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新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言で感染拡大防止のために休業協力した事業者に協力金を支給する法案を検討していますが苦戦中

日本国憲法にこのような条文があります。

第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

唯一の立法機関であるということは、国会にいる国会議員として立法というのは極めて大事な仕事であると言えます。国会議員には様々な背景をお持ちの方がいてバラエティに富んでいますが、誰しもが法律に詳しいわけではありません。そんな国会議員の立法を支える重要な機関として法制局があります。衆議院・参議院それぞれに法制局があり、私は参議院法制局に最近頻繁にお世話になっています。

と、前置きはここまでにして、本日は(も?)法制局の方にお世話になっています。本日はタイトル通り、

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言で感染拡大防止のために休業協力した事業者に協力金を支給する法案(新型インフルエンザ等特別措置法改正案)

について相談させてもらいました。こんな↓意見がありますし、少しでも改善できれば…。

ということで法制局に、法律案作成の目的を伝えたところ、立法に取り掛かるには、色々な点(分量がそれなりにあるので↓に掲載しています)をクリアにしていきたい、とのご質問をいただきました。この新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策としては、既に持続化給付金や雇用調整助成金など様々な援助があり、その中でこの法律を作る意味は?と問われるとなかなか返答に難しいのは確かですが、かといって補償が十分かというとそうではないわけで、真面目に休業協力した方が報われるようにしたいところで色々と悩むところです。

同じ会派を組んでいる渡辺喜美参議院議員に相談したところ、「細かいところにハマり込むと官僚ペースの、インパクトに欠ける対策になってしまいます。」とアドバイスいただきました。

各方面でもう少し意見を聞きつつ、考えてみようと思います。

参議院法制局からの意見は以下の通りです。

感染拡大防止協力金の法制化について

【総論】
○ 感染拡大防止協力金(以下「協力金」という。)の支給の目的は何か。

○ 協力金の支給については、予算措置でも対応できると考えられる(現に、政府は地方創生臨時交付金を協力金の財源として活用することを認める考えを明らかにしている。)ところ、法制化する理由は何か。

○ 協力金の支給に関する国と都道府県の役割分担についてどのように整理するのか。

○ 御提案は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)の本則に規定することとしているが、この場合、新型コロナウイルス感染症に限らず新型インフルエンザ等全般について、協力金という恒久的な制度を創設することになるが、それで構わないか。感染症の特徴等に応じて要請等の範囲・内容は異なってくる可能性があるところ、一律の仕組みとしてよいのか。
※ 新型コロナウィルス感染症については、暫定的に新型インフルエンザ等とみなすこととされている(特措法附則第1条の2第1項)。

【支給対象】
○ 特措法第45条第2項の施設の使用の停止・催物の開催の停止を対象にした趣旨は何か。現在、東京都等は、特措法第45条第2項に基づく要請は行っておらず、特措法第24条第9項に基づく要請と特措法によらない施設(1,000平方メートル以下)の使用停止の協力の依頼をしているが、それらについては対象としないのか。

※ 法律の根拠のない協力の依頼について、仮に対象とする場合には、どのように捉えることができるかについて、検討が必要である。

○ 特措法第45条第2項の要請に応じない場合には、特措法第45条第3項に基づく指示ができるが、これについても対象とするのか。

○ 東京都は、施設の使用の停止だけでなく、営業時間の短縮についても協力金を支給する方針であるが、そのような場合も対象にするか。また、特措法では、営業時間の短縮以外にも、様々な要請が可能であるが、そのような措置のうちに、ほかにも対象とするものがあるか。

○ 御提案では、企業規模等について限定はないが、東京都の場合は、支給対象を中小企業及び個人事業主に限定しており、そのような限定は必要ないか。仮に限定する場合、中小企業の具体的な範囲は何か。

○ 御提案では、施設の使用の停止又は催物の開催の停止をした者を対象としているが、東京都では、施設を運営している事業者のみを対象としているところであり、催物を開催する事業者についても対象とするのか。仮に対象とする場合、要件をどのように考えるか。

○ 要請に従った期間等も要件とするのか。現状では、東京都は少なくとも4月16日~5月6日の全期間要請に従った場合を対象としているが、期間の延長など様々な事情を見越して、どのような要件とするのが適当か。

