今回は、山田吉彦参議院議員が出演した動画の紹介。
私はインターネット番組で共演させていただいたことがあります。
以下が、今回の本題の動画。
要約は以下の通り。さすがは専門家と唸らされる内容と思います。
要約
エッセンス(先に5行で)
- 山田吉彦参院議員が、離島実地調査を土台にした尖閣危機管理・海洋資源開発・日米豪の造船/装備連携・政府の情報公開強化を総合提案。
- 中国の行動は「サラミ」から“厚切り”へ(ヘリ運用など一段飛ばしのエスカレ)。海保だけでは限界があり、自衛隊へのスイッチ設計と警察権の常駐を主張。
- 下地島空港(滑走路3000m)の平時からの活用、有事の大量避難・難民選別制度の整備を提案。
- エネルギーはレアアース/メタンハイドレート/海水ウラン+SMRで自給率向上を目指し、浮体式洋上風力は慎重。
- 政府には対米関税や防衛整備の説明責任と、官房長官らの定例的・積極的な発信を要求。
1) 選挙戦略と現地把握
- 「100の島と海まちプロジェクト」で離島・沿岸を訪問。漁業者から手取りが残らない(燃料高・経費増)実態を聴取。
- 演説は短尺動画化→Xで地域別に配信。香川・高松の街頭動画が100万再生し、過去動画も波及。
- 得票は各地で投票者の0.5〜0.6%を安定的に積み上げたと自己分析。若年層向けにショート前提の発信設計。
2) 尖閣・東シナ海の情勢認識
- 南シナ海で起きたことは東シナ海でも起きると警鐘。
- 中国海警と海軍は連携不全のまま“点数稼ぎ”で荒っぽくなる傾向。ヘリ運用などで段階を飛ばす“厚切りエスカレ”。
- 日本側は明確な反論・抑止意思の表明が不足しており、対外メッセージを強化すべき。
3) 運用上の課題:海保→自衛隊、そして警察権
- 海保は対空脅威に脆弱。一定の閾値を超えたら自衛隊へ“スイッチ”できる運用ルールの明確化が必要。
- 中国海警は準軍隊的装備(例:76mm砲等)。現行の日本側体制は想定が古い可能性。
- 不法上陸など**“警察事案”への即応**のため、警察(または海保)の常駐プレゼンスを検討。
4) 尖閣の具体策
- 東京都の尖閣寄付金 約14億円は、政府の方針が示されれば活用可能。
- まずは環境調査と、嵐時に漁船が避難できる**小規模な「船だまり」**整備を提案。
- 大規模な避難港は中国船流入のリスクがあるため不可。
- 自衛隊常駐は補給・環境面から非効率。まずは警察権の常駐を優先。
5) 下地島空港の活用
- 下地島空港(滑走路3000m)は有事の避難・輸送・防衛拠点に最適。
- 平時から運用しておかないと有事にフル稼働できないため、常時の使い方を制度化すべき。
6) 有事の避難・難民対応
- 台湾有事等で大量の避難民が来る前提が必要。
- 難民認定・選別の制度・能力が日本に欠落。浸透(便衣兵・スパイ)対策も不可欠。
- 過去のボートピープル受け入れの混乱、北朝鮮の木造船漂着の示唆などを踏まえ、沿岸住民(“海の目”)の維持が国家安全保障の基礎。
7) 日米豪・欧との装備/造船連携
- 豪州のもがみ型ベース護衛艦(11隻)の採用は、日本の造船力・省人化技術の優位を示す。
- 人手不足を踏まえ、米国や東ティモールで日本式の造船所を運営する構想を提示。
- 米国内建造は中南米移民の雇用創出にも資するとの見立て。
- 将来的に米海軍艦艇の日本建造も視野。
- 欧州(ノルウェー等)は深海・悪海象での海洋技術が強いため、当面は国際協力を活用。
※番組内では米国の大規模投資(「55ビリオンダラー=約80兆円?」等)にも言及がありますが、金額は発言ベースとして示されています。
8) 通商・対米関税と政府の説明責任
- トランプ関税(15%)など、対米通商は不確実性が高い。
- 政府は交渉経緯・影響を国民に透明に説明すべき。
- 変動が大きい局面は投機勢に有利になりやすく、予見可能性の確保が重要。
9) エネルギー・資源戦略
- レアアース、メタンハイドレート、海水ウラン回収に大胆投資し、商業化を一気に進めるべき。
- これまでの小出し予算→中断→やり直しの繰り返しを脱却。
