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税制の基本原則 「公平・中立・簡素」 財務省が最も重視するのはどれ?

たまたまあるきっかけで、平成12年(2000年)に作られた税制の資料を目にしました。

わが国税制の現状と課題 -21世紀に向けた国民の参加と選択-

かなり分量のある資料です。全文を読むのは結構大変です。それはさておき、ここに次のような記述があります。租税原則「公平・中立・簡素」の3つについてです。

2.税制の基本原則

租税は、公的サービスを賄うために十分な量が必要であり、国民皆が社会の構成員として広く公平に分かち合っていかなければなりません。そのためにどのような原則により税制を構築することが望ましいかについては、従来から各種の租税原則が提唱されてきましたが、それらは結局「公平・中立・簡素」の三つに集約することができます。

「公平・中立・簡素」の意義や重点の置き方は、経済社会の構造変化に伴って変わってくることもありますが、この三つの原則が税制を考える上での基本であることは21世紀においても変わらないと考えられます。

公平・中立・簡素それぞれについての説明は↑のリンクにありますので、適宜ご参照いただければと思います。ちなみに「公平」に関する説明文が長いです。個人的には、何をもって「公平」と判断するかというのは非常に難しい気がします。

さらにこの下に次のような記述があります。

(4) 三つの原則の関係

「公平・中立・簡素」は、常にすべてが同時に満たされるものではなく、一つの原則を重視すれば他の原則をある程度損なうことにならざるを得ないというトレード・オフの関係に立つ場合もあります。例えば、個人所得課税において、公平の観点から個人の担税力を調整するものとして、各種控除などによって個々の納税者に対するきめ細かい配慮を行うことが可能ですが、他方、制度の簡素性が損なわれることとなりかねません。

いずれにしても、税制を考えていく上では、税制全体として公平・中立・簡素の基本原則に則しているかどうかということが重要です。

という感じで、3つの原則が常に成り立つわけではないということが書かれております。なかなか難しい問題ですが、理想の税制というものが確立しているわけではないので、税制はやはり民意によって選ばれていくべきものでしょう。

ちなみに、上記リンクには租税原則なるものには上記の三原則だけでなく、他にも紹介されています。

(資料2)租税原則

アダム・スミスの4原則 ワグナーの4大原則9原則 マスグレイブの7条件

さて、先日の参議院財政金融委員会ではこの三原則について財務省に質問をさせてもらいました(↓の動画で20分15秒あたりから)。あらためて確認してみます。

内容は以下の通りです。(2020年6月7日追記)

0:26 新型コロナと住宅ローンについて

1:49 住宅ローンの延滞によって、ローン金利の急上昇・延滞情報が個人信用情報に記録され新たなローン審査不可などの可能性はあるか?

3:47 ボーナス月は返済額を多めに設定している住宅ローンも有るが、6月ボーナス月の返済困難者を支援する対策はあるか?

5:48 パスワードの定期変更は推奨されていない中、金融庁内で職員がネットワーク接続した端末を使う際のシステムはどのようになっているのか?

7:59 パスワードの定期変更を要求するのは不要であると、金融庁からネット銀行・証券会社に指導してみてはどうか?

10:48 新型コロナによる地方の財源問題、日銀による地方債の買い入れについて

13:20 日銀による地方債の買い入れは現在も慎重な姿勢なのか?→日本銀行

14:50 もし日銀が地方債の買い入れを検討する場合、日銀法43条による制限を考慮する必要はあるか?

16:03 日銀が地方債を買い入れの問題点、地方債以外で地方の財源を増やすアイディアについて

18:50 財投債を発行して地方に貸し付ける事は可能か?

20:14 租税原則「公平・中立・簡素」を重視しているか?→財務省

22:27 消費税増税と同時に軽減税率が導入されたが、軽減税率によって消費税の「簡素」が棄損されている認識はあるか?また今後の税制で「簡素」を重視する気はあるか?

25:00 前澤友作さんが申告漏れを指摘されたと報道にあったが、財務省がこの情報を報道各社等の外部に漏らした可能性はあるか?

27:38 もし上記の申告漏れの情報を財務省もしくは他省庁が漏らしていた場合、国家公務員法100条違反になるか?

私としては「簡素」を重視してほしい旨を訴えたところ、財務省主税局長の矢野康治さんの答弁は、公平性を最重視とのことでした。上でも書きましたが、何をもって公平とするかは非常に難しいというところで、公平性を最重視するという財務省の姿勢はなかなか興味深いと思います。あくまで個人的な感想ですが。

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