【支給額】
○ 催物の開催の停止も対象とする場合、支給額はどのようにするのか。

○ 期間の延長や複数回の要請がなされた場合には、どのように対応するのか。

【支給の義務付けと国の負担等】
○ 都道府県知事に協力金の支給を義務付けることとした趣旨は何か。都道府県知事の判断によらずに協力金を支給させる必要があるという整理か。義務付けとする場合には、基本的には国が一定割合を負担することが前提となり、法律上の支給要件を明確化する必要が出てくる一方で、都道府県側の裁量を認めないという方向性になるがそれでよいか。
※ 逆に、できる規定とした場合には、協力金の支給については、都道府県の判断に委ねられ、国が奨励的にその財源の援助を行うといった方向性になると考えられる。

○ 「費用の〇割を国に請求できる。」とした趣旨は何か。また、特措法第69条との関係をどのように整理するのか。
※ 特措法第69条においては、国の費用負担の割合は、原則として二分の一としつつ、都道府県の標準税収入に占める費用の割合に応じて国がかさ上げ負担することとされている。

○ 協力金を支出した都道府県に対する国の支出については、「補助金」と構成するか、それとも「負担金」と構成するか。
※ 補助金とは、本来、地方公共団体が経費を賄うものについて、国が奨励的にその財源を援助するもののことをいう。
※ 負担金とは、国又は地方公共団体がそれぞれ地方公共団体又は国の事業に要する経費の一部又は全部を負担するために支出する金銭のことをいう。

○「国は、…遅滞なくこれを支払わなければならない」としているが、特段規定を設けなくとも、地方財政法上担保されていると考えられる。
※ 地方財政法第19条第1項においては、「国の支出金は、その支出金を財源とする経費の支出時期に遅れないように、これを支出しなければならない。」と規定されている。

【その他】
○ 休業要請期間の上限を国が定める理由は何か。

○ 法律は施行後の事象に適用するのが通常であるところ、施行前の一定の事象にも適用するのか。その場合、その対象をどのように捉えるのか。

○ 協力金の支給の手続きとしては、例えば、申請、次いで決定といったものが考えられるが、どのようなものを想定しているのか。

○ 施設管理者が要請に応じて施設の使用を停止しているかどうかについて、どのように監督することを想定しているのか。これについて、調査のための権限を規定する必要があるか。

○ 施設管理者等が、協力金の支給を受けた後、施設の使用を開始するなどした場合や不正受給の場合には、どのように対応することを想定しているのか。例えば、協力金の支給の停止や返還などといった対応をすることが考えられるのではないか。

※ 予算を伴う法律案となると考えられ、20人以上の賛成者を要する。

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コメント

  1. あや より:

    浜田先生、こんにちは。

    ブログに初めてコメントします。

    今回の法制局とのやり取りをみて、アイデアによっては様々な事例に対して
    細かく設定しなければいけない法律になってしまうのだな、と思いました。

    よしみ先生、さすがなアドバイスですね。

    私は渡瀬裕哉先生のフォロワーで、先生の主張をずっと拝読しているうちに
    小さい政府、という概念がだんだん沁みてきています。
    釈迦に説法ですが、自分の生き方に政府を介入させない、という考え方です。

    そして、現在の緊急自粛要請は、特に中小企業に私刑を求め、政府としては「要請」として責任を負わず、自主性に任せるとしながらも社会全体では同調圧力をかける、という状況に強く疑問を投げかけておられます。

    確かに、一時的に協力金は必要だと思うし、法律化することに異議は感じないのですが、
    なにかこう、すっきりしないのです。なぜなのだろう。。。。

    このような協力金が出ると、休業要請(命令ではない?)という曖昧な宣言を政府が出しやすくなり、増税を容認する言い訳になってしまうことは無いのだろうか?
    という懸念…だと思い至りました。

    協力金を出す、出さない以前に、感染予防のための自粛要請の規模や期間、免疫対策と、経済的損失を最低限に抑えるための自粛緩和策、という相反する対策のバランスをとる判断基準を、政府でどのように考えているのか、ということが心にあります。
    その対策いかんによって、「協力金」の在り方も変わってくるのかなと思います。

    協力金、も減税策で代われる部分もあるのかな。。。

    にわか勉強で言いたいこと言いました。

    今日、百田さんが浜田先生が立法されたことをツイートされて、
    渡瀬先生も、減税派が飛び火していい傾向、と言われて。
    浜田先生、たった一人の立法がこんなに波紋を広げていてスゴイです!

    今後もご活躍を楽しみにしています!
    長文失礼いたしました。