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ロシア・ウクライナ情勢 小泉悠さんの見解→停戦“交渉は進展しているように見える”が、NATO級の安全保障(第5条級のギャランティ)とロシアの同意が壁で、早期終結はなお難しい

今回は(も)インターネット番組、ニッポンジャーナルから。

ロシアの軍事専門家、小泉悠氏の見解は注目です。番組は1時間30分(無料部分)ですが、その中の切り抜き動画から。

ウクライナvsロシアの戦争については、ウクライナがNATOに加盟すれば解決すると思われるのですが、なぜ実現しないのか?について。

  • 北大西洋条約 第5条(集団的自衛権/集団防衛):加盟国が攻撃されたら、他の加盟国も「必要な行動(武力行使を含む)」で支援する枠組み。→ ウクライナを入れると、ロシアとNATOの直接衝突リスクが跳ね上がる。
  • 北大西洋条約 第10条(新規加盟):新加盟は加盟国の**全会一致(unanimous agreement)**が必要。→ その高リスクを理由に慎重国が残り、全会一致にならないため加盟できない。

これを踏まえて、小泉悠さんの昨今の現状に関する説明です。

端的に述べると→ 停戦“交渉は進展しているように見える”が、NATO級の安全保障(第5条級のギャランティ)とロシアの同意が壁で、早期終結はなお難しい。

要約は以下の通り。

以下、提示いただいたスクリプト部分にもとづく「詳しめ要約」です(話者は主に小泉悠さん、途中で田北真樹子さんの振り・相づちあり)。


1) まず何が起きているのか:米国の“表”と“裏”がねじれる構図

  • 今年秋ごろ、米国は「対ロ制裁を強め、ロシアに停戦を迫る方向」に見えていた。ところが裏側で、国務省など正規ルートを外した“周辺”が独自に和平案を作っていたことが判明した、という話から入る。
  • 具体的には、(米側)ウィトコフ、(露側)ドミトリエフ、さらに**クシュナー(トランプ氏の娘婿)**周辺が絡む形で、勝手に「28項目の和平案」を出してきた、という筋立て。
  • これが「寝耳に水」だったのは、国務省・国防省にとっても同様で、ホワイトハウス周辺から“降ってくる”形になり、場が混乱する。

2) 既視感:春(4〜5月)と“ほぼ同じ展開”を半年遅れで反復

小泉さんは「今回の流れ、今年4〜5月にあった展開とそっくり」と整理する。

  • トランプ側が「この条件を飲め。嫌なら支援から手を引くぞ」と圧をかける
  • ウクライナ+欧州側が「ロシア寄りで酷すぎる」と反発し、対案を作って米国へ突き返す
  • トランプ側が「別にそれでもいいけどね」と態度を変える
  • この“型”が繰り返されている、という見立て。

3) 今回は「もう一段先」:米露案 vs 欧州・ウクライナ案 → さらに米ウクライナで詰め

  • 以前より進んだ点として、米露案と欧州・ウクライナ案が出た後、米ウクライナ間で複数回の協議が進み、直近のものが「ベルリンでの協議」。
  • “どこまでなら飲めるか”のギリギリの詰めをしているように見える。
  • 「90%解決」といった言い回しも出るが、両陣営とも「以前より進展」とは言っている。

4) 最大の難所:停戦しても“3回目”をどう防ぐか(安全保障)

小泉さんの核心はここ。

  • ウクライナ側の基本認識:ロシアは土地だけが目的ではなく、ウクライナを政治・軍事的に勢力圏へ置くことが目的。だから停戦しても再侵攻のリスクが消えない。
  • つまり問題は「どう停めるか」以上に、次(3回目)をどう防ぐか

「アーティクル5ライク(第5条的)」が出るが、信用問題が残る

  • NATO加盟(第5条の集団防衛)が理想だが、それが難しいなら代替として「第5条的な安全の保証」を、という議論が出る。
  • ここで小泉さんは言葉を厳密化:
    • 日本語で同じ「保証」でも、**アシュアランス(安心供与)ギャランティー(具体的介入義務に近い保証)**は違う
    • 今回話題の「保証」はギャランティー寄りだ、という説明。
  • ただし疑問点が2つ:
    1. 2030年頃に再侵攻されたら米軍は本当に介入するのか(軍事援助も含めて怪しい)
    2. そんな約束を結べるなら「それNATOと何が違うの?」という根本問題が残る

さらに決定的な壁:「それをロシアが飲むのか」

  • ここまでの詰めは基本的に米ウクライナ間の話
  • まとまった“つもり”でモスクワへ持っていったとき、プーチンが受け入れるかは未知で、むしろ嫌だと言う可能性が高い
  • 結論として小泉さんは、「進んではいるが、近い将来の終結に直結するかはまだ難しい」という温度感。

5) 日本の名前が出る「安全の保証」:実は2023年頃から地ならしがある

田北さんが「日本も提供する側として名前が出て驚いた」と振り、小泉さんが背景を解説。

  • 2023年頃から、ゼレンスキー周辺と(当時の)NATO事務総長ストルテンベルクらが、**セキュリティ・アコード(Security Accords)**的な枠組みを作った。
  • NATOにすぐ入れないので、代替として「支援国の束」で安全保障を下支えする発想。

