今回は(も)私が政策立案でお世話になっている救国シンクタンク(チャンネルくらら)のライブ配信(毎週木曜日)から。
先にポイントを紹介します。
中国大使館の「国際法否定」発言は、国際法の常識から見て自爆級の悪手であり、日本側は冷静に活用すべき。
高市政権の財政はおおむね評価できるが、日銀の利上げと防衛増税を止められるかが、政権の真価と日本の将来を左右する。
国民一人ひとりが「増税100番」などを通じて、身近な増税の動きを拾い上げ、政治と世論でブレーキをかけることが不可欠。
話題のポストがこちら。
今日に至るまで、一部の日本の政治家は国際法上の効力を持つ『カイロ宣言』『ポツダム宣言』には触れようとせず、逆に『サンフランシスコ平和条約』やいわゆる「日華平和条約」を持ち出して「台湾主権未定論」を煽り立てようとしている。しかし、実際にはこれら二つの「条約」は無効な紙切れにすぎない… https://t.co/ySOXSsmlDp
— 中華人民共和国駐日本国大使館 (@ChnEmbassy_jp) November 29, 2025
以下がライブ配信動画です。
要約は以下の通り。
以下のライブ配信は、ざっくり言うと
①中国大使館の国際法無理解が“外交的自爆”になっている話
②高市政権(字幕では「高一政権」)の経済・金融政策評価
③「増税100番」を通じて国民がどう動くべきかを大きな柱に議論しています。
1. 中国大使館の「サンフランシスコ講和条約は無効」発言について
- 中国大使館(東京)がXで「サンフランシスコ講和条約は無効。カイロ宣言に反する」などと主張した件をテーマ1として取り上げる。
- 倉山氏の主なポイント:
- 国際法には
- 否定できない「慣習国際法」
- 当事国だけを拘束する「条約国際法」
がある。- サンフランシスコ講和条約は条約国際法であり、日本と締結国を拘束するだけ。中国(中華人民共和国)はそもそも当事国ではないので「無効だ」と宣言する資格自体がない。
- 「国際法そのものを中国大使館ごときが否定できるなら、それはもはや国際法ではない」というレベルの暴論であり、国際法をかじった人間からすると呆れる話。
- 日中の条約関係整理:
- 日本は講和条約は連合国と締結。
- 中国とは
- まず中華民国と日華平和条約
- その後、田中角栄の訪中で日中共同声明、福田赳夫の時代に日中平和友好条約
を結んでいる。- したがって、中国の立場で言うなら
「サンフランシスコ条約と日中平和条約が重なる部分は尊重するが、それ以外は拘束されない」
と言えばよかっただけで、条約そのものを「無効」とは言う必要が全くない。- 倉山氏は、この広報官の発言を
- 「外交官かどうか疑うレベル」
- 「こんなミスをしたら本国に戻ったときに出世どころか身の安全すら危うい」
とまで酷評。- ここまで下手を打つなら、いっそ日本に帰化して令和新選組から選挙に出た方が出世チャンスがある、と皮肉る。
- 小川氏の分析:台湾侵攻シナリオとの関連
- 自分が中国軍司令官ならどう作戦を作るか、という前提で台湾侵攻の3段階を整理:
- 「演習」を装って部隊集結、認知戦・封鎖(他国艦船が入れないように)
- 演習から実戦へ移行し、台湾軍施設・インフラへのミサイル攻撃・サイバー攻撃
- 上陸・占領作戦本番
- 中国側としては、アメリカや自衛隊が介入する前に台湾軍だけを相手に完結させたい。
- ところが日本側が「台湾封鎖の初期段階で存立危機事態を発動し得る」と明言したことで、中国の計画は根本から崩れかねない。
- その結果、「なんとか高市総理の発言を撤回させろ」と中国側が慌て、東京・大阪の在外公館が無理筋な発言を連発して自爆している、という見立て。
- 中国指導部・軍の「整理解雇」=粛清との関係
- 最近の人民解放軍幹部の更迭・粛清は、スターリンが戦争前に将官を大量に処刑したノモンハン前夜と似ており、「戦争準備をしろと言っているのに指揮官をどける」矛盾した行動になっている。
- 中国共産党内部で「外の基準」と「内側の論理」が完全にズレ始めており、それが今回の大使館暴走にも表れているのではないか、と指摘。
- 金子氏の視点:
- この騒動で「日本国内で中国と同じ方向で動いている政党・文化人・活動家が誰か」がはっきり見えるようになったのは、大きな収穫。
- 本番の台湾進攻までは本来隠しておくべき“手先”を、中国自身が「首を切るぞ」と脅したことで露呈させてしまった。
