今回はロシアの対日工作に関する動画を紹介します。
私が政治に強い関心をもったきっかけの本としてYouTuberのKAZUYAさんの本があります。
日本人が知っておくべき「戦争」の話 (ワニの本) Kindle版 KAZUYA (著)
僕らのじっちゃん、ばっちゃんの名誉のために、ニッポンの「戦争」の話をしましょう! 日本は決して「侵略国家」ではありません!
中国、韓国、そしてアメリカなどの“外国目線”ではなく、自らの歴史観を持つことが大切なのではないでしょうか。
明治維新から、日清・日露戦争、満州事変、日米開戦まで、戦後70年間、教科書や新聞、テレビが伝えてこなかったホントの「大東亜戦争史」を語る一冊!!■ 平和ボケだった!? 「鎖国」の時代のニッポン
■ いちゃもんをつけて、「清」に戦争をふっかける「イギリス」
■ 独立する気概のない韓国。併合するしかなかった……
■ 「軍部の意のままだった」は本当か?
■ 「お金持ちを皆殺しに!」共産主義の恐怖
■ 7割の戦力さえあれば、英米にも勝てた!?
■ ヒトラーがかすむほどの独裁者、スターリンと毛沢東
■ 「武器によらない戦争」を仕掛けるアメリカ
■ 石油の禁輸は、「宣戦布告」と同じである
■ 白人支配に立ち向かった、アジアのリーダー国・日本
■ 戦後、日本人の「精神」も焼け野原になってしまった……
■ 本来、何の問題もない「靖国問題」 他
私がこの本を読んだのは2016年です。先の大戦における、旧ソ連による影響力工作を知った時は衝撃を受けました。
というわけで、今回のテーマの動画。ロシアによる影響力工作の専門家と言える黒井文太郎さんの動画です。
参考図書:工作・謀略の国際政治 – 世界の情報機関とインテリジェンス戦 – Kindle版 黒井 文太郎 (著)
要約は以下の通り。3行サマリーだけでも目を通していただければと思います。
まとめました。ざっと掴み→詳しめ→実務的ヒントの順です。
3行サマリー
- ソ連期から連続するロシアの「影響工作(Active Measures)」が、いまも形を変えて日本や西側で続いている。
- 露側はRT/Sputnikなどの公然宣伝と、秘匿的関与(資金・人材)を組み合わせ、SNSのボットや“陰謀論市場”を梃子に分断を増幅。
- 法的に黒白を断じにくい“影響力エージェント”が要で、個人はファクト検証だけでなく“世界観(システム・ナラティブ)”に自覚的であることが対抗策。
出演・前提
- 司会:黒井氏(軍事ジャーナリスト)
- ゲスト:佐々木氏(両大戦期~冷戦のコミンテルン/影響工作研究)、穂坂史郎氏(エストニア国際安全保障センター、ロシアのプロパガンダ研究)
- 話題軸:ソ連~ロシアの対外工作、日本に対する影響、ミトロヒン文書の一次資料で見える具体像
要点(箇条書き)
- 公然/非公然の二層構造
- 公然:RT・Sputnik等による宣伝。日本語版も含め“使える人”を番組に出しナラティブを拡散。
- 非公然:資金・人材の裏支援、政党秘書等への浸透など(欧州での事例)。
- “協力関係の立証”の難しさ
- 例:2016米大統領選でも「ロシアによる有利な偽情報」は確認されるが、陣営との共謀は法的立証が困難。
- 日本の特定政治家・政党についても「利用」はあり得るが、裏の契約まで断定はできない—憶測に注意。
- 日本の具体話題
- Sputnik出演は“公然宣伝への利用”。
- 安倍昭恵氏の露側イベント参加は、露側の古典的“著名人取り込み”の好例。日本政府が文化外交を“非公式に”伝えたい思惑の可能性も指摘。
- ミトロヒン文書のアップデート
- 2005年の編纂書だけでなく、2014年にタイプ原稿が公開。コードネームの背後に個人特定可能な背景情報も含むが、存命者の実名は公開制限。
- “影響力エージェント”の整理(概念枠組み)
- 自覚の有無:自覚的/非自覚的(だまされ型)
- 影響力の源泉:地位権威(正統力)/カリスマ(準拠力)/専門性(専門力)
- 果たす機能:広告塔/コーディネーター/出世型(官僚等で権限拡大し政策誘導)
- 近縁概念:同伴者(フェロー・トラベラー)/機会主義者/“デュープ”(鴨)
- SNS時代の変化
- “トロール工場”+自動化(ボット・運用ソフト)で低コスト大量拡散。
- 陰謀論は“ゼロから創作”より“既存の不満を増幅”が効率的。Qアノン等でも初期拡散に露系アカウントが関与するパターン。
