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電波オークションを導入すべき理由 過去の参議院本会議を振り返る

私は国会の内外において、電波オークション制度の導入を訴えてきております。

導入すべき理由については、↑の過去記事に書いてあるとは思いますが、改めてその理由について取り上げてみます。今回は以前の参議院本会議での柳ケ瀬裕文議員の質疑を紹介します。

第204回国会 参議院 本会議 第9号 令和3年3月12日

 まず、総務省の接待問題について伺います。
東北新社からの総務省幹部に対する繰り返しの接待に加え、NTTからの高額接待も明らかとなり、総務省と放送・通信事業者の関係性が問われています。
総務大臣は、今回の事案について、職員の倫理法令違反に対する認識の甘さや知識の不足が大きな要因と答弁されていますが、個人の資質やモラルの問題と問題を矮小化するのではなく、背景にある電波行政に通底する構造的な問題に目を向けなければなりません。
デジタル化が進展する中、電波の需要はますます高まっています。ラジオやテレビなどの放送、携帯電話はもちろんのこと、先進技術であるAIやロボット、自動走行も、電波がなければ機能しません。しかし、電波の帯域は有限で、使い勝手の良い帯域は極めて希少なものとなっています。放送・通信事業者にとっては、この希少な帯域を確保できるかどうかがまさに死活問題であり、激しい争奪戦を繰り広げているのです。
問題は、その電波の割当てについて政府が強い権限を握り、全ては総務省の判断次第と言われているように、ブラックボックス化していることです。総務官僚が不透明な強い裁量権を持っている、だから、そのブラックボックスをこじ開け、事業者にとって有利になるように裁量を働かせてもらおうと接待に至る。もし、このプロセスが透明で公正性が明らかに担保されているならば、接待は必要ないでしょう。
ですから、今回の接待問題は、電波行政そのものの構造的なゆがみが端的に顔をのぞかせたにすぎません。研修の実施や監察体制の整備といった表面上の対策では不十分であり、電波行政の公正性、透明性について根本から見直すべきであります。
そこで、幾つか提案をしてまいります。
まず、電波の割当てについては、我が党がかねてより主張してきた透明性が高く経済的価値に重点を置いた電波オークション制度を導入するべきです。
令和元年の電波法改正により経済的価値に対する評価が部分的に導入されるようになりましたが、依然として総務省の裁量の余地は大きく、透明化されているとはとても言えない状況です。このような時代遅れの比較審査方式を採用しているのは、OECD諸国の中で唯一日本だけとなりました。デジタル社会の推進に不可欠である新規プレーヤーの参入促進、業界の新陳代謝が図られることにもつながる電波オークション制度を導入すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、利用価値の高い周波数帯が有効活用されていないことも問題です。地上波デジタルテレビは四十チャンネル分、四百七十から七百十メガヘルツという広大な帯域を占有していますが、実際に運営されているチャンネル数は僅かであり、縮減できるはずだと以前から議論されてきました。
しかし、放送事業者は周波数帯の整理や移動に消極的であり、既得権益を手放そうとしない。そして、なぜか総務省も積極活用に前向きではありません。放送事業者と総務省に特殊な関係があるのではないかと疑念を抱かせるものであります。放送局に割り当てられている広大な帯域の再配分、有効利用を早急に進めるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、今回の接待問題が生じた背景の一つとして挙げられているのが、衛星放送におけるスロットの割当てをめぐる問題です。
放送用の衛星を実際に保有し、電波法に基づき総務省から電波の割当てを受けているのは民間企業である衛星の管理運営会社です。にもかかわらず、総務省は、衛星放送事業者に対する認定などを通じ、事業者に対するスロット割当てを実質的に管理しています。なぜ総務省が口を挟む必要があるのでしょうか。そこに合理性は見出せません。その理由を明快にお答えいただくとともに、衛星放送のスロット割当ては、不必要な行政の介入を排し、衛星を保有する会社と放送事業者に任せるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
そして、最大の既得権益を長年享受してきたのは、テレビとラジオを合わせて九波も有しているNHKであります。貴重な電波帯域を広く占有し、国民から受信料を徴収しながら、公共放送としての役割をどれだけ果たしているのか、不信が広がっています。
本年一月に新たに策定された経営計画では既存業務の改革をうたっていますが、ラジオ一波、衛星放送一波の削減程度では極めて不十分と考えます。NHKの果たすべき役割を明確化、再定義し、公共放送として不可欠な業務を絞り込んだ公共NHKとそれ以外の民間NHKに分割するプランを我が党は提案していますが、そのような抜本改革が必要だと考えます。総務大臣の見解を伺います。
電波は希少な資源であり、これを有効に活用できるかどうかは、我が国の成長に直結する重要な課題であります。今回の接待問題を機に、電波行政の公正性、透明性を根本から見直し、その恩恵を広く国民が享受できるようにするべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。

