法的義務はあるものの、それを承諾しない国民も多数いるものと認識している。
NHKは、放送法六十四条に基づいて受信契約は締結したものの受信料を支払わない者の件数、並びに放送法六十四条に反して受信設備があるにもかかわらず受信契約を締結しない者の件数をそれぞれ開示されたい。また、平成二十九年最高裁判決を受けてNHKが訴訟によって増加させた受信契約の数と、それに必要とした費用の開示を求める。

二について
お尋ねの「放送法六十四条に基づいて受信契約は締結したものの受信料を支払わない者の件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本放送協会(以下「協会」という。)の「平成三十年度決算概要(令和元年六月)」によると、平成三十年度末時点において、受信契約に基づく受信料を支払う義務があるにもかかわらず受信料を支払わない者の件数は約七十六万件となっている。また、お尋ねの「放送法六十四条に反して受信設備があるにもかかわらず受信契約を締結しない者の件数」については、「日本放送協会平成三十年度業務報告書」によると、同年度末時点において、協会が推計する受信契約対象数は約四千九百八十八万件、受信料の全額免除を受けている受信契約数を除く受信契約数は約四千百六十九万件となっており、当該受信契約対象数から当該受信料の全額免除を受けている受信契約数を除く受信契約数を差し引くと約八百十九万件となる。さらに、お尋ねの「平成二十九年最高裁判決を受けてNHKが訴訟によって増加させた受信契約の数と、それに必要とした費用」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

三 NHKの公開する決算書によると、平成三十年度において受信料未収金として五十六億円を資産計上している一方、未収受信料欠損償却費として百十三億円を支出している。
当年度決算において、百十三億円もの多額の償却に至る償却基準を総務省は把握しているか、示されたい。また、未収受信料欠損償却費がこのように多額に支出されている現状に対する政府の認識について伺いたい。
加えて、当年度決算においては、受信料未収金は五十六億円と計上されている一方で、NHKと受信契約を締結の上で受信料の不払いをしている世帯は七十六万世帯と明記されている。七十六万世帯すべてが地上契約だとしても、当年度だけで百十九億円の債権となるはずである。よって、受信料未収金の計上額の算定根拠を明らかにされたい。

三について
御指摘の「未収受信料欠損償却費」については、協会において、過去の実績に基づき、翌年度における受信料未収金の収納不能見込額を算出し、計上しているものと承知している。受信料の未払に関して、政府としては、受信料の公平負担の確保が重要であると認識しており、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第七十条第二項の規定に基づき協会の収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見において、公共放送の役割や受信料制度の意義も含めて丁寧な説明を行い、国民・視聴者の理解を得るよう努めることを求めている。協会においては、未払者対策を進めているが、こうした指摘も踏まえ、引き続き適切に対応されるべきものと考えている。また、御指摘の「受信料未収金の計上額」約五十六億円については、受信料未収金約百八十五億円から未収受信料欠損引当金約百二十八億円を差し引いたものと承知している。

四 平成二十九年最高裁判決により、NHKの受信契約の未締結者に対する訴訟件数や受信料の支払いをめぐる異議申し立てにより訴訟に至る件数は膨大な数に上ると予想されるが、NHKの具体的な取り組み姿勢とそれぞれの件数およびそれぞれに必要とした費用について開示を求める。

四について
お尋ねの「受信料の支払いをめぐる異議申し立てにより訴訟に至る件数」、「NHKの具体的な取り組み姿勢」及び「それぞれに必要とした費用」については、それらの意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。お尋ねの「受信契約の未締結者に対する訴訟件数」については、「日本放送協会平成三十年度業務報告書」によると、協会が平成三十年度に提起した民事訴訟の件数は七十一件となっている。

五 平成二十九年最高裁判決に基づいてNHKが受信契約を締結するべき世帯は、一説には九百万世帯にも及ぶとも言われている。そのすべてについて、実際にNHKが訴訟によって契約を進めていくことは現実的に難しいであろうことは容易に察する。そうした中で、NHKはどのような判断基準において訴訟に至る世帯とそうでない世帯とを仕分けているのか、その判断基準の開示を求める。

五について
お尋ねの「判断基準」については、協会において判断されることであり、政府として把握しているものではないため、お答えすることは困難である。

六 政府は先の答弁書にて「受信料の公平負担の徹底に向けて、未払者対策を着実に実施すること」をNHKに求めているとしているが、平成二十九年最高裁判決を受けて訴訟による判決を必要とされたことによるNHKの膨大な訴訟対応とその費用に係る負担についての政府の見解を伺いたい。

六について
御指摘の「未払者対策」については、まずは協会において検討し実施されるべきものと考えている。

七 受信料制度を平等なものに改善するべく、是に象徴的なワードとして「NHKの放送のスクランブル化」を考えたとき、災害時の緊急放送や教育・教養番組、政見放送などを含めて、無分類にスクランブル化の導入を推し進めることが絶対ではない。スクランブル放送の導入を検討するにあたり、その範囲については国民的な議論が必要であろうと考えている。そこで、先の答弁書にて政府が言う「NHKの公共放送としての社会的使命」とはどのようなことを指しているのか具体的に伺いたい。

七について
お尋ねの「NHKの公共放送としての社会的使命」については、一六号答弁書四についてでお答えしたとおり、「あまねく日本全国において受信できるように、豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行う等」のことである。

八 放送法六十四条一項但し書きには、「放送の受信を目的としない受信設備(中略)を設置した者については、この限りでない」とある。NHKはワンセグ付き携帯電話やワンセグ付きカーナビゲーションの保有者にも放送受信契約の締結を求めている。携帯電話やカーナビゲーションに付帯するワンセグ放送を視聴することができる機能が、「放送の受信を目的」としているのかどうか、政府の見解を伺いたい。

八について
放送法第六十四条第一項ただし書に規定する「放送の受信を目的としない受信設備」とは、受信設備の設置目的が客観的に放送の受信を目的としないものと解されているところ、御指摘の「ワンセグ付き携帯電話やワンセグ付きカーナビゲーション」については、客観的に放送の受信を目的としないものと認めることができないため、同項ただし書に規定する「放送の受信を目的としない受信設備」に該当しないものと考えている。

分量が多くて、読むのが大変ですね。答弁者も大変だったと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

モバイルバージョンを終了