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検察の起訴独占主義への対策として付審判請求対象を拡充する刑事訴訟法改正案について参議院法制局に相談していました

今回の記事は、将来的に法改正可能かどうかはさておき、このようなアイデアがありますよ、という提示をしています。

起訴独占主義と起訴便宜主義という言葉をご存じでしょうか?もしご存じでない方は、この機会に是非とも知っていただきたいと思います。

起訴独占主義(コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)

刑事訴訟において,私人の起訴を認めず,国家機関,ことに検察官だけにその権限を認める制度 (刑事訴訟法 247) 。全国的に一体をなす検察官が訴追機関となることによって,起訴・不起訴の判断が公正かつ統一的なものになるという長所がある。

人が有罪であるか無罪であるかを裁く刑事裁判をおこすことができるのは検察官だけである、というのが起訴独占主義です。

起訴便宜主義(コトバンク デジタル大辞泉の解説)

検察官が事件を起訴するかどうかを判断する際に、訴追を必要としないときは不起訴にすることを認める原則。

刑事裁判をおこすかどうかは、検察官の裁量による、というのが起訴便宜主義です。

極端な例ですが、ある者による凶悪な犯罪が明らかであるとしても、検察官が刑事裁判をおこさなければ、その者は罪に問われなくてすむ、ということです。

このような起訴独占主義の問題への対処法として、以前に検察審査会の機能を国会に置くような法案を参議院法制局に相談したことを記事にしました。

今回は、起訴独占主義の問題への別の対処法として、付審判請求対象の拡充、というアイデアをNHK党関係者の方からいただきました。※以下、結構長いです。

通常、告発人または告訴人は、検察の不起訴処分に不服がある場合、検察審査会に審査申立てをすることになりますが(検察審査会法30条)、その例外として
・刑法に規定される公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、特別公務員暴行陵虐、特別公務員職権濫用等致死傷
・破壊活動防止法に規定される公務員の職権濫用
・無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に規定される公務員の職権濫用

上記に列挙した犯罪に限っては、裁判所に直接審判に付することを請求することができます。
裁判所は、請求が理由のあるときは、事件を管轄地方裁判所の審判に付します。その際、裁判所が指定する弁護士が検察官の職務を行います。これを付審判手続きと言います。

この付審判手続きできる罪を増やせば、時折物議を醸し出す検察官の不起訴処分が正しいかどうかを、直接裁判所に審理してもらうことが出来ます。

具体的には以下のような刑事訴訟法の改正案となります。

改正案は、検察官及び認証官が行った罪に対しては、逮捕・勾留に特別の配慮を必要とする比較的軽い犯罪以外のすべての罪に対して、付審判手続きができるよう、付審判制度を拡充するものです。あわせて、検察官が被告人の事件について、指定弁護士(検察官役の弁護士)が検察官を通じてではなく、直接、検察事務官及び司法警察職員に対する捜査の指揮を行えるようにします。

——————

刑事訴訟法の一部を改正する法律(案)

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

第二百六十二条第一項中「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成十一年法律第百四十七号)第四十二条若しくは第四十三条の罪」の下に「又は、被告訴人若しくは被告発人が検察官若しくは任命に際し天皇が認証する公務員である、死刑、懲役、禁錮若しくは三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)を超える罰金に当たる罪」を加える。
第二百六十八条第二項中「捜査の指揮は、」の下に「被告人が検察官でない場合、」を加える。
第二百七十条第一項に次のただし書きを加える。
「ただし、検察官が被告人である事件については、この限りでない。」

附則
(施行期日)
第一条 この法律は、最高裁判所がこの法律に対する規則を制定した日から施行する。
第二条 最高裁判所は、この法律が公布されてから六箇月以内に、この法律に対する規則を制定するよう努めなければならない。

法案の提出理由

検察官及び要職の公務員は、特に順法精神が求められるところ、残念ながら、近時において順法精神に欠けた者がいた。しかも、検察は、それらの者に対して、起訴独占主義、起訴便宜主義を悪用し、審判に付さなかった。そこで、検察官及び要職の公務員が犯した罪に関しては、検察官の判断に左右されずに、審判に付す判断を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

