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公益通報制度の課題に関する質問主意書 ←丸山穂高衆議院議員提出

今回は(も?)、令和3(2021)年4月19日に丸山穂高議員が衆議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は公益通報、またの名を「内部告発」に関する質問です。

公益通報(読み)こうえきつうほう (コトバンク)

公益通報(内部告発)とは、会社の内部の人間が、会社の法律違反行為を、しかるべき機関に通報すること。

(中略)

このような公益通報は、会社の不法行為が明るみに出ることによって、国民全体に利益をもたらすとされている。しかし、公益通報者にとっては、自分の会社から報復される可能性もある危険な行為である。そのため、公益者を保護する観点から2004年、「公益通報者保護法」が制定された。

これまで様々な企業・団体で公益通報がなされてきました。西宮冷蔵の件は私にとって印象強く残っているものです。これこそ正義の行為と言える内部告発をしながらも、それをした社長がその後受けた仕打ちが大変なものであったからです。

霞が関や永田町にも内部告発はそれなりにあろうかと思います。いわゆる文春砲というのはそのたぐいではないかと思います。

昨年、この公益通報者保護法が改正となりました。今回の質問主意書は改正された公益通報者保護法などについて質問したものとなります。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。※今回の答弁ですが、全ての質問に対してまとめて答弁という形になっています。

公益通報制度の課題に関する質問主意書

 令和二年に改正された公益通報者保護法(以下、「改正法」という。)は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。主な改正内容は、事業者に対する内部通報に対応するために必要な体制の整備義務、整備義務違反に対する行政措置及び内部調査等に従事する者に対する守秘義務の導入に加え、権限を有する行政機関への通報及び報道機関等への通報に関する要件の緩和、通報者及び通報の対象となる範囲の追加である。近年も事業者の不祥事による社会問題が後を絶たないことから、消費者庁は早期是正により被害の防止を図るとしていたが、有識者からは改正法が施行されたとしても、残された課題があるとの指摘がなされている。
右を踏まえ、次の事項について質問する。

一 事業者による、公益通報者に対する公益通報を理由とした不利益な取扱い(以下、「不利益な取扱い」という。)について
1 下請事業者、取引先事業者及び退職から一年を過ぎて通報した者等(以下、「部外者」という。)が不祥事を知った場合は、公益通報の対象者となっておらず、通報しても保護されない。部外者は法令等の違反を知り得た場合、どのように通報を行えばよいのか。また、いかにして通報した部外者の情報が事業者へ漏れることなく不正を是正できるのか、その方法を具体的に伺いたい。

一の1について
国の行政機関においては、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)を作成し、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号。以下「法」という。)第二条第二項に規定する公益通報者に該当しない者についても、事業者の法令遵守を確保する上で必要と認められる者からの通報を受け付けること、通報者の同意を得ずにその特定につながり得る情報を当該事業者に開示しないこと等により、通報者の保護を図るとともに、事業者の法令遵守を推進することとしている。
また、消費者庁においては、「公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成二十九年七月三十一日消費者庁)を作成し、地方公共団体に対し、国の行政機関と同様の取組を促している。

2 内部通報の体制整備は、常時使用する労働者の数が三百一人以上の事業者に義務付けられている。しかし、大半の事業者が中小企業基本法に定める三百人以下の中小事業者であり、当該中小事業者における内部通報体制の整備について、一律に義務を課すと過大な負担となるという理由で努力義務にとどまることを踏まえれば、体制整備は限定的となりかねない。その場合、体制整備義務が課されていない事業者に対する公益通報では、不利益な取扱いがなされる懸念がある。そこで、公益通報制度を実効性のあるものとするため、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律における時間外労働の上限規制に基づく、三六協定の経過措置について大企業と中小事業者で期間をずらしたのと同様、体制整備を義務化する対象を段階的に広げることで対策が進むと考えるが、政府の見解を問う。
また、報道機関等への公益通報を認める一部の要件は、改正法により生命・身体に対する危害が発生した場合等だけでなく、財産に対する損害が発生した場合及び公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合等が追加され、要件が緩和された。この通報者を特定させる情報を漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合には、内部通報の体制整備がない中小事業者に通報する場合が含まれるのか、政府の見解を問う。

一の2の前段について
公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和二年法律第五十一号。以下「改正法」という。)による改正後の法(以下「新法」という。)第十一条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置については、常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者の実態を踏まえて努力義務とされているものであり、まずは、改正法の施行後において、当該措置の実施状況を十分に把握し、改正の効果を見極めることが必要と考えている。

