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建設発生土の規制に関する質問主意書 ←丸山穂高衆議院議員2020年11月提出

今回は、令和2(2020年)11月13日に丸山穂高衆議院議員が提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

今回は、建設発生土についての質問です。

まず、建設発生土とは何か、について神奈川県のウェブサイトから拝借します。

建設発生土とは、建設工事に伴い副次的に発生する土砂のことです。

建設発生土は、埋立てや盛土の材料として土地造成などに利用できる有用な再生資源であり、資源の有効な利用の促進に関する法律、同施行令等において、再生資源としての利用を促進することが特に必要な建設副産物とされています。

なお、建設副産物とは建設工事に伴い副次的に得られたもので、コンクリート塊、アスファルト塊、建設発生木材などが該当します。

建設発生土は有用な再生資源ということで、これを有効活用するとともに不適正な処理を防止するため国土交通省が建設発生土の官民有効活用マッチングの仕組みを作ったようです。

建設発生土の官民有効利用マッチングシステムホームページ

上記にあるように、建設発生土は再生資源として有用利用される一方、一部において山林等への投棄など不適正な処理が行われ、崩落が起きるなど生活・自然環境に悪影響を及ぼしている例も見られるようです。↓にその例となる動画を掲載します。

不法投棄など、建設発生土の不適正な処理は問題であり、政治に関わる方は知っておいて損はないと思います。参考になると思いこの質問主意書を記事にさせてもらいました。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

建設発生土の規制に関する質問主意書

 建設発生土は、建設工事で発生する土砂であり、埋立てや盛土の材料として土地造成などに利用できる有用な再生資源とされ、廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しない。
しかし、廃棄物とみなされないために建設発生土には処分の規制措置が無く、発生現場内や他の建設工事等で有効に利用されることがある一方で、一部において山林等への投棄など不適正な処理が行われ、崩落が起きるなど生活・自然環境に悪影響を及ぼしている例も見られる。現在、東京五輪・パラリンピックやリニア中央新幹線建設などの大型の公共工事が相次ぐ中、建設発生土が大量に発生し、建設発生土の不適正処理の事案や建設発生土による土砂崩落等が発生している。平成三十年十二月に「土地等の埋立て等に関する非常事態宣言」を出すに至った静岡県富士市のような事例も発生している。
一方で、大阪万博(二〇二五年)の会場の造成に際しては、当初、大阪市が主に市内で集めた建設発生土を利用して埋立工事を進めていたが、作業を急ぐために補正予算に土地造成費を計上し、土砂を購入して作業を進めるという事例も発生している。
建設発生土を有効活用するとともに不適正な処理を防止するために、国土交通省が建設発生土の官民有効活用マッチングの仕組みを導入したものの、建設発生土の搬出・搬入する工事現場間の距離が近いものなどに限られており、悪質業者による不法投棄事案など各地で発生している建設発生土に係る不適正な処理への対策として有効に機能しているとは言い難い。また、大阪市の事例は、このマッチングの仕組みが機能していないことの証左でもあると考えられる。
他方、実際には建設発生土は、都道府県境を越えて広域的に移動しているが、条例による規制だけでは限界があり、条例が定められていない、又は規制の緩い地域で処分されるおそれがある。このように、不適正な建設発生土の処理を行う事業者に対する実効的な規制ができていないのが現状である。
関連して、以下質問する。

一 建設発生土に係る不適正処理の状況や建設発生土の受け皿となる建設発生土処分場の状況を把握するとともに、悪質な業者や事案について関係省庁及び自治体間で情報共有を行うことができなければ、不適正処理に対して対応することはできない。そこで、過去三年間程度の都道府県ごとの建設発生土受入地の施設数、残存容量、残余年数及び建設発生土の不適正処理に関連し、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、砂防法、自然環境保全法、自然公園法、森林法、農地法及び刑法等により警察に検挙された悪質業者の件数を政府として把握する必要があると考えるが、把握状況を明らかにされたい。把握していない場合、把握していない理由及び把握する考えがあるのかについて、政府の見解を示されたい。
また、現在、総務省の行政評価において「建設残土対策に関する実態調査」を行っているところと承知している。建設発生土の不適正処理の問題は古くから指摘されており、政府としての対策や規制の在り方について必要な検討が行われていることと思うが、その検討の具体的内容と対策の実施時期を示されたい。