このようなアイデアの刑事訴訟法改正案について参議院法制局に相談したところ、以下のような見解をいただきました。

御提案の刑事訴訟法の一部を改正する法律案について(docxファイル)

少し長いですが、ほぼそのまま共有します。

1 「検察官が行った罪」を対象とすることについて(第262条第1項改正関係)
(1) 付審判請求(準起訴手続)の制度の趣旨は、「わけても、人の人権に直接かかわる職務を掌理する裁判、検察、警察の職務に従事するものが、その職権を濫用して人を逮捕又は監禁し(刑194)、あるいは刑事被告人その他の者に対して暴行や陵虐の行為をしたときは(刑195)、とくに重い懲役又は禁錮に処することとしている。ところが、これを捜査し、起訴不起訴を決するのも、警察及び検察であるところから、その決定が、仲間意識から馴合的安易な不起訴処分に堕することを、告訴又は告発した第三者からチェックするのが、この準起訴手続の趣旨である」(石丸俊彦ほか『〔三訂版〕刑事訴訟の実務(上)』477頁・478頁(新日本法規出版、平成23年))とされている。
(2) このような付審判請求の制度の趣旨からは、検察官が行った罪のほか、警察官や特別司法警察職員※が行った罪についても、捜査機関としての「仲間意識から馴合的安易な不起訴処分に堕する」おそれはないか。そのようなおそれがあるのであれば、捜査機関関係者のうち検察官のみを対象とすることの合理性をどのように説明するか。
(3) また、御提案では、検察官は「特に順法精神が求められる」とされているが、警察官、特別司法警察職員、裁判官といった刑事司法関係者も「順法精神が求められる」と考えられるところ、検察官が行った犯罪のみを対象とすることの合理性をどのように説明するか。

※ 特別司法警察職員
① 刑事施設の長及び指名された職員(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第290条)
② 森林管理局署の職員で指名された者(司法警察職員等指定応急措置法第1条等)
③ 公有林野の事務を担当する北海道吏員で指名された者(司法警察職員等指定応急措置法第1条等)
④ 船長、職掌上上位の海員(司法警察職員等指定応急措置法第1条等)
⑤ 皇宮護衛官(警察法第69条第3項)
⑥ 鳥獣の保護若しくは管理又は狩猟の適正化に関する取締りの事務を担当する都道府県の職員で指名された者(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第76条)
⑦ 労働基準監督官(労働基準法第102条等)
⑧ 船員労務官(船員法第108条等)
⑨ 海上保安官・海上保安官補(海上保安庁法第31条)
⑩ 麻薬取締官・麻薬取締員(麻薬及び向精神薬取締法第54条第5項)
⑪ 鉱務監督官(鉱山保安法第49条)
⑫ 漁業監督官・漁業監督吏員で指名された者(漁業法第74条第5項)
⑬ 自衛隊の警務官・警務官補(自衛隊法第96条第1項等)