3 平成三十年十二月の公益通報者保護制度に係る消費者委員会の答申(以下、「答申」という。)では、「事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合につき、客観的・外形的に判断することが可能な要件について、法制的・法技術的な観点から整理を行い、当該要件を特定事由に追加する」ことが求められていた。しかし、改正法第三条第三号においては、「正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合」とのみ規定されており、客観的・外形的に判断することは難しいと考えるが、政府の見解を問う。また、政府はどのように事業者が内部通報体制の整備義務を正しく履行していることを確認するのか、詳細を伺いたい。

一の2の後段及び3の前段について
お尋ねの「内部通報の体制整備がない中小事業者に通報する場合」が新法第三条第三号ハに規定する「正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合」に該当するか否かについては、個別具体的な事案に即して判断される必要があり、一概にお答えすることは困難であるが、今後、同号に規定する公益通報を行おうとする者の判断に資する情報の提供に努めてまいりたい。

一の3の後段について
新法第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置の実施状況については、新法第十五条の規定により事業者に対して報告を求めること等により、適切に把握してまいりたい。

4 答申では、行政機関について、民間事業者に率先垂範する観点から、規模にかかわらず、内部通報体制の整備を義務付けるべきとされた。しかし、改正法第十一条第三項では、国及び地方公共団体と民間事業者を区別することなく、常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者について、内部通報体制の整備は努力義務とされた。答申において、行政機関は規模にかかわらず内部通報体制の整備を義務付けるべきとされたにもかかわらず、労働者数三百人以下の行政機関が努力義務であることを理由として整備に遅滞を生じれば、中小事業者による努力義務の履行にも影響を与えると考える。労働者数三百人以下の行政機関においても、速やかに内部通報体制が整備されるよう、各地の行政機関に通知を行うという認識でよいか、政府の見解を問う。

一の4について
常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者に該当する地方公共団体については、新法第十一条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置が適切に実施されるよう、当該地方公共団体に対してこれらの規定の趣旨を周知する等の取組を進めてまいりたい。

二 改正法において、退職者が公益通報を行う場合に保護される範囲は、退職後一年以内とされた。これにより、公益が損なわれる事態に気付いたときが退職後一年間を超えていた場合、公益通報を行うことができなくなる。政府は、退職後の通報を理由として不利益な取扱いを受けた事例のほとんどが退職後一年以内に通報されているとしているが、その根拠を取りまとめているのであれば、退職者が行った通報について、調査を行った人数、そのうち不利益な取扱いを受けたと回答した人数、さらに、そのうち退職後一年以内に通報したと回答した人数を具体的に示されたい。一方で、民法では、「権利を行使することができることを知った時から五年間」という主観的起算点による時効が存在する。仮に、退職後の通報を理由として不利益な取扱いを受けた事例のほとんどが退職後一年以内に通報されているとしても、一年以上の事例も存在することを踏まえ、退職者が公益通報を行う場合に保護される範囲を、退職後一年以内とせず、主観的起算点による期間にする必要はないか、政府の見解を問う。

二について
消費者庁が平成二十八年度に三千人の労働者等を対象に実施した調査において、元労務提供先の不正行為について退職後に通報又は相談をした経験がある旨を回答した者は百三十人であり、このうち当該通報又は相談をした後に不利益な取扱いを受けた経験がある旨を回答した者は五十七人であった。また、当該労働者等のうち連絡先の提供があった者に対し、同庁が実施した追加調査において、元労務提供先等の不正行為について退職後に通報又は相談をした後に不利益な取扱いを受けた経験がある旨を回答した者は十人であり、このうち退職から通報までの期間が一年以内である旨を回答した者は九人であった。
また、お尋ねの「退職後一年以内とせず、主観的起算点による期間にする必要はないか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、新法第二条第一項に規定する公益通報の範囲については、まずは、改正法の施行後において、改正法の施行状況を十分に把握し、改正の効果を見極めることが必要と考えている。

右質問する。

最後の質問二については、3000人の労働者を対象に調査したところ、元労務提供先の不正行為について退職後に通報又は相談をした経験がある旨を回答した者が130人とのことです。内部告発すべき事例というものは私が思う以上に身近?あるいは頻繁?に発生しているのかもしれません。

昨年の公益通報者保護法改正については、私も国会での審議に参加させていただき、大変印象に残っています。一例として参考人の方への質問動画を紹介しておきます。

公益通報(内部告発)については、今後より多くの方がその意義を再認識してほしいと願うとともに、正義の通報をされた方が報われるような社会へしたいと考えております。この質問主意書を提出した丸山穂高衆議院議員に感謝します。

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