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ドイツ産業連盟(BDI)が2019年1月10日に公表した提言書

今回は板橋拓己(成蹊大学教授)氏が日本国際問題研究所に投稿したレポート記載内容を取り上げます。

ドイツの対中政策の転換が分かりやすくまとめられています。一部抜粋します。

5年連続で最大の貿易相手国

ともあれ、経済重視の対中政策は当然の流れではある。輸出主導の貿易国であるドイツにとって、近年の中国市場の意義はとてつもなく大きい。ドイツ連邦統計局の発表(2021年2月22日付)によると、2020年も中国がドイツ最大の貿易相手国であった。これで5年連続である。(中略)

警戒感の高まり

とはいえ、ここ数年で、ドイツの政治家や財界人、専門家サークルにおける中国認識は急速に否定的なものに傾きつつある。

その転機として誰しも指摘するのが、2016年にドイツの産業用ロボット製造大手「クーカ」が中国企業に買収されたことである。この衝撃から、ドイツは優れた技術をもつ企業の買収阻止に本腰を入れ始めた。そもそも「社会的市場経済」と呼ばれるドイツの経済政策の原則のもとでは、市場を歪めない限り企業買収は問題視されない。しかし、中国企業による買収が問題視されるようになったのは、第一に、その背後に中国の政治的意図があるとドイツ側が認識したからであり、第二に、中国による買収は一方向的であって、ドイツ企業に対して同様の権利が中国内で認められておらず、双務的・互恵的ではないからであった。いずれにせよ2016年あたりから相次ぐ企業買収と中国進出企業への技術移転の強要などが重なり、中国への警戒感が広がった。

ドイツの対中認識の転換を象徴するものとして注目すべきは、同国最大の経済団体であるドイツ産業連盟(BDI)が2019年1月10日に公表した提言書「パートナーにして体制上の競争相手――中国の国家主導経済にわれわれはどう向き合うか?」である。そこでBDIは、EUに対中政策の厳格化を求めるとともに、企業に対しては中国依存の是正を促した。そしてBDIは、中国が独自の政治的・経済的・社会的モデルを確立しており、EU側の期待に反して、市場経済と自由主義に向けて発展する可能性は低いと判断を下したのである。かかる声が人権団体や政治家ではなく、ドイツの産業界からも出てきたことは驚きをもって迎えられた(この提言は2019年3月のEUの対中戦略に反映された)。(以下略)

ドイツの産業界による中国分析が興味深いです。分析内容は妥当と思います。

ドイツ産業連盟(DBI)は、日本においては経団連が該当すると思います。G7各国の経済団体が集まる会議としてB7というのがあり、ドイツはDBIが参加しているようです。

さて、経団連の対中戦略はどうなのか?DBIを参考にしてもらいたいところです。

ここで、ドイツの対中政策に関して主な事例を取り上げます。

・2021年12月にショルツ政権発足、対中戦略見直し着手

・2023年7月13日、過度な中国依存を減らす「中国戦略文書」を公表

最近のドイツと中国に関する報道で注目することが2つあります。

1つ目:2024年4月16日、ショルツが訪中して習近平、李強と相次いで会談

2つ目:4月22日、ドイツ連邦検察庁が、中国の情報機関のため軍事利用できる技術に関する情報をドイツ国内で集めていた容疑でドイツ人の男女3人(男一人と夫婦)を逮捕

日本においてはスパイ防止法がないので、スパイに対して罰則を与えられないのは問題です。

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コメント

  1. 4-YouMe より:

    実際に国民が納得しやすい名称は他にないでしょうか。

    情報の作為的流出処罰に関する法律など??ダサいです。

    スパイとは何かが分かりにくいので考えました。
    多くの契約書にはNDAが含まれたり付加されますが、国民は納税などをして国家より恩恵を受ける代わりに機密保持契約があるよ、と誰もに分かる名前が呼称のニックネームがあるとよいですね。