支援国を「コア」と「外縁」に分ける

  • コア:ウクライナに対し、直接の軍事支援など“軍事的サポート”を担う
  • 外縁:日本・韓国などは、主に
    • 経済支援
    • 対ロ経済制裁
      を通じて安全保障に貢献、という位置づけだったはず、という説明。

日本もすでにウクライナと協力枠組みを結んでいる(ただし法的拘束は弱い)

  • 日本政府もウクライナと「安全保障協力」的な合意(アコード)を結んだ。
  • ただし「アコード」は日本の法体系上、条約のように明確な拘束力を置きにくく、**法的拘束力は基本的に弱い(少なくとも強い強制力のある形ではない)**という整理。

ただし懸念:日本政府に“ちゃんと相談している感がない”

  • 小泉さんの見立ては「要素自体は目新しくない」。
  • 一方で、こういう話が出るときに日本側への事前相談が十分だったのかは疑問、という指摘が入る。

6) トランプ要因:選択ができない/“ロシアとビジネスできそう”でグズる

  • 停戦方式のオプション自体は、この4年で「考えうるものは出尽くしている」。問題はどれを選んでやるか
  • ところがトランプ政権がそこで踏み切らず、最後の最後で「ロシアと上手くビジネスできる気がする」的なノリでグズグズする、という批判的観察。

7) “成果を急ぐ圧力”と、さらに政治日程(中間選挙・ノーベル平和賞)

  • 来年は米国中間選挙があり、成果を急ぐ動機が強まる。
  • 世論の変数として「トランプ支持層の中でも、ウクライナ支援をもう少しちゃんとやるべきが増えている」という調査(ギャラップが言及される)も話題に。
  • 一方でMAGA層は懐疑的という見方もあり、トランプがどう解釈するかは別問題。

ノーベル平和賞の“締切”っぽい話

  • 「来年のノーベル平和賞を本気で狙うなら、1月ごろがリミットらしい」という雑談も挟まる。
  • しかし小泉さんは、この冬の間に決着は現実的でないと見る。
  • ロシアをこの冬中に折らせるのは無理で、もし折れるなら「制裁強化を一年かけて」という時間軸になる。

その結果起きがちなのが「プーチンではなくゼレンスキーに圧をかける」

  • プーチンには「あと1か月で折れろ」と言っても無理。
  • だがトランプは「ゼレンスキーなら折らせられるかも」と思いがちで、圧力がウクライナ側に向く、という皮肉な構図を示す。
  • その姿勢は「侵略した側ではなく、された側に何とかしろと言うのは筋が違うのでは」というニュアンスで批判される。

8) 結び:第5条という言葉が、日本の“日米安保第5条(尖閣)”連想も呼ぶ

最後に田北さんが、NATO第5条の話題が日本の尖閣と日米安保第5条の議論に重なる、と連想を述べ、締め。

日本として、国際的な存在感を発揮してほしいと思うとともに、その際に、核保有国であるか否か、は大きな意味を持つのだと思います。

以下、番組全般の動画。

要約は以下の通り。

番組の構成

  • 司会が冒頭で雑談・告知(ライブや映画出演など)を挟んだ後、視聴者アンケートで取り上げ順を決定。
  • その後、主に以下の順で議論が進む:
    ①中露爆撃機の共同飛行(東京方面)→②香港民主党の解散→③ウクライナ停戦と「安全の保証」→④今井絵理子議員の“君が代”手話要望→⑤防衛装備品移転(輸出)ルール見直し

1) 中国・ロシア両軍の爆撃機が東京方面へ共同飛行(12:45頃)

何が起きたか(ニュース整理)

  • 中露の爆撃機編隊(中国H6K、ロシアTu-95など)が、沖縄方面から太平洋に抜けたのち、日本列島沿いに北東へ進み“四国沖”あたりまで進出したとされる、という話題。
  • 進路延長上に東京や横須賀(自衛隊・米軍拠点)がある点が「示威(見せびらかし)」として注目された、という立て付け。

小泉悠さんの要点

  • 軍事的な“能力誇示”そのものは過大評価しない
    H6KやTu-95は巡航ミサイルを搭載でき、実際には「わざわざ日本近海まで来なくても届く」=“爆撃能力の実演”というより政治メッセージ色が強い
  • 政治的メッセージが本質
    「なぜ今このタイミングでやったのか」に意味がある。
    今年は実施が遅れていたところ、日中関係がギクシャクしてきた局面で突然実施=時期を測って圧力をかけた可能性。
  • ロシア側の狙いとして、「高市政権を探る」(強硬か、対話余地があるか)という見立ても提示。
    入国禁止措置なども含め「反応を見ているのでは」と語る。

田北さんの投げかけ→小泉さんの補足

  • 「中露関係は本当に盤石か?」という問いに対し、
    小泉さんは **“いつも通り:不信はあるが利害で付き合う”**と整理。

    • 中国はロシア支援でも「直接参戦」まではしない
    • しかし部品・貿易・エネルギーなどでロシアの対中依存は強い
    • ロシアの悪夢は「米中が手打ち(G2的)して自分が置き去り」
    • 日本にも「米中が手打ちしたら」という不安がある、という“構造の類似”にも触れる

