今回は米国株投資について。※投資は自己責任で。
まず、個人的にはインデックス積立(S&P500/オルカン/TOPIX等)を最優先と思います。
そのうえで。
私が米国株投資で大変お世話になっている(大きな利益を上げさせてもらっている)Hanakoさんの動画の紹介。
「米国株を買う前に、貸借対照表の“資本の部”と赤字の中身をちゃんと見て、IPO銘柄や買収まみれ銘柄の落とし穴を避けましょう」というメッセージです。
本題の前に、用語の解説20個。
OK、さっきの10個に10個足して合計20個にします。
- 損益計算書(Income Statement / Statement of Operations)
一定期間の「売上・費用・利益(損失)」をまとめた表。儲かっているか赤字かを見る。- 貸借対照表(Balance Sheet)
ある時点の「資産=負債+資本」のスナップショット。会社の体力や安全性をみる基本。- 資本の部(株主資本 / Stockholders’ Equity)
貸借対照表のうち株主の取り分。「株主が入れたお金」+「会社が貯めた利益(or 累積赤字)」。- コモンストック(Common Stock)
普通株式。額面(0.001ドルなど)と発行株数を示す“名札”的な項目で、金額自体は小さいことが多い。- Additional Paid-In Capital(APIC / 資本剰余金)
額面を超えて株主が会社に払ったお金。実質的な「株主の元手」の大部分。- Retained Earnings / Accumulated Deficit(利益剰余金・累積赤字)
創業以来の利益の累計(配当・自社株買いを引いた残り)。プラスなら内部留保、マイナスなら累積赤字。- 自己資本比率(Equity Ratio)
資本の部 ÷ 総資産 × 100。会社の資産のうちどれだけが「自前の資本」かを示す安全度の指標。- IPO(新規株式公開)
未公開株を証券取引所に上場し、一般投資家が売買できるようにすること。既存株主の“出口”になりやすい。- ロックアップ期間(Lock-up Period)
IPO後、既存株主が一定期間(例:180日)株を売れない契約。解除後に大量売りが出て株価急落しやすい。- Earn-out(アーンアウト) / Warrant Liability(ワラント負債)
買収先の業績に応じて追加対価を払う仕組みや、将来の株購入権に伴う負債。業績や株価の動きで損益が大きくブレる“爆弾”になりうる。
- 内部留保(Internal Reserves)
利益剰余金として会社内に残している過去の利益の蓄積。再投資や不況時のクッションになる。- 未公開株(Pre-IPO Shares)
上場前に創業者やVCなどが持っている株。安値で仕込んでおり、上場後に大きな含み益を得る立場。- 希薄化(Dilution)
新株発行やストックオプション・買収対価の株交付などで、1株あたりの権利や価値が薄くなること。- SEC(U.S. Securities and Exchange Commission)
米国証券取引委員会。上場企業に10-K・10-Qなどの開示を義務づけている金融監督当局。- 10-K / 10-Q(Annual / Quarterly Report)
10-K:年次報告書、10-Q:四半期報告書。米国上場企業がSECに提出する“決算書の本丸”。- Revenue(売上収益)
商品・サービスの販売などから得た総収入。成長性を見る中心的な指標だが、利益とは別物。- Net Income / Net Loss(最終利益 / 最終損失)
すべての費用・税金などを引いた最後の利益(または損失)。黒字か赤字かの最終結論。- Other Expense(その他費用)
本業以外の損失や特別要因をまとめる項目。買収関連損失や評価損など“落とし穴”が潜みやすい。- M&A / 買収(Acquisition)
他社を買い取ること。売上を膨らませやすいが、買収価格が高すぎたりアーンアウト付きだと株主に重荷になりうる。- ワラント(Warrant)
将来あらかじめ決めた条件で株を買える権利。発行されていると、株価上昇時に大量の新株が出てきて希薄化と損失計上を招く。
というわけで動画の紹介です。
要約は以下の通り。
ざっくり言うと「米国株を買う前に、貸借対照表の“資本の部”と赤字の中身をちゃんと見て、IPO銘柄や買収まみれ銘柄の落とし穴を避けましょう」という授業です。
- このクラスの目的
- 投資の目的は「お金を増やすこと」だが、まず何より「大損しないこと」が大事。
