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特定商取引法の改正案に要注意?

今回の記事では、特定商取引法を取り上げます。

特定商取引法とは、訪問販売や通信販売など消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象にして、消費者保護のために事業者に様々なルールを課している法律と承知しています。

で、その特定商取引法の対象となる取引類型は以下の通りです。

特定商取引法とは(特定商取引法ガイド)

※ちなみにNHK訪問員による業務は、特定商取引法の対象とはなっていないようです。

これらの取引において、特定商取引法では以下のような規制を定めています。そしてその規制に違反した際には行政処分や罰則の対象となります。

特定商取引法とは(特定商取引法ガイド)

・氏名等の明示の義務付け
特定商取引法は、事業者に対して、勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けています。

・不当な勧誘行為の禁止
特定商取引法は、価格・支払い条件等についての不実告知(虚偽の説明)又は故意に告知しないことを禁止したり、消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。

・広告規制
特定商取引法は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。

・書面交付義務
特定商取引法は、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けています。

また、特定商取引法は、消費者と事業者との間のトラブルを防止し、トラブルが生じた際にはその消費者の救済を容易にするため、次のようなルールを定めています。

特定商取引法とは(特定商取引法ガイド)

・クーリング・オフ
特定商取引法は、「クーリング・オフ」を認めています。クーリング・オフとは、申込みまたは契約の後に、法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間(※)内に、無条件で解約することです。(※)訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。

・意思表示の取消し
特定商取引法は、事業者が不実告知や故意の不告知を行った結果、消費者が誤認し、契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときには、消費者は、その意思表示を取り消すことを認めています。

・損害賠償等の額の制限
特定商取引法は、消費者が中途解約する際等、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設定しています。

さて、近日召集される通常国会において、この特定商取引法の改正案の提出が検討されているようです。改正対象として、上で紹介した特定商取引法の規制「書面交付義務」の部分が公表されています。

契約書面等の電子化について 令和3年1月14日 消費者庁

特定商取引法及び預託法では、契約の申込み時の申込書面又は概要書面及び契約締結時の契約書面について、事業者に「書面」による交付を義務付けている。

⇒ 消費者の保護を損なわないようにするとともに、他法令の例も参照し、特定継続的役務提供に加え、訪問販売等の特定商取引法の各取引類型(通信販売を除く。)及び預託法において、消費者の承諾を得た場合に限り、電磁的方法により交付することを可能にする。

⇒ 次期通常国会に提出予定の特定商取引法及び預託法の改正法案で改正を行う予定である。

特定商取引法の対象となる各取引類型においては、契約に関係する書面を交付する義務があるのですが、その書面を電子化することを可能とするようです。※通信販売除く

この改正案に対して、各方面(消費者団体や弁護士会など)から反対意見が出ています。

特定商取引法上の書面交付の拙速な電子化に反対し、オンライン取引特有のトラブル予防のための規制強化の検討を求めます!(2020(令和2年)12月23日 全国消費者行政ウォッチねっと)

特定商取引法の契約における書面交付の電子化についての意見(2020年12月25日 一般社団法人 全国消費者団体連絡会)

特定商取引法における書面交付のオンライン化を可能とする改正に反対します(2021年1月5日 公益社団法人 全国消費生活相談員協会 理事長 増田 悦子)

オンライン取引における特商法の書面交付義務の拙速な電子化に反対する声明(2021年(令和3年)1月12日 長崎県弁護士会 会長 中西祥之)

立法府にいる者として、反対意見がたくさん出つつある特定商取引法の改正案の賛否について慎重に決定しようと思います。

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