- ただし影響の規模は誇張に注意。民間業者への丸投げや“成果アピール”の自己目的化も。
- 欧州の対応例
- 露の全面侵攻後、RT/Sputnikの閲覧制限等。だが「露・中メディアすべて禁止」のような一律規制は民主主義では困難。
- 日本への見立て
- 露は現状、日本を最優先とは見ていないが、翻訳AIの発達で日本語圏向けの工作障壁は急低下。今後の増加は現実的。
- 終盤の安全保障観
- 侵略に対する自衛権(国連憲章51条)の正当性、同盟は“やりたいからではなく、必要だから”の論理。
- 「ウクライナに諦めを求める」論は、北方領土を諦めるのと同義になり得るという警鐘。
視聴者への実務的ヒント(簡潔)
- 情報の“内容”だけでなく、“誰が得をする物語か(ナラティブ)”を確認。
- 陰謀論系アカウントの初期拡散源・連鎖(誰が最初に翻訳し誰が増幅したか)を見る。
- 公然宣伝(出演・引用)と“裏の関係”は分けて評価—断定しない。
- 個人の“世界観”に作用する訴求ほど要注意(反米一極否定/オルタナ志向に寄り添う語りに警戒)。
参考までに、チャンネルくらら(救国シンクタンク)での黒井文太郎さん出演動画を紹介します。
動画の要約は以下。
さくっと掴める要約 → もう少し詳しく、の順でまとめます。
3行サマリー
- 黒井文太郎氏が新刊『工作・暴力の国際政治』の内容から、主にガザ/ハマスを素材に「インテリジェンス(影響工作・裏工作)」の見方を解説。
- 10/7型の奇襲成功は、ハマス単体の力よりもイランの「コッズ部隊」による訓練・ノウハウ提供など外部支援+イスラエル側の隙を突いた戦術の組み合わせ。
- 宣伝戦は道徳論ではなく“リアリズム”で評価すべきで、ハマスの自前の発信は戦闘後に失速、現在は西側メディアの報道環境とイスラエルの過剰反応が世論に強く作用。
詳しめのポイント
- 黒井氏の立場
- 若い頃は紛争現場取材、近年は公開情報(OSINT)分析中心。軍事だけでなく特務・情報活動の「オタク」を自称。
- インテリジェンスとは
- 国際法の“グレー”を含む実務の世界。ロシア・中国・北朝鮮などは「国際法をどう回避・偽装するか」を前提に動く。
- ハマスの軍事的実像
- 正規戦力は乏しく、主装備は小火器・携帯対戦車火器・ロケット。
- 10/7型奇襲は、イスラエル側監視網をドローンで無力化する等の“インテリジェンス主導の戦術”が奏功。
- ただし飛躍の背景には、イラン革命防衛隊コッズ部隊の訓練・指導があると見るのが妥当。コッズは軍事と政治工作を一体で運用(旧日本軍の特務機関のような性格)。
- 支持基盤と組織の二面性
- イスラム主義の大義/「抵抗の担い手」としての象徴性が支持の源泉。
- 統治・社会サービスを担う“表ハマス”と、軍事部門(通称カッサム旅団)など“裏ハマス”の分業が進む。
- イスラエルの攻撃で家族を失った若者の流入が軍事部門を支える悪循環。
- 認知戦・宣伝戦
- 10/7以降、ハマスのサイバー/プロパガンダ部隊は動きが鈍化。対してイラン系が発信を補完するが決定打には乏しい。
- ガザは携帯・現地記者で情報が露出しやすく、イスラエルの発表にもフェイク混入が見られ、PR上の逆風に。
- ネット世論は国・陣営で一様ではなく、米国の陰謀論系コミュニティは相対的にイスラエル寄りの論調も。
- 評価の軸
- 善悪よりも「何が起き、誰の物語(ナラティブ)が通っているか」を見るリアリズムが重要。
- イスラエルのやり過ぎは国際世論で自滅的効果を生む、という含意。
受け手の視点(実務ヒント)
- 情報を読むときは、①発信源と初期拡散経路、②“誰が得をする物語か”、③現地発と当事者発(政府・武装勢力)の峻別、の3点をチェック。
- 「戦術の巧拙」と「道徳的評価」は分けて考える(混ぜると全体像を誤読しやすい)。
もうひとつの動画を紹介します。
動画の要約は以下。
さくっと掴める→少し詳しく、の順でまとめます。
3行サマリー
- 新刊『工作・暴力の国際政治』を軸に、黒井文太郎氏が「インテリジェンス=国際政治の基幹機能」であり、スパイだけではない全体像(収集・分析・影響工作・宣伝/心理戦)を解説。
- 日本は学術・官庁ともにインテリジェンスの基盤が薄く、対米・対欧での影響工作の把握も弱いという構造的課題を指摘。
- 本書は若い読者にも俯瞰できる“地図”を目指し、米情報機関の全体像や現在進行形の三本柱(スパイ/アクティブ・メジャーズ/認知・心理戦)を体系化。
もう少し詳しく