- 世の中には「これ買えば儲かる」と言いながら落とし穴を仕込んでいる人がたくさんいる。
- リスクの大きさを理解し、どれくらい資金を配分するか考えられるようになるために、決算書の“見るべきツボ”を教える回。
- 財務諸表4つのおさらいと今日のテーマ
- 財務諸表は4つ
- 損益計算書(Income Statement / Statement of Operations)
- 貸借対照表(Balance Sheet)
- 株主資本等変動計算書(Stockholders’ Equity)
- キャッシュフロー計算書(Cash Flow)
- 損益計算書は「売上-費用=利益」で小学生でも感覚的に分かるので、今日は「貸借対照表」、特に「資本の部」に集中。
- 米国株は会社ごとの凸凹(良し悪し)が日本株よりはっきりしているので、決算書を読めると銘柄の選別がしやすい。
- 貸借対照表と資本の部の基本イメージ
- ビジネスのスタート:
- 自分や親戚などから「資本金」を入れる or 銀行などから借金する。
- 貸借対照表は「資産=負債+資本」が必ずバランスする。
- 「資本」はシンプルに言うと
- 資産 − 負債 = 純資産(株主資本)
- 資本の部の中身(超ざっくり)
- 株主が入れたお金
- 会社がビジネスで稼いで貯めたお金(利益の累積)
- 例:1億の家をローン9,000万で買っていても、自分の“本当の持ち分”は1,000万。この「持ち分」が資本のイメージ。
- IPOと「高値づかみ」の仕組み
- スティーブ・ジョブズの話を例に、「創業者でも株主総会でクビになる」=株をばらまくと支配権が薄まるという話。
- 未公開株 → 上場(IPO)の流れ:
- 創業者らが安い値段(例:1万円)で株を持つ
- 上場時にはそれが10倍・50倍の値段で市場に出る
- ロックアップ(半年くらい売れない期間)後、一斉に売られて株価が急落するパターンが典型。
- 一般投資家がよくやる「上場直後に飛びついて、1/10まで落ちて大損」は、この仕組みを知らないから起きる。
- 上場後1~2年は特に落ちやすいので、初心者ほど距離を置いた方がよい、という警告。
- 決算書の本物を探す手順(SECの使い方)
- 必ず「本物の決算書(10-K, 10-Q)」を見る。要約やニュースだけだと騙されやすい。
- やり方:
- Google で「会社名 or ティッカー + SEC」で検索
- 「SEC Filings」 → 10-K(年次)、10-Q(四半期)を開く
- PDFを開くと最初の方にバランスシート、次に損益計算書が出てくる
- NVIDIA なども同じ手順で見れる、という実演。
- 事例:Zeta(広告×AIの米国株)の決算書を読む
- ZetaはAIとビッグデータで広告・マーケティングを最適化する会社。Uber、Airbnb、Verizon など大手を顧客に持つ。
- 売上規模(ざっくり):
- 最新四半期売上:約5百数十億円相当(ドル→円換算例付き)
- ただし最終利益(Net income)は赤字(数十億円規模の損失)。
- 損益計算書:
- 本業の利益はある程度出ているように見えるが
- 「Other expense(その他費用)」で大きなマイナスが立っていて、それで全体が赤字に転落。
- この「Other expense」の正体を、決算書本文で検索(Ctrl+F)して調べていく流れを実演。
- 資本の部の読み方(米国 vs 日本)
- 米国企業の資本の部の構造
- Common Stock(普通株:パー値/額面は0.001ドルなどごく少額)
- Additional Paid-In Capital(資本剰余金のようなもの)
- Retained Earnings / Accumulated Deficit(利益剰余金/累積赤字)
- 実態としては
- 「株主が払ったお金」= Common Stock + Additional Paid-In Capital
- 「会社が創業以来で稼いだ(or損した)累計」= Retained Earnings
- 日本企業との違い
- 日本:資本金+資本剰余金が富士山みたいな形でどっちもそれなりにあるイメージ、利益剰余金はプラスでもマイナスでも同じラベル。
- 米国:Common stockは“表面上のちょびっと”、実質はほぼ全部 Additional Paid-In Capital に入る。
- ここから言えること:
- 「資本の部が厚い=必ずしもビジネスで稼いでいるわけではない」
- 「株主からの入金で分厚く見えているだけ」というケースに注意。
