昨今世間をにぎわせているクマの被害について。
後述する救国シンクタンクのライブ配信で重要なご指摘:政策目標をはっきりさせよ!
というのは極めて重要と思います。それを大前提として、以下いくつか動画紹介。
まず、元産経新聞の三枝玄太郎さん。
要約は以下の通り。
要旨(出典付き)
- 秋田で自衛隊の後方支援が開始
クマ被害の深刻化を受け、秋田で陸自15人が箱わな運搬・見回り・ドローン偵察などの非武装の民生支援を開始(自衛隊法100条の枠内)。武器による駆除は対象外。読売が現地動画/記事で報じた内容を紹介。 (X (formerly Twitter))- 大日本猟友会(猟友会)の見解
自民党PTで、猟友会の佐々木洋平会長が「自衛隊派遣は反対」「警察官の緊急銃猟にも疑問」を表明。要因分析として①餌木の不作、②イノシシ増加による堅果の先食い、③国有林の針葉樹化、④ツキノワグマの食性変化、⑤人と生息域の境界希薄化、⑥中山間地の空き家増、⑦メガソーラー開発による里山改変を列挙。PT出席や発言は産経・各種まとめで可視化。 (はてなブックマーク)- 東洋経済オンライン(田中淳夫氏)の論点
猟友会は愛好者団体が基層で、駆除の公的担い手としては制度・運用上の限界がある(不正受給事案の指摘も)。自治体窓口の構造や担い手のプロ化(認定事業者)を議論すべきとする論考を動画が参照。 (東洋経済オンライン)- NHKなど“メガソーラー主因説”への検証的スタンス
「メガソーラー=クマ出没の直接原因」は根拠不足とする検証・注意喚起が複数報道・解説で示されている、と動画内で対立観を紹介(NHKのSNS発信や検証の要旨)。三枝氏はこれを**“ポジショントーク”**と批判しつつ、猟友会が“一因”と指摘する事実は重いと強調。 (X (formerly Twitter))三枝氏の評価・立場
- 今回に限っては自衛隊出動を支持:箱わな運搬等の重作業・監視・ドローン偵察など、非致死的・後方支援に限定される枠組みは妥当。現場の安全確保と即応性の面で効果がある。 (X (formerly Twitter))
- ただし恒常化には慎重:国防任務との両立や訓練適性の観点で、猟友会の懸念(自衛隊・警察の恒常関与への疑義)も理解できると整理。 (はてなブックマーク)
制度・運用の課題(出典に基づく整理)
- 緊急銃猟の運用整備の遅れ:自治体マニュアル、責任・補償の所在、報酬基準の統一など未整備が多く現場混乱。猟友会の要望事項として提示。 (日本第一!ニュース録)
- 担い手の高齢化・ボランタリー依存:猟友会の構造的制約(愛好者団体)とモラルハザード事案が示すガバナンス強化・プロ化の必要性。 (東洋経済オンライン)
- 環境要因の多因子化:餌資源・土地利用変化・境界の曖昧化など複合要因。メガソーラーは「一因」仮説としては言及があるが、因果は未確定という検証報道も併存。 (はてなブックマーク)
提言(動画の示唆を要約)
- 短期(緊急対応):
・自衛隊の非武装・民生支援の限定活用(箱わな運搬、監視、情報収集)
・自治体の緊急銃猟マニュアル整備と責任・補償の明確化、危険業務の全国統一報酬設定。 (X (formerly Twitter))- 中期(担い手の再設計):
・認定事業者の活用や準公務員化等でプロの常設部隊を整備。縄張り争いを回避し発注ルートを明確化。 (東洋経済オンライン)- 長期(原因対策の検証):
・餌資源・森林施業・土地利用(空き家・耕作放棄地)・大規模開発(メガソーラー含む)の生態影響を、地域別データで科学的に検証。政策判断は「多因子」前提で。 (はてなブックマーク)
別の動画も紹介します。
要約は以下の通り。
要約(詳しめ+出典つき)
1) 新方針:警察がライフルで市街地クマを駆除
- 警察庁が国家公安委員会規則を改正。11月13日から施行し、岩手・秋田に銃器対策部隊(機動隊)を派遣、市街地に出没したクマの駆除をライフルで可能化。編成は「射撃手2・指揮官・自治体調整役」の4人1組×各2チーム想定。拳銃は非力なためライフル運用に限定。派遣は2週間交代で、拡大は情勢次第と説明。 (テレ朝NEWS)
- 「どの都道府県警から派遣か」を非公開としている背景には、過去の狙撃事案で訴訟が起きた経緯など、抗議・訴訟リスクを考慮しての可能性に触れる(動画内の論評部分)。
2) クマの分布拡大・個体数増加という基礎データ
- ヒグマ:平成15年度→30年度で分布約1.3倍、令和2年度の推定個体数中央値は11,700頭で30年で2倍超。
ツキノワグマ:平成15→30年度で分布約1.4倍、四国は縮小・九州は絶滅。本州多くで個体数は増加または安定。 (農林水産省)- 近年の被害急増(2023~25年度)の概況も示す資料あり。 (農林水産省)
