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昭和15年帝国議会における斎藤隆夫代議士の「反軍演説」を紹介します

本日は8月15日です。先の大戦で犠牲となられました全ての方々に心より哀悼の意をささげます。

時はさかのぼって1940年(昭和15年)に帝国議会で行われた演説を今回は紹介します。2月2日の衆議院で斎藤隆夫代議士が行った演説です。当時の支那事変処理に関する質問演説で、いわゆる反軍演説と呼ばれているものです。

この演説が原因で、斎藤隆夫代議士は衆議院議員を除名されることになりました。言論弾圧と呼ぶべきもので、当時にあった様々な問題を提起するものだと思います。

議事録を眺めてみると、(拍手)や(議長「静粛に願います」)などが多数あり、議場はかなり白熱していたのではないかと想像できます。

以下、その反軍演説の一部を抜粋します。抜粋ですが、かなり長いです…。

「支那事変処理を中心とした質問演説」

(中略)

斯くの如き事態でありますから、国家競争は道理の競争ではない、正邪曲直の競争でもない、徹頭徹尾力の競争である。

(拍手)

世にそうでないと言う者があるならばそれは偽りであります。 偽善であります。 吾々は偽善を排斥する。 飽くまでも偽善を排斥して、以て国家競争の真髄を掴まねばならぬ。 国家競争の真髄は何であるか。 曰く生存競争である、優勝劣敗である、適者生存である。 適者即ち強者の生存であります。 強者が興って弱者が亡びる。 過去数千年の歴史はそれである。 未来永遠の歴史も亦それでなくてはならないのであります。

(拍手)

此の歴史上の事実を基礎として、吾々が国家競争に向うに当りましては、徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ、自国の力を養成し、自国の力を強化する、是より外に国家の向うべき途はないのであります。

(拍手)

3.2. 第07段落
彼の欧米の基督教国、之を見ようではありませぬか。 彼等は……

(「もう宜い」「要点要点」と呼び、其の他発言する者多し)

(議長「静粛に願います」)

彼等は内にあっては十字架の前に頭を下げて居りますけれども、一たび国際問題に直面致しますと、基督の慈善博愛は蹴散らかされてしまって、弱肉強食の修羅道に向って猛進をする。 是が即ち人類の歴史であり、奪うことの出来ない現実であるのであります。

此の現実を無視して、唯徒に聖戦の美名に隠れて、国民的犠牲を閑却し、曰く国際正義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、斯くの如き雲を掴むような文字を列べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことかありましたならば

(小田栄君「要点を言え、要点を」と呼び、其の他発言する者多し)

(議長「静粛に願います、小田君に注意致します」)

現在の政治家は死しても其の罪を滅ぼすことは出来ない。 私は此の考えを以て近衛声明を静に検討して居るのであります。 即ち之を過去数千年の歴史に照し、又之を国家競争の現実に照して……

(発言する者多し)

(議長「静粛に願います」)

彼の近衛声明なるものが、果して事変を処理するに付て最善を尽したるものであるかないか、振古未曽有の犠牲を払いたる此の事変を処理するに適当なるものであるかないか、東亜に於ける日本帝国の大基礎を確立し、日支両国の間の禍根を一掃し、以て将来の安全を保持するに付て適当なるものであるかないか、之を疑う者は決して私一人ではない。

(拍手)

苟も国家の将来を憂うる者は、必ずや私と感を同じくして居るであろうと思う。 それ故に近衛声明を以て確乎不動の方針なりと声明し、之を以て事変処理に向わんとする現在の政府は、私が以上述べたる論旨に対し逐一説明を加えて、以て国民の疑惑を一掃する責任があるのであります。

(中略)

此処が即ち政府として最も注意をせねばならぬ点であるのである。 殊に……

(「注意しろ」「議長」と呼ぶ者あり)

(議長「静粛に願います」)