一、五及び六について
お尋ねの「建設発生土受入地の施設数、残存容量、残余年数」については、網羅的に調査していないため、また、お尋ねの「悪質業者の件数」についても、統計をとっていないため、お答えすることは困難である。「把握する考えがあるのか」とのお尋ねについては、これらを把握することは考えていないが、建設発生土の不適正な取扱いへの対応については、平成二十七年に立ち上げた「建設残土の崩落に関する関係省庁連絡会議」における議論を踏まえ、平成二十九年八月には国土交通省において「建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料」を作成し、関係法令や条例に基づく適正な取扱いをより一層促すべく、地方公共団体に周知したところであり、令和二年十月十九日にも同会議を開催し、建設発生土の崩落の実態を共有し、当該実態を踏まえた課題や対応について議論するなど、政府として、必要な検討を進めているところである。

二 政府を挙げて取り組んでいる東京五輪・パラリンピックやリニア中央新幹線建設などの大型事業が現在進められているところであるが、これらの大型事業を完遂させるためには、そこで発生する建設発生土を適正に処理することが欠かせない。これらの大型事業において発生する建設発生土の量及び処分方法等について政府として常に把握、検証し、必要に応じて見直していくことが必要と考える。
このため、大量の建設発生土の発生が見込まれるような大型事業では、例えば、「埼玉県土砂の排出、たい積等の規制に関する条例」の規定のように建設工事現場から五百立方メートル以上建設発生土の排出が見込まれる場合は事前に建設発生土の排出計画を定め、届出を提出させるなどの取組を行うことが重要である。
そこで、事業者に対し、事前に建設発生土の発生量の想定と建設発生土処分場の確保を徹底させるとともに、事業の進捗に伴って実際に発生した建設発生土の量との差を定期的に報告させ、建設発生土の処理方法等についても随時見直しを求めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

二について
お尋ねの「大型事業」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省直轄事業においては、原則として、建設発生土の具体の搬出先を発注者が事業者に指定する指定処分方式を採っている。また、同省直轄事業及び各地方公共団体等の事業においては、事業の実施に伴う建設発生土について、土量、土質及び土の運搬時期を同省において把握するとともに、各工事発注機関が相互に情報交換を行い、その有効利用を図っているところである。

三 国土交通省が導入した建設発生土の官民有効活用マッチングの仕組みがあるが、成立した件数は平成二十七年度の制度開始から現在までに三十一件と少なく、上手く機能していないと思われる。建設発生土の官民有効活用マッチングの件数が増加しない理由及びその解決策について、政府の見解を示されたい。

三について
お尋ねの建設発生土の官民有効利用マッチングシステムについて、同システムにおける工事間利用の成立件数は同システムの運用を開始した平成二十七年度から五年間で三十一件となっているが、一般的に、建設発生土の工事間利用を行うためには、建設発生土を搬出する工事及び搬入する工事において、土量、土質及び土の運搬時期を合致させる必要があることを踏まえると、同システムは有効に機能していると認識しているところであり、同システムの更なる普及に向けて、関係団体への周知に取り組んでいるところである。

四 建設発生土には処分の規制措置が無いために、「残土」と称して不適正処理がなされ、生活・自然環境に悪影響を及ぼしている。建設発生土についても、不要とされたものについては廃棄物処理法上の廃棄物とみなし、同法による処理を行うべきという考え方もあるが、政府の見解を示されたい。

四について
お尋ねの「建設発生土」については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する「廃棄物」には当たらず、同法による規制の対象とはならないと考えている。

五 大量の廃棄物を他人の土地に堆積させるなどの行為について、当該土地の利用価値を喪失させたとして、不動産侵奪罪が成立した事例があると承知している。
建設発生土の不適正な処理に対して、自治体における条例等による規制が行われていない場合、不動産侵奪罪の適用が選択肢の一つとなっているが、不動産侵奪罪が建設発生土の不適正処理に十分に適合しているとは言い難い。建設発生土の不適正処理事案を適正に抑止するため、必要な法制上の措置も含めた検討を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五及び六については一で併せて回答済。

六 建設発生土に関し、条例による規制を行っている自治体は限定され、条例を制定している自治体とそうでない自治体との間での建設発生土対策に格差が発生し、その隙間を狙って悪質業者による建設発生土の不適正処理も発生している。
また、地方自治法では、条例の罰則は二年以下の懲役又は百万円以下の罰金と上限が定められているため、建設発生土の不適正処理で得られる悪質業者の利益や不法投棄の原状回復等に要する費用と比して、十分に抑止効果が機能しているとは言い難い。
こうしたことから、建設発生土については、各自治体にその対策を委ねるのではなく、国による一元的な法的規制やガイドラインの策定等の対策を早急に講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五及び六については一で併せて回答済。

右質問する。

読んでいて色々と勉強になります。この質問主意書を提出した丸山穂高衆議院議員に感謝します。

今回の質問主意書における同様の問題点について足立康史衆議院議員が2019年5月の国土交通委員会で質問しています↓。ところどころで(特に終了直前)笑いをとるあたりはさすがだと思いました。

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