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災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問主意書 ←丸山穂高・浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年11月10日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は丸山穂高前衆議院議員が衆議院に提出した質問主意書を私が内容をそのまま引き継いで参議院に提出したものです。丸山穂高前衆議院議員が提出して間もなく衆議院が解散となり、答弁先がなくなったために答弁書が作られないこととなりました。

災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問主意書

そのままではせっかく書かれた質問主意書が無駄になるので、私がフォローして提出したという次第です。

今回は地方公共団体の情報システムに関する質問です。一応、関連しそうな動画として地方自治体のデジタル化に関する動画を紹介しておきます。※今回の質問主意書はさらに災害時の情報システムの継続性に関する質問となります。

元総務省官僚で現在はデジタル庁の官僚の方による講演動画です。

ちなみに、BCPとは、災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画(Business Continuity Planning)のことです。知らない方はこの機会に知ってもらえれば、と思います。

BCP(事業継続計画)とは? はじめてでもわかる策定・構築の手順と対応方法

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問主意書

 政府は、「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」(平成二十年八月)(以下「ICT―BCPガイドライン」という。)において、地方公共団体は、災害時に、地域住民の生命・身体の安全確保及び被災者支援並びに企業活動復旧のために、災害応急業務、復旧業務及び平常時から継続しなければならない重要な業務を実施していく責務を負っており、これらの業務の継続を確保するためには、災害時に情報システムが稼働することが極めて重要と明らかにしている。それに加えて、情報システムを所管するICT部門の業務継続計画(以下「ICT―BCP」という。)の策定に向けた地方公共団体の取組を支援するため、「ICT部門の業務継続計画〈初動版サンプル〉」(平成二十五年五月)等を作成・公表している。

しかしながら、総務省の「地方自治情報管理概要」(平成二十六年三月及び令和三年八月)によれば、市区町村におけるICT―BCPの策定率は、平成二十五年四月時点の十・八%から令和二年四月時点で四十三・六%に上昇したものの、未だ半数以上の市区町村は未策定となっている。特に、町村においては、令和二年四月時点で六十八・九%が未策定であり、このうち五十・三%が策定予定はないとしている。

これらについて、以下質問する。

一 災害に強い電子自治体に関する研究会「第八回ICT部門の業務継続・セキュリティWG」(平成二十四年九月二十七日)における配付資料「「災害発生時の業務継続及びICTの利活用等に関する調査」にかかる補足調査について」において、ICT―BCP未策定の理由などに関する調査(以下「補足調査」という。)の結果が取りまとめられている。

1 補足調査の結果によれば、ICT―BCPの策定推進に有効と思われる手段について、「ICT―BCPのサンプル提供」と回答した地方公共団体が八十%と最も多く、「ICT―BCPの意義、地域防災計画との関係性などの明確化」と回答した地方公共団体も六十七%となっている。

政府は、平成二十五年五月に、ICT―BCPの初動版サンプル、初動版解説書、ICT―BCPとその意義に係る資料等を作成・公表し、地方公共団体における取組を支援している。そうであるにもかかわらず、市区町村におけるICT―BCPの策定率が四十三・六%にとどまり、中でも町村の六十八・九%がICT―BCPを未策定であり、このうち五十・三%が策定予定なしと回答している現状を、どのように評価しているか。また、策定が進んでいない理由をどのように認識しているか、見解を示されたい。

一の1について
お尋ねの情報システムに関する業務継続計画(以下「ICT-BCP」という。)の市区町村の策定状況については、令和三年三月二日に総務省が実施した「令和二年度地方公共団体における行政情報化の推進状況調査について(照会)」による調査の結果によれば、令和二年四月一日時点のICT-BCPを策定している市区町村の割合は四十三・六パーセントであり、特に町村の六十八・九パーセントがICT-BCPを策定しておらず、このうち五十・三パーセントが策定予定なしとしており、ICT-BCPの策定に向けた市区町村の取組を継続的に支援する必要があると認識している。また、お尋ねのICT-BCPの「策定が進んでいない理由」については、平成二十八年度に総務省が実施した「ICT-BCP及び情報セキュリティポリシーについて」による調査の結果によれば、地方公共団体がICT-BCPを策定していない理由として、全庁業務継続計画(以下「BCP」という。)の検討後又はBCPと合わせてICT-BCPを検討すること、ICT-BCPを策定するための人材が不足していること等が挙げられている。