国民精神に極めて重大なる関係を持って居るものであって、歴代の政府が忘れて居る所の幾多の事柄があるのであります。 例えば戦争に対する所の国民の犠牲であります。 何時れの時に方りましても戦時に当って国民の犠牲は、決して公平なるものではないのであります。 即ち一方に於ては戦場に於て生命を犠牲に供する、或は戦傷を負う、然らざるまでも悪戦苦闘して有ゆる苦艱に耐える百万二百万の軍隊がある。 又仮令戦場の外に居りましても、戦時経済の打撃を受けて、是までの職業を失って社会の裏面に蹴落される者もどれだけあるか分らない。 然るに一方を見ますると云うと、此の戦時経済の波に乗って所謂殷賑産業なるものが勃興する、或は「インフレーション」の影響を受けて一攫千金は愚か、実に莫大なる暴利を獲得して、目に余る所の生活状態を曝け出す者もどれだけあるか分らない。

(拍手)

戦時に当っては已むを得ないことではありますけれども、政府の局に在る者は出来得る限り此の不公平を調節せねばならぬのであります。

然るに此の不公平なる所の事実を前に置きながら、国民に向って精神運動をやる。 国民に向って緊張せよ忍耐せよと迫る。 国民は緊張するに相違ない、忍耐するに相違ない。 併しながら国民に向って犠牲を要求するばかりが政府の能事ではない。

(拍手)

是と同時に政府自身に於ても真剣になり、真面目になって、以て国事に当らねばならぬのではありませぬか。

(「ヒヤヒヤ」拍手)

然るに歴代の政府は何を為したか。 事変以来歴代の政府は何をなしたか。

(「政党は何をした」「黙って聞け」と呼ぶ者あり)

二年有半の間において三たび内閣が辞職をする。 政局の安定すら得られない。 斯う云うことでどうして此の国難に当ることが出来るのであるか。 畢竟するに政府の首脳部に責任観念が欠けて居る。

(拍手)

身を以て国に尽す所の熱力が足らないからであります。 畏多くも組閣の大命を拝しながら、立憲の大義を忘れ、国論の趨勢を無視し、国民的基礎を有せず、国政に対して何らの経験もない、而も其の器にあらざる者を拾い集めて弱体内閣を組織する。 国民的支持を欠いて居るから、何事に付ても自己の所信を断行する所の決心もなければ勇気もない、姑息倫安一日を弥縫する所の政治をやる。 失敗するのは当り前であります。

(拍手)

斯う云うことを繰返して居る間に於て事変は益々進んで来る。 内外の情勢は愈々逼迫して来る。 是が現時の状態であるのではありませぬか。 之をどうするか、如何に始末をするか、朝野の政治家が考えねばならぬ所は茲に在るのであります。

吾々は遡って先輩政治家の跡を追想して見る必要がある。 日清戦争はどうであるか。 日清戦争は伊藤内閣に於て始められて伊藤内閣に於て解決した。 日露戦争は桂内閣に於て始められて桂内閣が解決した。 当時日比谷の焼打事件まで起りましたけれども、桂公は一身に国家の責任を背負うて、此の事変を解決して然る後に身を退かれたのであります。 伊藤公と云い、桂公と云い、国に尽す所の先輩政治家は斯くの如きものである。

然るに事変以来の内閣は何であるか。 外に於ては十万の将兵が殕れて居るに拘わらず、内に於て此の事変の始末を付けなければならぬ所の内閣、出る内閣も出る内閣も輔弼の重責を誤って辞職をする、内閣は辞職をすれば責任は済むかは知れませぬが、事変は解決はしない。 護国の英霊は蘇らないのであります。

(拍手)

私は現内閣が歴代内閣の失政を繰返すこと勿かれと要求をしたいのであります、

一部抜粋でしたが、それでもかなりの長文となりました。

内容を非常に大雑把にまとめると、

闘いを始めるのなら出口戦略を考えておけ、勝ち方・止め方をしっかり議論せよ!!!

というものです。しごく当たり前の話ではないかと考えます。現在のコロナ禍をどうするのか、についても共通するところは少なからずあるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

8月15日ということで、今回は歴史を振り返ってみました。

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