2 「認証官が行った罪」を対象とすることについて(第262条第1項改正関係)
(1) 認証官とされている官職は、現在、国務大臣、副大臣、内閣官房副長官、人事官、検査官、公正取引委員会委員長、原子力規制委員会委員長、宮内庁長官、侍従長、上皇侍従長、特命全権大使、特命全権公使、最高裁判所判事、高等裁判所長官、検事総長、次長検事及び検事長である。
これらの認証官は、「大臣、副大臣等各府省庁の組織を代表する職にある者、さらには最高裁判事のように司法関係の職にある者、それから公正取引委員会の委員長のように両議院の同意を得て任命される者、さらには宮内庁長官のように皇室関係の職にある者、そして大使、公使など日本政府の代表としての職にある者に大きく分類される」(第177回国会衆議院安全保障委員会(平成23年4月21日)松本防衛大臣政務官答弁)とされている。
憲法第7条第5号は、天皇の国事行為として、「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。」を規定している。この規定については、「天皇の認証はただその行為を荘重ならしめるために附加される形式的・儀礼的なものにすぎず」、「憲法は一定の重要な国家の行為の権威を高める必要があるとしてこの制度を設けた」(佐藤功『ポケット注釈全書 憲法(上)〔新版〕』91頁(有斐閣、昭和58年))とされている。
このような憲法の趣旨から、天皇の認証を必要とするかどうかを付審判請求の対象とするかどうかの基準とする合理的な理由があるといえるか。
(2) 御提案では、「要職の公務員は、特に順法精神が求められる」とされているが、全ての公務員は「順法精神が求められる」のであり、認証官であるがゆえに「特に順法精神が求められる」とする合理的な理由はあるのか。
(3) 公務員である検察官は「仲間意識」から一定の公務員に対して「馴合的安易な不起訴処分に堕する」ことも否定できないところ、公務員の中でも認証官が行った犯罪のみを対象とすることをどのように合理的に説明するか。
(4) 認証官ではない公務員※が行った罪は、御提案によれば、付審判請求の対象とはならないこととなる。例えば、国会議員、内閣総理大臣、最高裁判所長官は認証官ではないことから、これらの者が行った犯罪は付審判請求の対象とはならず、また、宮内庁長官、侍従長及び上皇侍従長といった皇室関係の職にある者が行った犯罪は付審判請求の対象となるのに対し、警察庁長官、警察庁次長、警視総監といった警察関係者が行った犯罪は、付審判請求の対象とならないこととなる。
しかし、このような結果は、「要職の公務員」の犯罪を対象とするというそもそもの政策の趣旨にそぐわず、また、「馴合的安易な不起訴処分に堕する」ことに対する是正としての付審判請求の制度の趣旨にそぐわないのではないか。そうすると、改めて、「要職にある公務員」の基準をどのように整理するかが問題となるのではないか。

※ 認証官ではない公務員の例
① 衆議院議長、参議院議長、国会議員、衆議院事務総長、参議院事務総長等の国会関係の職にある者
② 内閣総理大臣、内閣法制局長官、国家安全保障局長、内閣総理大臣補佐官、大臣政務官、事務次官等の行政府の組織を代表する職等にある者
③ 最高裁判所長官
④ 両議院の同意を得て任命される者の例
(イ) 国家行政組織法第3条等に基づく独立行政委員会の委員長及び委員
・ 公正取引委員会の委員
・ 国家公安委員会の委員
・ 個人情報保護委員会の委員長及び委員
・ カジノ管理委員会の委員長及び委員
・ 公害等調整委員会の委員長及び委員
・ 公安審査委員会の委員長及び委員
・ 中央労働委員会の公益委員
・ 運輸安全委員会の委員長及び委員
・ 原子力委規制委員会の委員
(ロ) 国家行政組織法第8条等に基づく審議会等の委員長及び委員の例
・ 食品安全委員会の委員
・ 原子力委員会の委員長及び委員
・ 衆議院議員選挙区画定審議会の委員
・ 証券取引等監視委員会の委員長及び委員
・ 地方財政審議会の委員
・ 情報公開・個人情報保護審査会の委員
・ 国地方係争処理委員会の委員
・ 電気通信紛争処理委員会の委員
・ 電波監理審議会の委員
・ 中央更生保護審査会の委員長及び委員
・ 労働保険審査会の委員
・ 中央社会保険医療協議会の公益を代表する委員
・ 社会保険審査会の委員長及び委員
・ 運輸審議会の委員
・ 土地鑑定委員会の委員
・ 公害健康被害補償不服審査会の委員