- 結果として、中国大使館は「日本のインテリジェンスが操っているのでは」と疑いたくなるほど、日本側にとって有利な握手(悪手)を繰り返している…と半ば冗談交じりに評価。
- 結論的なトーン:
- 中国大使館の暴走は、日本国民にサンフランシスコ講和条約や敵国条項など戦後国際秩序を改めて勉強させる“宣伝”になってしまった。
- 日本側は感情的に慌てず、「相手が自爆してくれている」状況を冷静に利用すべき、というメッセージ。
2. 高市政権(番組内では「高一政権」)の経済・財政・金融政策評価
2-1. 財政政策(経済対策・防衛費・増税)
- 金子氏は、高市政権の財政運営は今のところかなり評価できると明言。
- 2024年度:本予算+補正で約126〜127兆円規模
- 2025年度:本予算+経済対策で約136〜137兆円
→ 前年比で約10兆円の財政拡大。景気悪化を防ぐには十分な規模と評価。- 「防衛増税」について:
- 年1兆円程度の防衛増税など、税収の自然増(2〜3兆円程度の上振れ)で十分吸収できるはずであり、増税は不要との立場。
- 防衛費は増やすべきだが、その財源を増税に求める必要はなく、増税による景気悪化はむしろ安全保障を弱める。
- 倉山氏の評価:
- 高市総理は「防衛国債も選択肢」と明言し、増税以外の防衛費確保の道を開いている点は大きい。
- これまで防衛増税は“ゾンビ”のように何度も蘇ろうとしていたが、高市政権はこれを本気で抑えにかかっている。
- 片山財務相についても、「今回に限っては」
- 早期利上げを牽制し
- 防衛増税にも慎重
という点で、財務省出身としては異例に“国民側に立った行動”をしていると珍しく高く評価。2-2. 金融政策(日銀の利上げ問題)
- 日銀は政策金利0.5%→0.75%への引き上げを模索しているとされるが、
- 金子氏とシンクタンクとしては「今利上げしてはならない」と強く主張。
- 物価上昇はエネルギー・食料などのコストプッシュインフレであり、利上げしても抑えられない。
- 多くのエコノミストや日銀自身の予測でも、来年には物価上昇率が2%程度に落ち着く見通しなのに、そのタイミングで利上げする合理性はない。
- 具体的な悪影響の例:
- 住宅ローン金利が上がり、既に住宅が売れにくくなっている。
- 0.75%になれば住宅投資がさらに冷え、住宅設備・関連産業を通じて景気に大きなマイナス。
→ 日本経済にとって「百害あって一利なし」。- 一方で、実質金利の現状:
- 消費者物価:約3%
- 10年国債利回り:約1.8%
→ 実質金利はマイナス1.2%で「高金利」とは到底言えない。- 日銀の含み損懸念についても、国債は償還まで持つ前提であり、株ETF評価益もあるため、バランスシートの含み損を過度に恐れる必要はないと説明。
- 政治と日銀の関係:
- 高市政権は、アコード(政府・日銀の共同文書)の更新を通じて、
- 政府側は「責任ある積極財政」を行う
- 日銀には、潜在成長率を高めるような金融政策を求める
という新しい枠組みを作るべきだと提案。- 直接「利上げするな」と命じると独立性問題になるため、アコードで“方向性”を縛るのが現実的な政治手段だと解説。
- 倉山氏の危機感:
- 小泉政権時代ですら、福井日銀総裁が首相の意向を無視して利上げした前例があり、「強い総理でも日銀に逆らわれることがある」。
- ここで日銀に0.75%利上げを強行されたら、高市政権は日銀から“ナメられた”ことになり、以後の政策運営に大きな悪影響。
- 「防衛増税を止められるか」「利上げを止められるか」が、高市政権が本当に“強い政権”になれるかどうかの試金石だと強調。
3. 「あなたができる国活動」=増税110番・身近な増税のタレコミ
番組後半は、視聴者から集まった「増税情報」の共有と、それをどう政治に反映させるか、という話に移る。
3-1. 視聴者から寄せられた“増税ネタ”
- 京都市の「空き家税」構想
- 令和11年度(2029年度)から、全国初の地方税として「空き家税」導入を準備中との報告。
- すでに市のHPに関連ページがあり、役所内では「導入は規定路線」のように動いているとの指摘。
- 出国税の拡充案
- 既に日本人も含めて1人1,000円の出国税があるが、今後「オーバーツーリズム対策」などの名目で3000円程度に引き上げ、日本人からもさらに徴収する案が検討されているとの情報。
