今回は農業の話題を。
今回の本題はこの話題。
アベマプライムの動画。ポイントが網羅されているように思います。
提示された動画(ABEMA Prime『【ジャガイモ輸入】なぜアメリカは生鮮の解禁を要請?病害虫が持ち込まれるリスクは?生産者に聞く』)の議論のポイントを箇条書きで整理しました。
問題の背景と現在の状況 懸念される病害虫と土壌汚染リスク 青果用(生鮮)ならではの侵入ルートの怖さ アメリカ側の狙いと通商上の力学 輸入容認・前向き側の主張(エコノミスト・経済視点) 生産者・慎重側の反論
流通・包装コストが高いため、輸入しても消費者が期待するほど安く手に入らない可能性がある [19:15]。
農水省の説明動画。
提示された農林水産省公式YouTube動画(BUZZMAFF『【農水省公式】解禁ありき?なぜ輸入検疫協議をアメリカとしているのか、農林水産省の担当職員が解説します』)の要点を箇条書きで整理しました [source: 1]。
前置き・農水省のスタンス
「農家を守る気がない」「農家を潰したいのか」といった批判に対し、大臣から担当職員に至るまでそのような意図は一切ないと否定 [source: 1: 00:00:48]。 日本の食と農を守るため、厳格な科学的根拠に基づいて対応していると強調 [source: 1: 00:12:36]。 なぜ協議を中止・拒否できないのか(WTO・SPS協定のルール)
日本はWTO(世界貿易機関)に加盟しており、国際的な検疫ルールである「SPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)」に従う義務があるため、協議自体を一方的に拒否・中止することはできない [source: 1: 00:01:23], [source: 1: 00:01:55]。 SPS協定の基本ルールは「① 輸入禁止などの措置は科学的根拠に基づかなければならない」「② 相手国から協議要請があれば応じなければならない」の2点 [source: 1: 00:02:36]。 相手国から病害虫のリスクを十分に下げる科学的・客観的な措置が提示された場合は、輸入を認めなければならない取り決めになっている [source: 1: 00:03:49]。 国内の自給率の高さや「輸入したい/したくない」といった政治・経済的思惑は、検疫協議においては考慮されない [source: 1: 00:04:19]。 日本側もこのルールを使い、2021年のメロンのほか、かんきつ類やぶどうなどの対米輸出を協議・実現させている [source: 1: 00:04:53]。 「解禁ありき」で進んでいるのか?
解禁ありきということは全くない [source: 1: 00:05:26]。 病害虫の侵入リスクが十分に下がると客観的・科学的に証明されない限り、協議は前進せず、結果として解禁にも至らない [source: 1: 00:05:32]。 日本が求める衛生基準をクリアできず、必要な検査や試験データが示されない場合は輸入を認めない方針 [source: 1: 00:06:01]。 シストセンチュウ等の侵入リスクと「土付き」への懸念
スーパー等で売られているような「土付き」のジャガイモを輸入許可することは、検疫上「絶対にあり得ない」と断言 [source: 1: 00:06:45]。 土は病害虫のリスクが極めて高いため植物検疫で輸入が原則禁止されており、すでに輸入されている玉ねぎや人参同様、土の付着を完全に防ぐ管理措置を求める [source: 1: 00:07:00]。 仮に将来解禁されるとしても、米国産のイモを一律で受け入れるのではなく、日本側の厳しい基準・管理措置をクリアしたものだけに限定される [source: 1: 00:07:55]。 現在の協議の進捗状況
一般的な検疫プロセスは「① 相手国からの要請 → ② リスクの評価(危険な病害虫の特定) → ③ リスクの管理(防除手段の策定) → ④ 解禁」という流れ [source: 1: 00:08:32]。 2020年に米国から要請を受けて以降、慎重に「リスク評価」を行い、協議が必要な病害虫(ジャガイモシロシストセンチュウ等)を特定し終えた [source: 1: 00:09:07]。 現在は「② リスク評価」が終わり、これから具体的な侵入防止策を決めていく「③ リスク管理」の協議が始まる段階にある [source: 1: 00:09:48]。参照動画:【農水省公式】解禁ありき?なぜ輸入検疫協議をアメリカとしているのか、農林水産省の担当職員が解説します [source: 1]
農業の専門家、浅川芳裕さんのXポストを紹介します。米に関する話ですが、今回のジャガイモについても適用すべき話です。
こうした作物別の戦略計画を担う米国ポテト協会のような農家主導の団体が世界中に存在する。米国ポテト協会の場合、全米のジャガイモ生産者が年会費で100人の専門スタッフを雇用し、3年ごとに「戦略マップ」を策定。ジャガイモの需要ビジョン、市場開拓、技術革新を定め、協会員が方向性を共有する。