3) 日本熊森協会の要望・主張(動画が取り上げたポイント)
- 要望書(11/6提出):
①過剰な捕殺の抑制、②山に追い返す等の「生活圏のすみ分け」政策と予算化、③風力・メガソーラー開発や放置人工林、温暖化による餌資源減少が出没増の背景との見解、④電気柵や奥山への放獣など距離確保策――を提案。会長は「過剰な捕殺は抑制を」と会見で発言。 (はてなブックマーク)- 団体の沿革(兵庫発祥、1994年に兵庫県ツキノワグマ狩猟禁止の実現に関与)も紹介。 (日本熊森協会)
4) 再エネ開発(メガソーラー・風力)と出没増の関係をめぐる言及
- 動画は、猟友会や熊森協会が「一因」と指摘していると紹介(再エネ大規模開発が奥山の生息環境を壊し、人里への定着を促す可能性)。熊森協会の要望書・報道でも「メガソーラー開発も一因」の表現が用いられた。 (はてなブックマーク)
- 一方で、現時点では科学的因果の確証は十分でないとするファクトチェックや報道も存在(「根拠は未確立」「複合要因の一つとしての検討は必要」)。 (日本ファクトチェックセンター (JFC))
※動画では「NHKは“デマだ(根拠がない)”としている」との論評に触れつつ、「ならば政府・学界が本格研究を」と提言。5) チャンネル側(演者)の立場・提案
- 短期:死亡事案が出ている地域(秋田・岩手・北海道など)では緊急措置としての駆除容認。麻酔放獣は人員・安全面のハードルが高い/学習個体の再出没リスクに言及。
- 中長期:
- 「人とクマの距離」を制度的に確保(電気柵、里の防護、誘因物管理、放置人工林対策など)。
- 再エネ大規模開発の生態系影響を政府主導で体系的に研究(環境省・経産省連携のプロジェクト化を要請)。
- 行政・猟友会・警察への妨害電話は控えるよう視聴者に呼びかけ。
6) トーンまとめ
- 2025年は「例年にない異常な出没」の年との認識。今年は非常措置(警察ライフル駆除)を容認しつつ、長期的には科学的エビデンスの整備と生息地・里の双方のマネジメントを求める、という結論。
動画内で触れられた主な“出典・資料”一覧
- 警察庁の規則改正・運用報道(施行11/13、岩手・秋田でライフル部隊運用、編成などの具体):TBS/TBS NEWS DIG、テレビ朝日、スポニチ、岩手朝日テレビ。 (TBS NEWS DIG)
- クマ分布・個体数の公的データ(ヒグマ11,700頭中央値/分布拡大等):農林水産省・環境省の資料。 (農林水産省)
- 日本熊森協会の要望書・会見報道(「過剰な捕殺抑制」「メガソーラーも一因」):産経の該当記事(見出し・要旨確認)、協会の発信。 (はてなブックマーク)
- 熊森協会の沿革(兵庫・1994年の狩猟禁止等):協会公式サイトほか。 (日本熊森協会)
- 「メガソーラー原因論」への検証系記事(現時点では根拠不十分の指摘):日本ファクトチェックセンター、NHKの注意喚起。 (日本ファクトチェックセンター (JFC))
ひと言まとめ
「今年は緊急避難的に“ライフル駆除”を容認しつつ、再エネ開発や森林管理が出没に与える影響を国主導で検証し、“人とクマの距離”を制度で確保せよ――という主張と政策要望を整理した内容」です。
そして、救国シンクタンクのライブ配信。
要約は以下の通り。
以下の配信内容を、主張・論点が追えるように整理して詳しめに要約します。
概要
- テーマは①高市政権の政策評価(とくに「年内ガソリン減税」)②クマ被害対策。
- 冒頭では「自民×維新は“連立”か」論争に触れ、政府見解として「連立は法律用語ではなく政治用語。本人たちが連立と言えば連立」という整理を紹介。
① 高市政権の政策・ガソリン減税
渡瀬氏の主張(骨子)
- ガソリン税の暫定税率廃止(+経由引取税の減税)は評価。ただし「代替財源」を口実に他の増税が来れば“ぬか喜び”。
- 想定される代替策の懸念
- 走行距離課税:EV普及を口実に導入されがちだが、意味が反転する。国民民主は「導入しない」と明記していたためカウンターは可能。
- 金融所得課税強化:「1億円の壁」論法はミスリード要素が強く、景気へのダメージが大きい。
- さらに埋没している“将来の増税装置”としてGX推進法を指摘:
- 2028年~ 化石燃料の輸入にGX付金(実質的な関税/賦課金)=年1兆円規模の負担増見込み。
- 2030年~ 電力会社への排出権購入の義務化で電力コスト増。
→ ガソリン減税をやっても、GX系の新負担で相殺されかねない。走行距離課税や金融増税の回避に加え、GX付金の見直し/中止が不可欠。倉山氏の論点
