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金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書 ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年6月11日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は、以前金融機関に勤めておられた方で、勤務時に金融庁に公益通報をしたところ、結局勤務先をやめざるを得なくなった方からいただいたご意見をもとにした質問です。今回紹介する質問主意書の提出日の同日にこのような↓質問主意書を提出しております。

質問主意書に類似した内容の動画がこちら↓。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書

 金融庁や証券取引等監視委員会などの行政機関は、公益通報者保護法及び公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)(平成二十九年三月二十一日一部改正)等に基づいて公益通報の手続きを進める。しかし、実際には、当該ガイドラインや規則等に則った運営を行っておらず公益通報者が著しい不利益を被っているとの指摘が私のもとに寄せられた。

証券取引等監視委員会が公益通報として受理した「証監委第四二五三号」(甲一)の「ファンドの運用における日本生命への不当な利益提供、発注伝票への法令で定められた記載事項の不記載、発注ミスにより顧客に損失を与えたことに対する不適切な対応」について、証券取引等監視委員会は公益通報者に対して調査結果を通知していない。

前述のガイドラインの「三.通報への対応」中、「(二)調査の実施」の④において、「適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、調査中は、調査の進捗状況について、通報者に対し、適宜通知するとともに、調査結果は可及的速やかに取りまとめ、その結果を、遅滞なく通知する」と定められている。

しかし、証券取引等監視委員会は、公益通報者に対して「調査が終了した」旨の通知のみで、調査結果を通知することなく証監委第四二五三号の公益通報案件を終わらせた。その後、公益通報者が金融庁に対して別件を公益通報した際に、保有個人情報の開示請求をしたことにより開示された資料に、「過去に伝票未作成の事例があったことも踏まえると、通報内容には真実相当性があると考えられる」との記載があった。

以上を踏まえて、以下質問する。

一 行政機関は、公益通報を受理した場合、公益通報者に対して「調査結果は可及的速やかに取りまとめ、その結果を、遅滞なく通知」しなければならないにもかかわらず、実際には、調査結果の通知が行われていない。証券取引等監視委員会は「当該調査が終了いたしましたので、お知らせいたします」という調査終了の通知をもって、公益通報の対応を終わらせている。公益通報事案に関しては、公益通報者からの具体的な法令違反等の証拠資料を基に、行政機関が公益通報として受理し、調査を行うものである。そのため金融庁及び証券取引等監視委員会が公益通報者に、公益通報事実の有無等の結果通知をすることにより、被公益通報者の適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障があるとは考えられない。その一方で、公益通報者は公益通報した事実及び個人名等が企業に開示及び推認される状況に置かれているならば、公益通報したことを理由に解雇や不利益取扱いを受けないためにも、行政機関は公益通報の調査結果及び是正措置の内容を公益通報者に通知するべきであり、通知をしないことは、行政が公益通報者を見捨てることと同義であり、公益通報者保護に反するのではないかと考えるが、政府の見解を伺いたい。

一について
「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)に基づき御質問を受けているが、「ファンドの運用における日本生命への不当な利益提供、発注伝票への法令で定められた記載事項の不記載、発注ミスにより顧客に損失を与えたことに対する不適切な対応」との御指摘を踏まえると、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)に基づきお答えすべきものと考えられることから、以下、これを前提としてお答えすることとする。

 金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において公益通報を受理した場合には、必要な調査を行い、検査及び監督の適切かつ効果的な実施、適切な法執行の確保のほか、金融機関等利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、調査終了後、その結果を、遅滞なく通知することとしており、「公益通報者保護に反する」との御指摘は当たらないと考えている。

二 実際に金融庁及び証券取引等監視委員会に公益通報したことを理由に公益通報者が解雇されるという事案が発生しており、どのような場合に、公益通報者に調査結果及び是正措置の内容を通知するのか。また、具体的にどのような場合に、調査結果の通知や是正措置の内容の通知が、「適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある」と判断するのか。そもそも、公益通報者が法令違反等に関する具体的な証拠資料を金融庁及び証券取引等監視委員会に提出している状況では、調査により、その事実の確認が取れた場合は、最初から公益通報者が具体的な不正の内容を認識している以上、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がないのではないかと考えるが、政府の見解を伺いたい。

