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コロナやワクチンなど医療情報を判断する際に重視すべきこと 誰が言ったかよりも客観的なデータが大事 エビデンスレベルについて その2

昨日は↓のような記事を書きました。今回はその続きとなります。

医療情報をどのように評価すればいいのか、という話でした。全ての情報を対等に扱うべきではなく、信頼性にはそのレベル(高低)があることを知っておくべきと考えます。

具体的には次のようなものです。※エビデンスレベルの分類方法には様々あり、今回紹介するのはあくまで一例です。

今さら聞けない医学統計の基本 医学統計の基本シリーズ第1回:臨床研究の種類と特徴 解説4:解説(研究デザインとエビデンスレベル)

若林:エビデンスレベルという言葉は、ガイドラインでよく目にします。

円城寺:若林君の言うとおり、ある治療方法の効果が質の高いエビデンスで裏付けられているかは、とても重要なポイントです。では、何をもって質の高いエビデンスというか分かるかな?(以下略)

図 エビデンスレベルのランク
(出典:山崎力、小出大介:臨床研究いろはにほ、31ページ、ライフサイエンス出版、2015(一部改変))

上に行くほど信頼性が高くて、下に行くほど信頼性は落ちます。

若干専門用語が混じっていて、一般の方にとっては抵抗感があるかもしれませんが、ざっくりと理解いただけるように説明します。Ⅵ「専門家の意見」Ⅴ「記述研究(症例報告)」は昨日の記事で書いたので、今回はその続きです。

「疫学研究(コホート研究/症例対照研究など)」「非ランダム化比較試験」「ランダム化比較試験(RCT)」はいずれも多数(集団)のデータを分析したものです。以下、それぞれの違いを説明します。

まずは特に重要なⅡ「ランダム化比較試験(RCT)」について説明します。図を見ると理解が早いと思います。

出典:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】(2012年)p17

対象者をランダム(無作為)に2群に分け、一方にはこれまでの従来の治療法(標準治療)、他方には新規に開発された治療法を行い、治療の効果を比べる方法です(※標準治療の代わりに、効果のない偽薬・プラセボを用いる場合もありますが、近年は倫理的な問題から偽薬・プラセボは用いないことが多くなっています)。対象者をランダムに振り分けることによって、その治療法の効果を純粋に検証することができます。そのため病気の治療法の評価方法として、研究結果の信頼性は、一番高いとされています。

「非ランダム化比較試験」はⅡ「ランダム化比較試験(RCT)」と異なり、対象者を振り分ける時にランダム化(無作為化)を行わないものです。そのため、結果の信頼性はⅡ「ランダム化比較試験(RCT)」に比べてやや劣るとされています。

そして、ⅣとⅢ・Ⅱの違いは、集団に対して何らかの介入(例えば投薬)するかしないか、です。Ⅳは介入なしで、Ⅲ・Ⅱが介入ありです。と言っても分かりにくいと思うので具体例を示します。

Ⅳの例:煙草を吸う集団と吸わない集団を分け、それぞれの寿命のデータを比較する。

Ⅲ・Ⅱでは集団を2グループに分け、一方のグループに薬を投与し、もう一方のグループには偽薬(プラセボ)を投与して、それぞれのグループでの投薬後の効果のデータを比較する、といったようにグループのメンバーに対して投薬のような介入をするのに対し、Ⅳ「疫学研究(コホート研究/症例対照研究など)」では一般的にそういった介入を行いません。そのため研究設定の際の集団の分け方などが難しく、研究結果に色々なかたよりが入り込む可能性があります。

最後にⅠシステマティックレビュー、ランダム化比較試験のメタアナリシスがあります。これはランダム化比較試験など多数の研究結果をまとめて総合的に評価したものです。

↓もういちどこの図を提示します。

こんな感じで、それぞれの情報の信頼性にランク付けをするのがエビデンスレベルという考え方です。

このコロナ禍では、コロナ感染症には○○が効く、ワクチンをうつと○○になる、といった情報があふれています。それぞれの情報について、上記のような研究結果を踏まえた情報なのかどうかには注意深くありたいところです。

最後に繰り返しになりますが、上記のようなデータを踏まえない個人の意見は、それがセンセーショナルなものであれば特に、その情報の信頼性に疑義をもつことが重要ではないでしょうか。

普段からテレビを見る習慣のある人は、様々な情報が受動的に入ってくるので注意が必要かもしれません。

参考図書は多数ありますが、ひとつだけ紹介しておきます。

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