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新型コロナウイルスの変異株、デルタ株へのワクチンの効果(今後のさらなる調査結果にも注目)

昨日の記事では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するにあたって、コロナ専門家有志の会の提言を紹介させていただきました。

この中では、新型コロナウイルスの変異株の一つであるデルタ株の脅威について紹介されていました。今後の感染状況がどうなるかについては、このデルタ株の感染拡大をどの程度抑えられるかが重要ではないかと思いました。

昨日も紹介しましたが、デルタ株の病態についてイギリスBBCの動画が良くまとまっていると思いましたので紹介します。

さて、このデルタ株に限らず、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための有効な手段の一つとしてワクチンがあります(もちろんワクチン以外に、生活上の注意なども感染拡大予防に重要です)。

現在国内でも接種が進んでいる新型コロナワクチンですが、このデルタ株への有効性はどうなのか?について調べてみました。

まずは英・イングランド公衆衛生庁(PHE)のプレスリリースです。

Vaccines highly effective against hospitalisation from Delta variant From:Public Health England Published 14 June 2021

簡単に内容を紹介すると、2021年4月~6月の間に「デルタ株」感染が確認された1万4,019例を対象に分析を実施したところ、2回接種で入院治療を回避できる有効性は、ファイザー社のワクチンが96%、アストラゼネカ社のワクチンが92%だったとのことです。

というわけで、ワクチンによる予防効果は(英国人には)それなりにあると考えてよいのではないでしょうか。

複数の報告を参照してみたいと思い、ここではさらに日本感染症学会の見解の一部を紹介します。

日本感染症学会 » ガイドライン・提言 » 提言 » COVID-19ワクチンに関する提言

デルタ株への有効性の前に、感染症学会のワクチンに関する考え方は共有しておくべきと思いましたので紹介しておきます。

「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」に際して

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の中、わが国でもCOVID-19ワクチンの医療従事者・高齢者への接種が進み、その効果が強く期待されています。COVID-19の感染拡大防止に、ワクチンの普及が欠かせないことは言うまでもありません。しかしながら、ワクチンも他の薬剤と同様にゼロリスクはあり得ません。私たち一人一人がその利益とリスクを正しく評価し、接種するかどうかを自分で判断することが重要です。(以下略)

私はワクチンは多くの方が接種すべきと考えておりますが、接種するかどうかの判断は各人で、というのはその通りだと思います。

話がそれましたが、ワクチンの変異株への有効性に関する記述の部分を紹介します。

「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」より

5) 変異株とワクチンの効果
(中略)
現在、N501Y 変異(スパイクタンパク質の 501 番目のアスパラギンがチロシンに変化した変異)をもつイギリス型の変異株(B.1.1.7、α)がわが国で広がっています。この変異によって、感染力(伝播力)が実効再生産数で 43%~90%上昇する 24)と推定されていますが、ファイザーやモデルナのワクチンで誘導される抗体による中和活性には若干の減少がみられるものの、ワクチンの有効性には大きな影響はないとされています 25, 26)。アストラゼネカのワクチンで誘導される抗体の中和活性は約 9 分の 1 に低下しますが、実際の発症予防効果は従来株での 81.5%に対して、B.1.1.7 でも 70.4%の有効率が示されています 27)。ただ、無症状または症状不明の感染の予防効果は、従来株では 69.7%であったの対して、B.1.1.7では 28.9%と低下していました。
一方、南アフリカ型の変異株(B.1.351、β)とブラジル型の変異株(P.1、γ)にみられる E484K 変異(484 番目のグルタミン酸がリシンに変異)は、COVID-19 回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告されており、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されています 28)。実際に、ファイザーのワクチン 2 回接種後に誘導される抗体の中和活性は、従来株での 532 に対して B.1.351 で 194 に、P.1 で 437 と低下していることが報告されています 29)。しかしながら、B.1.351 が流行の半分を占めたカタールから、2 回接種 2 週以後に B.1.351 の感染を 75%、重症または致死的なCOVID-19 を 100%減少させたという報告があり、一定の効果はあると考えられます。モデルナのワクチンも B.1.351 とP.1 への中和抗体活性がやや低下し、アストラゼネカのワクチンは B.1.351 への中和活性が低下すると報告されていますが、臨床的効果についてはまだ明らかではありません 30)。
またインド型の変異株(B.1.617、δ)もすでに国内に流入していますが、3 つの亜型のうち B.1.617.1 と B.1.617.3 には免疫回避をもたらす E484Q 変異がみられ、ワクチン効果が低下することが懸念されています 30)。B.1.617.1 では、ファイザーとモデルナのワクチンで誘導される抗体の中和活性が、いずれも 7 分の 1 に低下していることが報告されています 31)。

ということで、ワクチンの変異株に対する効果としては、以前よりは効果が下がることが指摘されています。これはウイルス感染拡大やまん延が続くと致し方ない面があります。とはいうものの、やはり接種の効果はそれなりにあるのではないでしょうか。

大問題のデルタ株の情報は、今後どんどん出てくると思うので、注意深く見守っていこうと思います。

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コメント

  1. L より:

    長い長い学び。発信してくださる方々、現場の方々に感謝。