2 補足調査の結果によれば、ICT―BCP未策定の理由について、「ICT部門の要員不足」を理由とした地方公共団体が六十一%と最も多くなっている。そこで、ICT―BCPの策定率を向上させるため、ICT部門の要員不足解消に向けて行った人的支援について、実績も含めて回答されたい。また、更なる策定推進のため、地方公共団体に対し、より一層の人的支援を行うべきであると考えるが、見解を示されたい。

一の2について
お尋ねのICT-BCPの策定率を向上させるための人的支援については、地方公共団体情報システム機構において、地方公共団体からの情報システムに関する相談や照会に対して、地方支援アドバイザーの派遣を行っており、ICT-BCPを含むBCPの策定支援のため、これまで十一団体に対して派遣を行っているほか、消防庁において市区町村職員を対象としたBCPの策定を支援する研修を平成二十七年から実施している。更なる人的支援については、こうした取組も踏まえながら、必要に応じて検討を行ってまいりたい。

3 補足調査の結果によれば、ICT―BCPの策定推進に有効と思われる手段に係る「その他」の意見として、地方公共団体から財政措置を求める意見が挙げられている。このような意見も踏まえ、ICT―BCPの策定推進のため、これまで地方公共団体に対して行った財政的支援について回答されたい。行っていないのであれば、その理由について回答されたい。また、更なる策定推進のため、地方公共団体に対し、財政的支援を実施又は拡充すべきであると考えるが、見解を示されたい。

一の3について
ICT-BCPの策定推進のため、これまで地方公共団体に対して行った財政的支援はない。御指摘の平成二十四年八月十日に総務省が実施した「「災害発生時の業務継続及びICTの利活用等に関する調査」にかかる補足調査について(依頼)」による調査(以下「補足調査」という。)の結果によれば、ICT-BCPの策定推進に有効と思われる手段について、財政的支援が必要と回答した地方公共団体は五団体のみであるほか、地方公共団体におけるICT-BCPの策定が一定程度進展している現状を踏まえれば、直ちに財政的支援が必要であるとは考えていない。

4 補足調査のようなICT―BCP策定の阻害要因等を把握するための調査について、平成二十四年以降に行った実績について回答されたい。また、直近の調査において、ICT―BCP未策定の理由及び策定推進に有効と思われる手段について、地方公共団体からどのような意見が寄せられたか回答されたい。調査を行っていないのであれば、その理由は何か。ICT―BCPの重要性に鑑みれば、早急に調査を行う必要はないか、見解を示されたい。

一の4について
一の1についてで述べたとおり、補足調査以降、ICT-BCPの策定の阻害要因等を把握するため、平成二十八年度に総務省において「ICT-BCP及び情報セキュリティポリシーについて」による調査を実施している。その調査の結果によれば、地方公共団体がICT-BCPを策定していない理由として、BCPの検討後又はBCPと合わせてICT-BCPを検討すること、ICT-BCPを策定するための人材が不足していること等が挙げられている。

二 ICT―BCPガイドライン等においては、バックアップデータの保管場所に関して、「同時被災しない場所に保管する」ことが推奨されている。

一方、本年二月、日本放送協会(NHK)が、国土交通省の公表している国土数値情報(津波浸水想定データ)等を用い、全国に津波で被災する可能性のある地方公共団体の庁舎がどの程度あるか調査を行ったところ、百八十二庁舎が該当したとのことである。さらに、該当する団体に対し、重要な行政データのバックアップの状況について聞き取り調査を行ったところ、百八十二庁舎のうち二十九庁舎について、「バックアップが終わっていない」、「保存場所が同じ庁舎内で、被災する可能性がある」などバックアップに課題があったとのことである。

1 政府は、地方公共団体のバックアップデータの保管場所、バックアップしているデータの範囲、具体的なバックアップの方法について把握しているか。把握している場合には、バックアップデータがサーバのある庁舎と同一庁舎内に保管され、同時被災の可能性がある地方公共団体の数を回答されたい。把握していないのであれば、早急に現状を把握する必要があると考えるが、見解を示されたい。

2 政府において把握している、津波浸水想定区域内にあるなど、津波で被災する可能性のある本庁舎を有する地方公共団体の数を回答されたい。加えて、このうち、バックアップデータが同庁舎内に保管されている地方公共団体の数を回答されたい。把握していないのであれば、なぜ把握していないのか回答を求めるとともに、今後把握する必要はないか、見解を示されたい。