上記の柳ケ瀬議員の質疑の議事録は今後、機会あるごとに使わせてもらおうと思います。今回の記事は読者の皆様との問題共有はもちろん、自分の備忘録としても書きました。

国民の共有財産である電波の割り当てを総務官僚が握っているがゆえに、昨年のように接待問題が生じると言えます。日本も他のOECD諸国と同様に、透明化・公平な制度と言える電波オークションを導入すべきでしょう。

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コメント

  1. 0924 より:

    【独自】民放5局、BS4K放送撤退へ 27年に、赤字続きで
    2025/9/8(月) 共同通信

     民放キー局系のBS5局が2027年、超高画質の4K放送から撤退する方針を固めたことが8日、関係者への取材で分かった。18年以降の開局以来、赤字が続いているため。代わりに、4Kで制作した番組を低コストのインターネットで配信するよう検討している。

     5局が撤退すれば、BSの4K放送はNHKと通販専門局の計3チャンネルだけになる。「次世代のテレビ」と鳴り物入りで始まった4K放送だが、画質などの違いが視聴者に伝わりづらく、普及しなかった。

     5局はBS日テレ、BS朝日、BS―TBS、BSテレ東、BSフジ。各局とも2K(ハイビジョン)と4Kのチャンネルを保有するが、大半の番組は同じで、経費がかさむ4K制作は一部にとどまっていた。

     衛星使用料など4K放送による累積赤字が5局合わせて300億円程度に膨らんでいることから、総務省の認定が27年1月に期限切れを迎えるのを前に、再認定を申請しない方向に転じた。

     代替策として、動画配信サービス「TVer(ティーバー)」を利用するか、4K番組のネット配信を検討中だ。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    総務省が口を挟んでやってきたことが見事に頓挫していく。
    i-dioやNOT TV、地上波デジタルラジオなどと同じで、官主導の放送サービスがいかにダメなのか。これは本来なら総務省にきつくお灸をすえるべきことです。

    地上波の放送事業者と総務省との特殊な関係により、ケーブルテレビが始まるときでもエリアを市町村単位に限り、地上波を再送信するだけで、ケーブルテレビ独自の全国キー局化を潰しました。

    地上波勢は従来のBSデジタル放送(2K)でも、我先にと電波を占拠し、占拠したはいいが長らく風景番組と通販番組・韓流ドラマ一色でまともに制作する気もありませんでした。

    日本は中継局が多すぎるので、負担が大きいということ

    ”親局約1,800局に対し、中継局(トランスレーター)約3,200局ですから、単純計算で親局1局に対し中継局は1.8局程度しかありません。日本は国土面積が米国の26分の1しかないにも関わらず、NHK以外の放送事業者だけで7,600局程度の中継局を運営していますから、様相が全く異なります。米国の地上波放送は、日本のように極めて緻密に中継網を張り巡らし、全国をカバーしているわけではありません。”

    ”米国の地上波放送は、(中略)エリア内に山岳部を抱えるエリアなどは何局かの中継局を運営していますが、平野部など多くのエリアでは、日本に比べるとかなり大出力の親局だけで効率よくカバーし、あとはケーブル・衛星でどうぞという考え方です。”

    (米国ローカルテレビ篇part1:放送エリアのはなし①~「データが語る放送のはなし」⑨民放連オンライン)

    4Kの分(右旋、左旋)のスロットがたくさん空くのですから、衛星放送の役割を中継局に割り振ることも考えるべきでしょう。(ローカル局の再編ともセットで)
    IP放送もありますが、ケーブルテレビと同じように飼い殺し状態。
    それでいて地上波とBSは独占という、電波利権そのもの。

    例えば宮崎県のテレビ放送局は民放が2つしかない。しかしやろうと思えば放送の広域化でカバーできるのにそれをやらない。これは電波行政によって作られた格差である。