- 出演と関係性
- 司会者と黒井氏は2009年の『戦後秘史インテリジェンス』以来の縁。黒井氏は雑誌『ワールド・インテリジェンス』編集を通じ、日本で希少だった実務的インテリジェンス情報を発信。
- 黒井氏の背景
- 若い頃は紛争地の現場取材→テロ研究→公開情報(OSINT)中心の分析へ。欧米の専門記者・大学講座から学びを吸収し、日本で不足する視点を補う活動に。
- 日本の“穴”
- 日本は仮想敵(露・中・北)中心で、対米の影響工作や欧州動向の体系的調査が弱い。縦割りや「米は教えてくれる側」という前提が背景に。
- 学界も先進国で珍しく本格的なインテリジェンス学部・専攻が乏しい。
- 本書の狙いと中身
- タイトルに「国際政治」を掲げ、インテリジェンスを国際政治の中核として描く。
- “スパイ=全部”ではない:収集→分析→政策提示が基幹。実動として
- スパイ(機密収集)
- アクティブ・メジャーズ(各種工作)
- 認知戦・心理戦・宣伝(影響力工作)
を柱に整理。- 第7章では米国の情報機構をCIA“だけじゃない”全体像として解説(軍系情報機関を含む)。
- タイムリーな文脈
- 2022年の国家安全保障戦略で「情報(インテリジェンス)」が防衛・軍事・経済・技術と並ぶ5本柱に。だが国内では依然「=スパイ」認識が強く、基礎理解の更新が必要。
- 次回予告
- 続編回で「日本はいま何をすべきか」を掘り下げ予定、という締め。
視聴者の持ち帰り
- 善悪や映画的スパイ像ではなく、「国家がどう情報を集め、解釈し、他国の世論と政策にどう作用するか」を見る癖をつける。
- 対外工作は“出来事”ではなく“構造”として追う(誰が、何を、どの手段で、どの層に効かせたいのか)。
上の動画の続編です。
要約は以下。
さくっと掴める→少し詳しく、の順でまとめます。
3行サマリー
- 新刊『工作・暴力の国際政治』の第「日本」章を軸に、黒井文太郎氏が“日本の情報機関の歩みと課題”を解説。話題の「自衛隊・別班」は神話化されがちだが、実態は小規模な戦後協力枠の一部で、巨大な秘密軍ではない。
- 60~70年代は公安当局や自衛隊内の少人数チームも含め対極左動向を監視。現在も「情報収集の面談・連絡」など通常業務はあるが、映画的な“闇部隊”像とは別物。
- 日本は偽装身分運用・民間委託・独立監督(オーバーサイト)など“国際標準の仕組み”が弱く、学術基盤も薄い。一方、2000年代以降は一部政権・要人の理解で制度は前進。
もう少し詳しく
- 別班とは何か
- 戦後早期、在日米軍の対ソ・対中対処を日本側が補助する小さな枠があり、そこでの活動が「別班」として語られた。規模は数十人規模で、共産党の“影の軍隊”像は誇張。
- 国会で米側案件を「知らない」と答弁した経緯(第三者ルール)などが疑念を増幅。のちに形としては解消され、機能は通常の情報セクションへ散在。
- 60~70年代の国内文脈
- 学生運動・過激派の高揚期、公安警察・公安調査庁に加え、陸自にもごく小人数で情報担当が存在。自衛官への浸透対策も必要だった。
- “今もやっていること/やっていないこと”
- 研究者・記者へのヒアリングや海外連絡など、表の情報収集は継続。
- 退職OBが語学や人脈で海外で教える・手伝う例はあるが、それを“現役の秘匿工作”に誇張する話が尾ひれを生む。
- 日本と“国際標準”のギャップ
- 多くの民主国家:偽名・カバードキュメントの運用、民間委託(アウトソース)、多重のオーバーサイトで暴走を抑制。
- 日本:本名旅券での連絡が多く、深い連携ネットワークに入りにくい。民間スキームや監督制度が未整備で、そもそも“隠密活動を統制して回す”発想が弱い。
- 進展と残る課題
- 2000年代以降、一部の総理・官房長官(例:第一次/第二次安倍政権や町村期など)の理解で制度は前進。
- 2022年の国家安全保障戦略でも「情報」は5本柱の一つに格上げ。しかし防衛力のような“工程表”がなく、学術・教材・人材育成の基盤不足がボトルネック。
- 自衛隊の情報学校ができたが、テキストは英語文献頼みが多く、日本語での体系的教材が乏しい。今回の新刊はその“基礎地図”を狙う。
- まとめのメッセージ
- インテリジェンスは“スパイ=全部”ではなく、収集→分析→政策支援と、影響工作(心理・認知戦)まで含む“国際政治の基幹機能”。
- 政治家・官僚・市民が正確な全体像を学ぶことが、制度設計(監督・人材・民間活用)を前に進める近道。