- 当面の高市内閣のリアルな力は「増税を潰す」こと。とくに防衛増税は“中身が悪い”(法人税や所得税上乗せ、加熱式たばこ増税など経済抑制的で本末転倒)。
- 3月(予算・特例公債・日銀案件)までを試金石に、12月までに増税路線を止められるかを有権者が監視すべき。
- 「信者化」せず、政権に“増税を止めないと政権が持たない”という現実的圧力を。
小川氏(安全保障×経済)
- 国家情報局/国家情報会議の整備、スパイ防止法検討、原潜・装備移転の制度整備など安保文書の見直しは先進的。
- ただし防衛費は成長で賄うべきで、増税で国力を削ぐのは逆効果。政府内に「成長推進」を責任をもって遂行する体制が整いつつある点は期待。
渡瀬氏 追記
- 森林環境税(住民税に上乗せ)に言及。現在の使途が曖昧な事例も多い。人命を守るクマ対策に優先投入すべき。解決できないなら廃止も検討。
② クマ被害対策(有害鳥獣対策)
現状認識
- 2025年、都市部含む各地で出没・人身被害が多発。政府は関係閣僚会議を開催し、情報共有・補助・ハンター育成・緊急銃猟などを推進。秋田では自衛隊派遣も。
- ただし現場は人員・技能・指揮の不足が顕著。猟友会との連携・責任分担・補償設計も未整備。
小川氏(運用の実務)
- **警察官・機動隊は山間行動や野生動物対応の専門訓練が十分ではない。**短期研修で緊迫現場の射撃を安全にこなすのは難しい。
- 自衛隊の便利用途には限界。山・夜間・連携訓練など本来任務の反復が途絶えると回復に半年~1年要する。派遣には目的・終了条件を明確化すべき。
- 熊対応の実効策は、プロの猟友会が法的・安全に動ける環境整備を軸に。必要なら**一時避難区域を設定→集中的“掃討(駆除)”**の可否も検討。
- 2025年法改正の「緊急銃猟」で市街地の発砲が制度化されたが、実務はなお課題。以前は警察官職務執行法の武器使用拡大解釈で対応し、副作用があった。
大日本猟友会の4要望(番組紹介)
- 緊急銃猟の意義・実態に即した体制、猟師の育成確保を早急に。
- 緊急銃猟時の事故に関する責任・補償の法整備。
- 危険業務の対価・連携調整・情報共有の専門職化。
- 緊急銃猟は応急措置に過ぎない。個体数管理・総合政策・人材育成・予算を恒常化。
渡瀬氏(制度設計)
- まず**“成功条件(勝利条件)”=どの状態になれば解決かを政策側が設定し、そこから規制の整理**(銃・弾・搬出・処理・流通=警察/農水/厚労の縦割り是正)を進めるべき。
- 現状は政策評価の欠落が露呈しており、ゴール無き場当たりで成果が出ない。
倉山氏(基本姿勢)
- コロナ時と同様、**「何を達成すれば勝ちか」**がないまま組織を動かすと疲弊だけが残る。自衛隊の国防力を削らず、効果と目的から逆算した手順を。
モデレーター横山氏の整理
- いまの枠組みは鳥獣保護法の延長で、住民保護・安全確保の手段が手薄(避難指示と通行制限程度)。
- 「都市計画区域から数か月クマ出没ゼロ」など、行政運用しやすい明確な目標が必要。提言は目下作成中。
まとめ(番組の結論・提言トーン)
- ガソリン減税は評価だが、(1)走行距離課税や**(2)金融所得増税**、および**(3)GX付金(2028~)等の将来負担**を止めなければ実質相殺。
- 防衛増税は内容が悪い(成長阻害)。12月までに“増税路線”を潰せるかが高市内閣の最初の試金石。
- クマ対策は“勝利条件”の設定→規制整理→専門職主導が筋。自衛隊の“便利屋化”は国防を弱める。猟友会の法的保護・補償・報酬体系の整備が急務。
- 森林環境税の使途はまず**人命保護(クマ対策)**に直結させるべき。
番組内で触れられた主な制度・資料(参照ワード)
- ガソリン税暫定税率、経由引取税
- 走行距離課税、金融所得課税(「1億円の壁」言説)
- GX推進法(GX付金=化石燃料輸入への賦課、2030年以降の排出権調達義務)
- 鳥獣保護管理法 改正(2025年):市街地での緊急銃猟制度化
- 警察官職務執行法(従来は武器使用の拡大解釈で対応)
- 国家情報局/国家情報会議構想、スパイ防止法検討
- 防衛増税(法人税・所得税上乗せ、たばこ課税の中身)
- 森林環境税(住民税への上乗せ)
告知等
- 救国シンクタンクの新レポート「高市政権を読む」(11/15発刊)。
- 小川清史/横山賢司/倉山満 共著『合憲自衛隊』(ワニブックス)予約案内。
- 渡瀬氏「地方自治体の減税と選挙」講座(11/30)。
- パンフ『内藤先生の「外国人は郷に従わなくてよいのか」を語る』(普及案内)。
勝利条件(政策目標)をはっきりさせよ、は特に重要と思います。