- Zetaの資本の部の中身(重要ポイント)
- Zeta の資本の部では:
- クラスA株、クラスB株のCommon Stock(額面0.001ドル)
- Additional Paid-In Capital(株主が入れた多額のお金)
- Retained Earnings が大きなマイナス(累積赤字)
- 自己資本比率は約60%と見栄えは良いが、
- 中身は「株主がたくさんお金を入れているが、会社本体は赤字を出し続けている」状態。
- つまり
- 資本が厚いのは株主のお金のおかげ
- 自力で稼いだ利益はまだマイナスで、減り続けている
- これを「良い」とは簡単には言えない、という判断。
- 赤字の理由:買収・アーンアウト・ワラントの罠
- Zetaの「Other expense」の中身を読むと:
- 買収した会社の価値の減損や評価替えなどで大きな費用が出ている
- 買収対価として株を渡しており、それが既存株主の希薄化を招いている
- 「Earn-out(アーンアウト)」という条項があり、
- 買収された会社の業績が良いほど、追加対価を元の株主に払う仕組み
- 「儲かれば儲かるほど、利益が元のオーナーに吸い取られていく」構造になりやすく、株価が崩れやすい。
- 別銘柄(Rigetti)の例:
- Warrant Liabilities(ワラント負債)があると、株価が上がるほど損失計上しないといけない会計処理になり、損益が乱高下。
- 将来どんな条件で株を大量発行されるか分からない「埋蔵爆弾」がある状態。
- 共通する危険パターン:
- 赤字なのに買収を繰り返し、売上だけを膨らませている
- Earn-out や Warrant Liabilities が多い
→ 「売上成長ストーリーに惹かれて高値づかみ → 後からドカンと株価崩壊」というパターンが多い、と警告。
- AIの使い方と限界
- ChatGPTやGeminiなどのAIは、会社に怒られそうなこと(決定的にネガティブな指摘)は自主的にはあまり教えてくれない。
- 自分で「怪しいキーワード(Earn-out, Warrant Liabilitiesなど)」に気づいて検索し、AIには“翻訳や要約”だけさせる、という使い方が現実的。
- 「どこが危ないかに気づく」のは、自分で決算書を読む力が必要。
- 最後のメッセージ(投資家へのアドバイス)
- 米国株で大きく増やす人と、全財産を飛ばす人の違いは、
- こうした「落とし穴銘柄(IPO直後、買収まみれ、Earn-out/ワラントだらけ)」を避けられるかどうか。
- 最低限やるべきこと:
- 本物の決算書(SEC)で
- 貸借対照表の資本の部:株主のお金 vs 自分で稼いだお金のバランス
- 損益計算書:黒字か赤字か、赤字なら理由(Other expenseの中身など)
- Earn-out, Warrant Liabilities といったキーワードの有無
を確認する。- 「まず大損しないこと」を徹底すれば、米国株はチャンスも多く、十分“得をする”ことができる。
- 今後のオンラインクラスでも、こうした落とし穴の見抜き方をテーマに続けて扱っていく、という告知で締め。
米国株は会社ごとの凸凹(良し悪し)が日本株よりはっきりしているので、決算書を読めると銘柄の選別がしやすい、というのは興味深く感じました。
ところで最近、株式投資に関して印象に残ったポスト:
今年1年お世話になりました。(まだ終わってないけど)
田端さんの動画を見て
投資の奥深さに気づけました。田端信太郎さんのYouTubeを見て分かった。⁰投資って「銘柄探し」じゃなく、“世界の仕組みを読み解く力”そのものだった。
・なぜ儲かる会社が生まれるのか… https://t.co/MICfyQTS5X pic.twitter.com/qJIifu8Yyd— ゴモラ@ずぼら男子の資産形成 (@Takaa3) December 4, 2025
今年1年お世話になりました。(まだ終わってないけど)
田端さんの動画を見て
投資の奥深さに気づけました。田端信太郎さんのYouTubeを見て分かった。
投資って「銘柄探し」じゃなく、“世界の仕組みを読み解く力”そのものだった。
・なぜ儲かる会社が生まれるのか
・お金はどこから来て、どこへ流れるのか
・経営者は何を見て勝負しているのか
数字よりも“構造”が見えた瞬間、投資が急に立体的になる。
田端さんの動画は、株の話に見えて、実は
「資本主義のルール」+「自分の頭で考える力」
この2つを鍛える教材だった。
正直、めちゃくちゃ深い。
投資の見え方が変わった。