- 採取・処理の一部は欧州の設備/ノウハウに依存しており、国産の一貫体制を整えたい。
- 発電はSMR(小型モジュール炉)を柱に安全性・短工期・分散で自給率向上。
- 浮体式洋上風力は、
- 故障は海が荒れている時に発生しがちで保守困難、
- 部材の海外依存が大きい、
- 長距離送電ロスや系統制約、
- 港湾整備だけ先行して地元が満足→本体が進まない、
などの理由から慎重姿勢。地産地消型の電力利用が望ましい。10) 地域政策=安全保障
- 沿岸コミュニティの維持(教育・介護・通信の基盤整備)で、漁師の目=沿岸監視を確保。
- 若者の期間就業→蓄財→次の夢へという新しい地方定着モデル(例:小笠原)にも言及。
11) 石垣市長選(8/17)と安全保障
- 中山氏(保守・自衛隊配備/海洋調査に前向き)と、田氏(海洋調査に否定的、オール沖縄系支援)の構図。
- 安全保障上の帰趨に直結する選挙として注視。現地感触では中山陣営に追い風との見立て。
- 台湾航路の復活により物流・農産物取引の深化も期待。
12) 政府の情報公開と広報
- 防衛・装備・運用は可能な範囲で積極的に公開し、フェイクに先んじる必要。
- 官房長官の定例的な安保ブリーフィングや、ネット番組への出演など、平時からの説明を求める。
- ネット時代は切り抜かれ前提の話法設計と語彙選びが重要。若手議員のSNS発信は前向きだが、政府側も速度を合わせるべき。
13) 今後の動き
- 所管は国交委を軸に、外交防衛委等とも横断で推進。
- JAMSTECや研究者との連携を強化し、海底資源で目に見える成果を早期に示す方針。
- 課題として、**尖閣「なぜ上陸できないのか」**の制度・運用上の壁の解明と、基金(14億円)の具体活用案の提示を挙げた。
特に重要なポイントを少し詳しめにまとめます。
山田吉彦議員が言う「南シナ海で起こったことが東シナ海でも起こる」という指摘は、中国が南シナ海で段階的に進めてきた一連の既成事実化・軍事拠点化の手法が、尖閣諸島周辺など東シナ海でも同じように展開される恐れがあるという意味です。具体的には次のようなプロセスや事態が想定されます。
1. 公船・漁船の常態化と“法執行”の名目
- 中国海警局の公船がほぼ常時領海近くを航行し、「中国の管轄下」を事実上示す。
- 中国籍漁船を多数送り込み、漁業取締り名目で海警が保護する形を取る。
- 日本の漁船に対して退去要求や臨検の試みなど、法執行を装った行為を段階的に強める。
2. 軍事プレゼンスのエスカレーション
- 南シナ海では、海警だけでなく人民解放軍海軍が後ろ盾となって活動してきました。
- 東シナ海でも**軍艦や軍用機の示威行動(艦砲やヘリの飛行)**を増やし、偶発的衝突のリスクが高まる。
3. 人工施設・拠点化の試み
- 南シナ海では岩礁の埋め立て→滑走路やレーダー基地建設→軍事拠点化が進みました。
- 東シナ海では尖閣諸島は日本が実効支配しているため同じ形は難しいが、
- 臨時の浮体式施設の設置、
- 漁業基地やブイの固定設置
など“軽い”施設で既成事実を作る可能性があります。4. 「サラミスライス」から“厚切り”へ
- 南シナ海では最初は小さな挑発を重ね(サラミスライス)、次第に**一気に段階を飛ばす強硬行動(厚切り)**が見られました。
- 具体的には軍ヘリの領空接近、海警船の体当たり、海軍艦艇の併走など、短期間で緊張を高める動きが東シナ海でも起きうる。
5. 国際世論・法的地位の“既成事実化”
- 時間をかけて「中国が管理している」状況を国際社会に印象づけ、領有権をめぐる国際法上の立場を既成事実化しようとする。
まとめ
南シナ海で見られた「民間船→海警→軍→施設化」という段階的既成事実化と軍事圧力のパターンが、尖閣諸島周辺や東シナ海で繰り返される懸念を指しています。
山田氏が警鐘を鳴らすのは、こうした動きを放置すると、偶発的衝突や日本の実効支配の形骸化につながりかねない、という危機感です。
現場任せにせず、国民全体で強い関心を持つことがくにまもりにつながると思います。