3 付審判請求の対象犯罪について(第262条第1項改正関係)
(1) 御提案では、検察官及び認証官による犯罪を「死刑、懲役、禁錮若しくは三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)を超える罰金に当たる罪」とされており、30万円以下の罰金に当たる刑法の罪※については、付審判請求の対象とならないこととなる。
しかし、「特に順法精神が求められる」検察官及び認証官である最高裁判所判事・高等裁判所長官がこれらの罪を犯しても付審判請求の対象とならないことの合理性をどのように説明するか。
(2) 付審判請求の対象となる罪について、「死刑、懲役、禁錮若しくは三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)を超える罰金に当たる罪」を対象とすることの合理性をどのように説明するか。
特に罰金について、刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪の場合は「30万を超える罰金」に当たる罪を対象とし、それ以外の法律の罪の場合は「2万円を超える罰金」に当たる罪を対象とすることの合理性をどのように説明するか。
刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については2万円を超える罰金に当たる罪を対象とすることについて、「当分の間」とすることの合理性をどのように説明するか。

※ 30万円以下の罰金に当たる刑法の罪
(騒乱)
第百六条 多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一・二 [略]
三 付和随行した者は、十万円以下の罰金に処する。
(多衆不解散)
第百七条 暴行又は脅迫をするため多衆が集合した場合において、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は三年以下の懲役又は禁錮に処し、その他の者は十万円以下の罰金に処する。
(過失建造物等浸害)
第百二十二条 過失により出水させて、第百十九条に規定する物を浸害した者又は第百二十条に規定する物を浸害し、よって公共の危険を生じさせた者は、二十万円以下の罰金に処する。
(過失往来危険)
第百二十九条 過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、三十万円以下の罰金に処する。
2 [略]
(富くじ発売等)
第百八十七条 [略]
2 [略]
3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
(変死者密葬)
第百九十二条 検視を経ないで変死者を葬った者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。
(過失傷害)
第二百九条 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

4 指定弁護士と検察事務官及び司法警察職員との関係に係る改正について(第268条第2項ただし書改正関係)
第268条第2項ただし書の規定の趣旨については、「捜査の指揮は人的つながりを要するので、特に本項但書が設けられている」(松本時夫ほか『条解 刑事訴訟法〔第4版増補版〕』542頁(弘文堂、平成28年))、「捜査の指揮については、その人的つながりが重要であるとともに、そのための特別の知識経験をも要する。その意味で、これだけは、本来捜査を指揮する地位にある検察官に権限を委ねたのである」(平場安治『注解 刑事訴訟法 中巻 全訂新版』382頁(青林書院新社、昭和57年))とされている。
このように、指定弁護士に検察事務官及び司法警察職員に対する直接の指揮権を与えていないのは、捜査機関の人的つながりを重視したものであることから、検察事務官及び司法警察職員との人的つながりを有しない指定弁護士に直接の指揮権を付与したとしても、必ずしも実効性のある指揮権の行使になるとは限らないのではないか。
指定弁護士による実効性のある指揮権の行使を可能とする制度を検討するためには、現行の制度で不十分な点は何か、どのような弊害が生じているか等の実態を調査し、その原因を分析した上で、どのような点について制度を改善すればよいかを検討する必要がある。

5 検察官の閲覧謄写権に係る改正について(第270条第1項ただし書関係)
刑事訴訟法第270条第1項は、付審判請求に関する規定ではないが、仮に御提案の改正をするならば、同項は、「裁判所が保管する訴訟に関する書類・証拠物について、検察官の閲覧謄写権を定めたもの」(伊藤栄樹ほか『新版注釈刑事訴訟法〔第三巻〕』591頁(立花書房、平成8年))とされているところ、検察官が被告人である事件の場合に、検察官が公訴の提起後に訴訟に関する書類及び証拠物の閲覧謄写をすることができなくなるということでよいか。

YouTube上に刑事訴訟法の講義動画がありました。今回の件と関連する内容であり、個人的に勉強になりました。

法律改正は、少数政党では難しいのが事実です。しかし、こういった社会問題に対処するための法改正や法案のアイデアを提示することは国会議員の仕事として重要であると考え、今後も様々な法案の検討をしていきたいと考えています。

ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売予定となりました。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。

書籍「立花孝志かく闘えり」の紹介です

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