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 24, 2025
同じ危機にある日本のコメ農家に必要なのが「ジャパン・ライスファーマーズ」だ。農家が出資し、価格・供給計画、プロモーションなどの全体設計を担う組織。農協や農水省ではなく、農家自身が決める場だ。これは絵空事ではない。
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 24, 2025
日米農家による胃袋シェア争奪戦だ。日本のコメ農家が消費者の胃袋を満たさねば、アメリカの米・小麦・ジャガイモ農家が奪う。だが、遅すぎることはない。農家主導でコメ戦略をつくる時だ。自ら動き、危機を切り開くのはコメ農家しかいない。価格も需要も将来も自分たちで意思決定できる。今がその時だ
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) March 24, 2025
これらを踏まえて、私のエックスのポスト。
米国産生鮮ジャガイモの輸入要請について、議論の本質と日米の生産者組織の差、そして日本が取るべき方向性を整理しました。
【今回の問題の本質】… https://t.co/C2rTMsGgbX
— 浜田 聡 前参議院議員 日本自由党月額980円党員募集中💉💉💉 YouTube&ブログ毎日更新 (@satoshi_hamada) September 23, 2026
米国産生鮮ジャガイモの輸入要請について、議論の本質と日米の生産者組織の差、そして日本が取るべき方向性を整理しました。
【今回の問題の本質】
今回の動きは、米国産生鮮ジャガイモを今すぐ店頭に並べる決定ではありません。2020年の米側要請を受けた検疫協議を加速させ、3段階のうち第1段階である病害虫21種の特定を終えて、第2段階のリスク管理措置の検討に入ったというフェーズです。関税は過去の通商交渉で既に問題ではなく、残っているのは植物検疫のみです。
また、2006年から条件付きで入っているポテトチップスなどの加工用とは決定的に異なります。加工用は指定産地から密閉輸送され、指定工場で高温加熱されるため病害虫が外へ漏れません。しかし青果用は泥付きや生のまま流通し、消費者が庭や畑に植えてしまう種芋への転用や生ゴミ経由など、土壌への侵入経路が格段に広がります。
焦点となるジャガイモシストセンチュウ、シロシストセンチュウ、がんしゅ病などは、一度土壌に入ると現代の技術でも根絶がほぼ不可能です。北海道をはじめとする主産地で発生すれば、翌年の苗となる種芋の生産が法的に禁止され、輪作体系を含めた日本の農業基盤そのものが崩壊しかねません。侵入後の社会的費用や土壌汚染は不可逆的であり、数年間安いイモを買える消費者の便益をはるかに上回ります。
【頭ごなしの輸入拒絶論への反論と科学的判断】
だからといって、感情的に「輸入は一切拒絶すべし」と鎖国論に走るのも短絡的です。WTOのSPS協定上、科学的根拠のない輸入禁止を一方的に維持することはできず、要請があれば協議に応じる義務があります。何より、気候変動で天候リスクが高まる現代において、検疫条件を満たす範囲の輸入まで全否定してしまえば、国産不作時の緩衝機能を失い、かえって食料安全保障を損ないます。
科学の世界に100パーセントのリスクゼロはほぼ存在しません。だからこそ、「ゼロリスクではないから全て拒否する」のも、「ゼロリスクは無理だから条件を緩める」のもどちらも乱暴です。問うべきは、危険地域や土の付着排除、選別・検査、流通経路の限定、種芋転用の防止、万が一の廃棄・補償責任といった管理措置により、リスクを無視できる水準まで下げられるかどうかです。米国の政治日程に合わせた手続き加速に流されることなく、基準を満たさないなら止めると明言し、管理措置を公開して検証することが不可欠です。
【相互主義の落とし穴と日米の組織格差】
「米国も日本産を止めているのだから解禁すべきでない」という相互主義の感情論も、交渉カードにはなっても病害虫リスク評価の代わりにはなりません。むしろ直視すべきは、日米の生産者組織の圧倒的な構造差です。
米国側には、政治ロビーを担う全米ポテト評議会(NPC)と、輸出開拓・宣伝を担う米国ポテト協会(Potatoes USA)という専門部隊が存在します。これは最初から順風満帆だったわけではありません。不作や需要減に苦しみ、「このままでは産地が終わる」という強い危機感を持った米国の生産者たちが自ら立ち上がり、長年かけて築き上げた仕組みです。連邦法に基づくチェックオフ制度によって生産者から自動的に資金を拠出し、専従のプロ集団を雇って数十年にわたりワシントンD.C.や世界市場へ攻勢をかけています。
一方の日本は、米から野菜まで全品目を一括で抱えるJA系統による国内防衛や国の単年予算に依存しており、ジャガイモ単品の海外市場開拓や、相手国の検疫を突き崩すための専門ロビー組織を持っていません。
【日本もかくあるべき:農家主導の戦略組織へ】