2) 香港民主党が解散を正式決定(25:06頃)

ニュースの骨子

  • 2020年の香港国家安全維持法以降、民主派政党が次々解散。民主党解散で民主派政党が事実上消滅、という話。

小泉さんの要点

  • 「一国二制度」が実質的に失われたことの確認。
  • これは香港だけでなく、台湾社会への強烈なメッセージ(=“統合される恐ろしさ”)になっているはず、と指摘。

田北さんの補足(教訓化)

  • 「選挙があっても統治側が制度運用を握ると、選挙自体が“支配の道具”になり得る」
  • 昔の香港(自由・繁栄の象徴)が短期間で変質した衝撃を強調。
  • そして、日本側も「台湾が香港化したら大変」という危機感を共有すべき、という方向へ。

小泉さんの“制度論”がこのパートの核

  • **民主主義は「制度(条文)」より「運用(プロセス)」**という指摘。
  • プーチンの例を出し、「法律に詳しくても“法の精神”を守る気がなければ、法を使って独裁化できる」と説明。
    → “法の支配”が“法による支配”にすり替わる危険。

3) ウクライナ和平:「安全の保証」焦点、NATO加盟放棄も(35:50頃)

小泉さんの整理(交渉の型)

  • 2025年春(4〜5月)に似た展開があり、半年遅れで同じパターンが再演されている、という見立て。
  • 表向き「進展」や「90%解決」などの言い回しは出るが、最大の壁は**“安全の保証(ギャランティ)”**。
  • NATO加盟が難しい以上、「第5条級(Article 5-like)」の保証が論点になるが、
    • それが本当に実行されるのか(2030年に再侵攻したら米軍は本当に介入するのか)
    • そもそもロシアが飲むのか
      が極めて怪しい、という結論。

田北さんの論点

  • 「日本の名前が“保証提供国”として出ているのは驚き」という反応。

小泉さんの補足

  • 2023年頃から「セキュリティ・アコード」構想があり、パートナー国をコア/周辺に分ける発想がある。
  • 日本もウクライナと協力枠組み(“アコード”的なもの)を結んでおり、「全く無関係な話ではない」。
  • ただし「日本政府に十分相談しているのかは疑問」とも述べる。

4) 今井絵理子議員が高市総理に“君が代”手話を要望(49:25頃)

ここは番組の中でも、雑談っぽく見えて**「国家・象徴・言語(手話)・政治運用」**が絡む、議論の濃いパートです。

田北さんの主張(ざっくり)

  • 君が代の「君」は政府答弁などからも「天皇」と解釈されてきた。
  • ところが手話の“試行版”が「あなた」に近い表現になっている点に違和感、という趣旨。
  • さらに「日本の手話は国際手話と別体系で、そこも含め整理が必要では」という提案もする。

小泉さんの反応

  • 「自分は(番組内では)左寄りに見られるが、この点は違和感がある」と述べ、
    国家の象徴や国歌の意味が曖昧なまま“公式化”を急ぐことの政治的リスクにも触れる。
  • 一方で、聴覚障害支援の重要性自体は否定せず、字幕など代替手段も含めた現実策の話へ。

5) 自民:防衛装備品移転(輸出)の運用指針見直し(1:05:25頃)

小泉さんの主張(核)

  • 「武器は道具。問題は“何に使うか”」
  • 侵略を受けている国への支援を「平和主義だから関与しない」とするのは、結果的に侵略を見過ごすことになり得て、それを平和主義と呼べるのかという問題提起。
  • したがって、
    “どの戦争に、どう関わるか”/“誰に渡し、誰に渡さないか”
    を正面から議論すべき、と促す。

田北さんの補足(制度・実務)

  • OSA(同志国への能力構築支援)の例を挙げ、装備協力が「日本の安全保障にも返ってくる」構造(監視情報・連携)を説明。
  • “5類”限定の運用は象徴的すぎて現実と齟齬、という認識。

小泉さんの追加ポイント(重要)

  • 輸出を拡大するなら、**輸出審査体制(安全保障リスク評価)**が不可欠。
    例として米国の輸出規制(ITAR等)やロシアの審査組織を引き、
    日本も「どこが審査機能を持つのか」を制度として設計せねばならない、と述べる。
  • さらに今後は装備が「ハードだけでなくソフト(データ、知財、人材)」に移るため、
    人材確保・制度整備の遅れが致命傷になる、という危機感が共有される。

番組全体の“結論っぽい一文”(無料パートの範囲)

  • 「中露の示威は“能力誇示”より“政治メッセージ”として読み、香港の変質は民主主義の“運用崩壊”の教訓、そして日本は安全保障(装備移転・支援・審査体制)を曖昧にせず正面から制度化せよ」
    …という方向で議論が束ねられていました。

国内、国外情勢ともに注目しつつ、自分のやるべきこと(日本自由党の党勢拡大)をしっかりと進めていきたいと思います。一人でも多くの日本自由党への入党をお願いします。

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