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公安調査庁の調査官インタビュー

今回は小谷賢さんの動画の紹介です。

公安調査庁について。まず、警察との違いを簡潔に。

縦のラインだけ、要点で。

  • 警察庁(NPA)
    • 内閣府の**国家公安委員会(NPSC)**の下に置かれる外局相当
    • 縦の流れ:内閣(首相)→ 国家公安委員会 → 警察庁
    • 地方は:都道府県公安委員会 → 都道府県警察(国家公安委員会・警察庁は全国調整)
  • 公安調査庁(PSIA)
    • 法務省の外局
    • 縦の流れ:内閣(首相)→ 法務大臣 → 公安調査庁
    • 団体規制の処分判断は、法務省内の独立合議体である公安審査委員会(PSCC)が担当(PSIAは調査・請求)

今回の本題、公安調査庁の現役調査官へのインタビュー動画です。

要約は以下の通り。

以下は、2024年3月29日に公開された
小谷賢氏(日本大学危機管理学部教授)による公安調査庁現役調査官インタビュー動画の詳しい要約です。
(参考URL:https://www.moj.go.jp/psia/)


🔹動画概要

小谷賢教授が法務省「公安調査庁」を訪問し、同庁の総務部人事課長・武田氏に直接インタビュー。
テーマは「公安調査庁とは何か」「警察との違い」「最近の調査対象」「求められる人材像」「訓練内容」など。
一般に馴染みの薄い同庁の実像を、現職幹部が初めて体系的に語る内容。


① 公安調査庁とは(01:13〜)

  • 設立:1952年7月、今年で72年目。
  • 職員数:約1800人弱。
  • 所管法令は
    • 「破壊活動防止法」(破防法)
    • 「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(通称:団体規制法、オウム真理教事件を契機に制定)
  • これらに基づき、「政治目的で暴力を行使する団体」に対して調査・監視・規制請求を行う。
    → いわば「暴力的政治運動やテロ団体の監視・情報収集」を担う行政機関。

② 警察との違い(02:29〜)

  • 最大の違いは“強制権限の有無”。
    • 公安調査庁は「強制権」を持たず、任意調査のみ
    • 相手に「お願い」して情報を得るスタイル。
  • 情報収集は主に**人的情報収集(HUMINT)**であり、
    電子的盗聴や強制捜査ではなく、人との関係構築を通じて情報を得る。
    → 警察や公安警察とは法的位置づけも運用も異なる。

③ 最近の主な調査対象(03:27〜)

  • 依然として国内過激派・オウム真理教関連団体・国際テロ組織は中心的ターゲット。
  • 加えて、近年は以下の新領域にも重点を置く:
    • 経済安全保障(経済安保)
      • 日本の技術・資材・人材を外国勢力が不正入手する動きを監視。
      • 背後に国家関与が疑われるケースもあり、軍事転用リスクを警戒。
      • 取得した情報は分析の上、経産省・防衛省など政策官庁に共有。
    • サイバー攻撃関連情報
      • 国家主導型サイバー攻撃(APT)を安全保障上の脅威として重点調査。
      • 攻撃主体・背景・予兆の把握にHUMINTを活用。
      • 他省庁と連携し、被害防止と分析共有を行う。

④ 他省庁との連携(06:08〜)

  • 現場(地方8局・14事務所)で収集した情報は一旦本庁へ集約・分析。
    → 政策官庁・内閣官房等に報告・提供。
  • 他省庁とも情報を相互提供。
    • 経産省・防衛省・警察庁・内閣官房などと「緊密に連絡・協力」。
  • オウム真理教の調査などでは警察と密接に連携し、立ち入り検査時も共同で行動。
    • 現場での「ばったり遭遇」は避け、事前調整を徹底。
  • 外国大使館などの監視エリアでは複数機関が並行して活動する場合もあるが、詳細は「必要に応じて対応」。

⑤ 求められる人材像とスキル(09:36〜)

  • 最も重視するのは公共の安全確保に貢献したいという使命感と好奇心。
  • 特定の資格・スキルよりも個性と柔軟性を重視。
    • 会う相手が多様であり、定型的な方法は通用しない。
    • 「金太郎飴のような調査官」ではなく、自分で考えて行動できる人。
    • 情報収集の“正解”は一つではない。
  • 語学力(英語など)は有利だが必須ではない。
    • TOEIC点数などは参考にするが、採用の決定要素ではない。
  • 「人格・対応力・観察力・人間関係構築力」が核心スキル。

⑥ 訓練とキャリアパス(12:25〜)

  • 専用研修所での段階別教育制度
    • 新人研修:基礎理論・法制度・倫理・HUMINT基礎。
    • 中堅研修:分析技術や人的接触の高度訓練、語学研修など。
  • 10年単位で複数部署をローテーション。
    → 本人の適性を見極め、分析・現場・管理など多様なキャリア形成。

    • 「民との適性」が高い人は現場キャリアを重ねる。
    • 一方でデスク分析・会計・人事などの道もある。

⑦ 格闘術・射撃などは必要か(14:38〜)

  • 不要。
    • 公安調査庁は「非武装・非強制」の調査機関。
    • 危険な場面はほとんどなく、格闘・武器技能は業務に不要。
    • 趣味で格闘技をする職員はいるが、採用・昇進要件には一切含まれない。
  • 「調査官=スパイ」のイメージは誤り。
    実態は「情報の聞き取り・分析・行政判断支援」が中心。

🔸まとめ・小谷氏のコメント(15:44〜)

  • 公安調査庁は「武力ではなく、知と関係構築で国を守る組織」。
  • 取材を通して、現場の人間的な努力と国家安全保障の地道な支えが感じられた。
  • 小谷氏は「警察や防衛とは異なる“静かな国家安全保障機関”としての実像を多くの人に知ってほしい」と締めくくる。

🎯ポイント整理

  1. 公安調査庁=「暴力的政治団体やテロ組織の監視」を担う行政情報機関。
  2. 強制捜査権はなく、任意調査とHUMINTが中心。
  3. 近年は経済安保・サイバー攻撃対応が重点。
  4. 他省庁・警察・内閣官房と広く情報連携。
  5. 求められるのは「使命感」「人間理解力」「柔軟思考」。
  6. 特殊技能よりも人間力と分析力を重視。
  7. 格闘・射撃などは不要。公安調査庁は「非武装の情報官庁」。

高市早苗政権となり、国民のインテリジェンスへの関心も高くなっていると思います。インテリジェンスを担う組織についての理解を深めていければと思います。

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