米国に対抗し、対等な相互主義(日本産イモの輸出や不当な圧力への科学的対抗)を実現するためには、日本もただ殻に閉じこもる反対運動や行政任せから脱却しなければなりません。
海外の農家団体はすでに日本市場の攻略を綿密に設計しており、日本の農家は知らず知らずのうちに彼らと胃袋のシェアを争っています。出荷したら終わり、相場任せという姿勢のままでは、将来の価格も需要も自分たちで設計することはできません。
日本に必要なのは、農協や農水省任せではなく、農家自身が出資して価格・供給計画・プロモーションなどの全体戦略を主導する「ジャパン・ポテトファーマーズ」のような作物別組織です。3年ごとの戦略マップ策定、需要の開拓、技術革新を生産者自らが共有し、意思決定していく攻めの体制が求められます。
【結び】
感情的な輸入拒絶に逃げ込むのではなく、科学的検疫によって自国の畑と種芋を断固として守り抜くこと。基準未達なら毅然と輸入を認めない防壁を保ちつつ、日本側も農家主導の品目特化型戦略組織を立ち上げ、科学データと専門部隊を武器に世界と渡り合う攻めの体制を整えること。この両輪が揃って初めて、日本の農業基盤を真に守り、発展させることができます。
#日本自由党
日米の通商交渉と農業のあり方を巡っては、単なる「輸入賛成・反対」の二項対立で思考停止してはなりません。
農水省が公式に説明している通り、WTO(SPS協定)の加盟国である以上、相手国からの協議要請自体を一方的に拒絶することは国際ルール上不可能です。しかし同時に、農水省自身が「解禁ありきではない」「客観的・科学的な裏付けが示されなければ解禁には至らない」「土付きの輸入許可はあり得ない」と明言している姿勢こそが極めて重要です。一度侵入すれば取り返しのつかない土壌病害虫から日本の畑や種芋を守るため、政治日程や外交圧力に決して妥協することなく、この厳格な科学的検疫基準を言葉通り最後まで貫徹することが政府には強く求められます。
一方で、日本の農業を真に持続可能で強い産業へと変革していくためには、従来の「全農産物を包括する農協系統による国内防衛」や「行政・補助金頼み」の構造から脱却しなければなりません。米国のように、生産者自身が出資して専門スタッフを雇用し、単一品目ごとに世界市場の開拓や戦略的マーケティング、政策提言を主導する「品目別の自立型組織」へと進化していくことが急務です。
感情論による鎖国的な輸入拒絶に閉じこもるのではなく、守るべき土壌と種芋は科学的検疫で断固として守り、攻めるべき市場には農家主導の戦略組織で打って出る。
日本の農業の自立と発展、そして実効性のある食料安全保障の実現に向けて、今後とも現場の声を大切にしながら、問題提起と建設的な政策提言を続けてまいります。
追記(2026年9月25日)
日本の農業を強くするには、JA解体が必要な理由、そして過去になされたJA改革についてまとめました。
日米の生産者組織の違い、JA改革の必要性、そして過去の改革の歴史について、難しい用語を省いて要点を箇条書きで整理しました。
なぜ日本版「ポテト協会」を作るのにJA改革が必要なのか
アメリカのポテト協会は、農家自身がお金を出し合い、専門家を雇って「ジャガイモ1品目の世界展開・宣伝」に全力を注ぐ組織であること。 対する日本のJAは、米・野菜・肉など全部をまとめて扱う「総合農協」のため、特定の1品目だけに資金や人を集中投下できない仕組みになっていること。 さらにJAは銀行(JAバンク)や保険(JA共済)の利益が大きいため、本業である「作物を工夫して高く売るマーケティング」が育ちにくい体質があること。 安倍政権の農協改革(2015年)とその限界
全国組織の頂点にあった「JA全中」の強い権限(地域農協への強制的な指導・監査権)を廃止し、地域農協が独自に動きやすくしたこと。 農協の役員の半分以上を現場のプロ農家にすることを義務付けたこと。 ただし、銀行・保険事業の切り離しなど根本的な体質改善には踏み込めず、「看板を掛け替えただけで実質的な体質はあまり変わらなかった」という限界が残ったこと。 安倍政権以上に成果を上げた歴史的改革:1995年の「食糧管理法(食管法)廃止」
戦後ずっと「米は国と農協が買い取り、価格を決める」という独占状態が続いていた仕組みを完全に解体したこと。 農協を通さずに、農家がスーパーや外食チェーンへ直接お米を売る「自由な民間流通」が法律で認められたこと。 これにより意欲ある農家が自ら価格交渉や販路開拓をする道が開かれ、農協の独占体制を根底から崩した「戦後最大の成果を上げた改革」となったこと。 今後、全米ポテト協会型を目指すために必要な改革
農協を「銀行・保険屋」から「作物を売るプロ集団」へと脱皮させるため、金融事業を切り離すこと。 全品目を抱え込む仕組みをやめ、ジャガイモなど特定の作物ごとに農家が出資して専門組織(日本版チェックオフ制度など)を作れる法律・制度を整えること。 「国やJAに守ってもらう農業」から「農家自らが組織を作って世界と戦う農業」へと舵を切る土台をつくること。