- 「外国人観光客対策のはずなのに、なぜ日本人からも取るのか」と批判的に紹介。
- 通勤手当の非課税枠見直し
- 税務署関係者と思しき視聴者から、「数年後、公共交通機関利用の通勤手当非課税上限(月15万円)が変わる話が進んでいる」とのタレコミ。
- 車通勤への課税強化などにつながれば「事実上の増税」であり、生活に直結する問題。
- POSレジを口実にした「消費税減税できない論」
- 「システム改修が大変だから消費税減税できない」とする言説について、現場SEからの反論が紹介される。
- 本来、税率変更はシステム的には簡単に対応できるはずで、できないシステムを作っている企業があれば「カス」とまで言っている。
- ただし、ユーザー側で発生する不具合対応の人手(SE不足)がボトルネックになり時間がかかるのは事実であり、「技術ではなく運用・人員の問題」だと整理。
3-2. 「増税110番」の役割
- 救国シンクタンクとしては、「防衛増税だけでなく、あらゆる増税の動きを市民から吸い上げ、政治にプレッシャーをかける窓口」として「増税110番」を設けている。
- 視聴者一人ひとりに対し、
- 自治体の新税構想
- 経費・手当の非課税枠縮小
- 名目は「環境・福祉・観光対策」だが実態は増税
といった情報を、どしどし送り続けてほしいと呼びかけている。
4. 今後の政治局面と、国民に求める行動
- 倉山氏の大きな構図:
- 来年3月までが高市政権の“初動の攻防”の山場
- 予算・特例公債法、そして日銀人事を巡る攻防がある。
- ここで防衛増税を潰せるか、日銀利上げを止められるかで、以後の政権基盤が決まる。
- 高市政権を潰したい勢力は「最初の数ヶ月」で仕掛けてくるのが常道であり、ここを乗り切れば長期政権の可能性も出てくる。
- 財務省・総務省など“霞が関”の体質は変わっていない
- 金子氏:
- 財務省・総務省といった官庁の増税志向は、今日たまたま押さえ込めているだけで、根本から改まったわけではない。
- だからこそ、「当面は全ての増税を止める」を国民側の方針にすべきだと訴える。
- 小川氏の官僚時代の経験則:
- 「正しい方向に舵を切ると、それまで“ゆるく”やってきた人たちが一斉に反発し、ミスや不祥事が露呈する」
- 中国外交官の暴走や、国内の妙な動きも、正しい方向に政策を進めようとした副作用として出ている面がある。
- ここで踏ん張り続ければ、最終的に組織を正しい方向へ向かわせることができる、という経験から、今の局面も「踏ん張りどころ」と位置づけている。
- 視聴者に対して:
- 野田佳彦氏が「高市総理は事実上答弁を撤回した」と国会で述べた件について、「では野田氏本人の名で質問主意書を出すようSNSで迫り、その経過を報告してほしい」と促す。
- 防衛増税・利上げ・各種増税の動きについても、情報収集と拡散、増税100番への通報を通じて、国民が“政治の後押し”だけでなく“監視役”にもなってほしいと訴える。
5. 終盤の告知部分(簡潔に)
動画のラスト約3分ほどは、救国シンクタンクと出演者の告知。
- 救国シンクタンクの会員募集・月報(高市政権特集)の案内。
- 小川氏の著書『合憲自衛隊』の宣伝(軍事裁判所を現行憲法の枠内でどう設計するか等)。
- コーラン小冊子・皇室系図(「肖頭図」)の配布キャンペーン。
- 自治体経営研究会「リーダーシップ講座」(来年1月、神保町の会場)の案内。
まとめ(この動画全体の核)
- 中国大使館の「国際法否定」発言は、国際法の常識から見て自爆級の悪手であり、日本側は冷静に活用すべき。
- 高市政権の財政はおおむね評価できるが、日銀の利上げと防衛増税を止められるかが、政権の真価と日本の将来を左右する。
- 国民一人ひとりが「増税100番」などを通じて、身近な増税の動きを拾い上げ、政治と世論でブレーキをかけることが不可欠。
こういう骨格で1本通っています。
大変勉強になりました。
1️⃣ 最大のポイント(端的に一言)
中国大使館の“国際法自爆”をテコに、日本側が安全保障と経済運営の主導権を握り直せる局面に来ている、ということ。
2️⃣ 浜田聡として今後こころがけるべきこと(端的に一言)
防衛増税と拙速な利上げを止める世論形成の“監視役兼旗振り役”を徹底して担うこと。
頑張っていきたいと思います。