二について
お尋ねの「地方公共団体のバックアップデータの保管場所、バックアップしているデータの範囲、具体的なバックアップの方法」については把握していないが、「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」(平成二十年八月二十一日総務省作成)では、バックアップデータの保管場所については、「県外等同時に被災しない場所に保管すること」、バックアップしているデータの範囲については、「住民記録」、「税金や水道料金等の収納状況等に関する情報」等の「重要情報のバックアップ」を必須とすること、バックアップの方法については、「データの重要性や必要となる時間、現在の環境、技術的制約要因、必要経費等を検討し、実現すべきバックアップ方式を決定する」こと等を記載しており、当該ガイドラインに基づき、各地方公共団体がその実情に応じて、適切に対応を行うべきものと考えており、現状における各地方公共団体の個々の実態を把握することは考えていない。また、お尋ねの「津波で被災する可能性のある本庁舎を有する地方公共団体の数」について、都道府県災害対策本部又は市町村災害対策本部が設置される庁舎が、津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第十条第三項第二号に規定する浸水想定区域内にある地方公共団体の数を令和二年八月五日に消防庁が「地方公共団体における業務継続計画策定状況等及び非常用電源の確保状況等の調査について(照会)」により調査した結果によると、同年六月一日時点において百九十九である。

三 政府は、地方公共団体の情報システムのうち、住民記録、税務、社会保障などの基幹系システムの標準化・共通化の取組を進めており、原則、全ての地方公共団体において、令和七年度末までに、ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行を目指していると承知している。一般的に、情報システムのクラウド化は、災害時の業務継続の観点から効果的とされているが、ガバメントクラウドに関しては現時点で不明な点も多い。このため、ガバメントクラウドに移行した場合の災害時の業務継続に係る以下の事項について、政府の見解を伺う。

1 ガバメントクラウド上のデータのバックアップを行う主体やその方法、バックアップデータの分散管理の方法について、現在の見通しを示されたい。また、ガバメントクラウドへの移行後、各地方公共団体は、基幹系システムのデータのバックアップや、バックアップデータの保管を行う必要がなくなるのか、見解を示されたい。

2 災害等によって、庁舎が利用できなくなった場合、庁舎への電力供給が停止した場合又はガバメントクラウドとのネットワークが切断された場合において、被災した地方公共団体は、どのようにガバメントクラウド上の基幹系システムに接続するのか。災害時等において、代替庁舎や他の地方公共団体の庁舎等からガバメントクラウド上の基幹系システムに接続することも可能となるのか、見解を示されたい。

三の1及び2について
御指摘の「ガバメントクラウド上のデータのバックアップを行う主体やその方法、バックアップデータの分散管理の方法」、「ガバメントクラウドへの移行後、各地方公共団体は、基幹系システムのデータのバックアップや、バックアップデータの保管を行う必要」及び「災害等によって、庁舎が利用できなくなった場合、庁舎への電力供給が停止した場合又はガバメントクラウドとのネットワークが切断された場合」については、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和三年六月十八日閣議決定)に基づき、「ガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合した基幹業務システムを地方公共団体が安心して利用できるようにするため、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業」(以下「先行事業」という。)を令和三年度及び令和四年度にかけて実施しており、その結果の検証等を通じて、今後、詳細を検討することとしている。

3 ガバメントクラウドのデータセンターが被災した場合、多くの地方公共団体の業務に支障が生じることとなるが、このようなリスクに対して、どのような対策を講じるのか、見解を示されたい。

三の3について
御指摘の「対策」について、デジタル庁において先行事業等の実施のために作成し、公表している「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和三年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁WEBサイト構築業務-」調達仕様書(令和三年十月四日デジタル庁公表)の別紙一において記載しているとおり、「全てのデータセンターはTier三相当であり、建築基準法の新耐震基準に適合していること」、「全てのデータセンターは、活断層などの地理的リスクを避けて設置されていること」、「国内に設置された複数のデータセンターで「ゾーン」を構成し、冗長化を確保すること」、「リソースが完全に独立した「リージョン」を複数のゾーンで構成し、関東圏以北及び関西圏以西にそれぞれ一つ以上構築すること」等と認識しているところである。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

丸山穂高議員には事後報告とさせていただきました。この質問主意書と答弁書によって災害時における地方公共団体の情報システムの継続性に関する問題意識が多くの方に共有されることを願っています。

引き続き、丸山穂高前衆議院議員が提出した質問主意書を引き継いで私が提出した質問主意書を紹介していく予定です。

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