二について
具体的にどのような場合に調査結果及び是正措置の内容を通知するかについては、個別の事案ごとに判断するものであり、一概にお答えすることは困難である。

三 実際に金融庁及び証券取引等監視委員会に公益通報したことを理由に公益通報者が解雇されるという事案が発生しており、被公益通報者により、公益通報者が、「虚偽の公益通報を行った」として解雇された場合に、公益通報者は裁判において公益通報内容の真実相当性を争わなければならない。金融庁及び証券取引等監視委員会が公益通報者に対して、調査結果及び是正措置の内容を通知せずに、被公益通報者が「金融庁及び証券取引等監視委員会からの指摘事項はない」旨を強弁した場合、公益通報者が公益通報の真実相当性を証明することは困難である。その状況においても、金融庁及び証券取引等監視委員会が公益通報の調査結果及び是正措置の内容を公益通報者に通知しないのは、公益通報者を見捨てることと同義であり、公益通報者に著しい不利益を与えるのではないか。公益通報者に解雇若しくは不利益取扱いが行われた場合に、調査結果及び是正措置の内容を開示するように対応するか。政府の見解を伺いたい。

三について
公益通報者が事業者から解雇その他の不利益な取扱いを受けた場合には、当該公益通報者が労働審判手続を申し立て、最終的には訴えを提起し、裁判所で解決を図っていくこととなるが、そうした手続の中で必要があれば適切に対応することとなる。

四 金融庁及び証券取引等監視委員会において、それぞれ、二〇一八年四月から二〇二一年三月までの間に年間何件の公益通報があり、何件を公益通報として受理し、そのうち、何件を結果通知及び是正措置の内容を公益通報者に通知せず、調査が終了したという通知のみを行ったか、何件を結果通知及び是正措置の内容を公益通報者に通知したのか示されたい。

また、結果及び是正措置の内容を公益通報に通知しなかった場合と通知した場合の被公益通報企業の従業員数等の事業規模、株式上場の有無、国家公務員の再就職の件数を示されたい。

四について
前段のお尋ねについては、平成三十年四月から平成三十一年三月までの公益通報件数は四百十九件、受理件数は十三件、平成三十一年四月から令和二年三月までの公益通報件数は四百三十四件、受理件数は十五件、令和二年四月から令和三年三月までの公益通報件数は三百四十二件、受理件数は六件である。

 受理した三十四件のうち、二十五件については、金融庁等における検査及び監督の適切かつ効果的な実施、適切な法執行の確保のほか、金融機関等利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障があると認められることから、調査結果や是正措置の内容は公益通報者に通知せず、調査が終了したという通知のみを行っている。一件については、是正措置の内容を公益通報者に通知している。また、八件については、調査中である。

 後段のお尋ねについては、調査に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

五 金融庁及び証券取引等監視委員会における公益通報に関する保有個人情報の開示請求とは、開示請求者に関する情報のみを開示するという理解で良いか。開示請求者と関係なく被公益通報者において、過去に行われた法令違反の事実が開示されることはあるのか。また、開示請求において不開示とする場合に「監査・検査方法が漏洩するおそれがある」とあるが、大手金融機関の関係先弁護士が調査に関与している時点で、調査方法等が大手金融機関側に漏洩するリスクがあるのではないか。何故国民には不開示としておきながら大手金融機関には漏洩する可能性のある体制をとっているのか。政府の見解を伺いたい。

五について
御指摘の「金融庁及び証券取引等監視委員会における公益通報に関する保有個人情報の開示請求」とは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第十二条の規定に基づく開示請求であると理解すると、金融庁等の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る保有個人情報について、同法第十四条各号に掲げる不開示情報のいずれかが含まれている場合を除き、法律にのっとって開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示することになっている。

 また、金融庁等において弁護士資格を持つ者を職員として採用するに当たっては、人事院規則八―一二(職員の任免)等の関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用していることから、「大手金融機関の関係先弁護士が調査に関与している」との御指摘は当たらない。

 なお、一般論として申し上げれば、通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等によって確認を行っているほか、国家公務員には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条の規定により、退職後も含めて職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されている。

六 金融庁及び証券取引等監視委員会は、金融機関で行われた法令違反について調査結果の如何によっては、検察へ刑事告発することもある。刑事罰のある重大な法令違反に関する公益通報を受理していたにもかかわらず、行政運営上の遅延、不適切、怠慢、不注意、能力不足などの不適正行政によって公訴時効を迎え、行政及び国民が刑事告発又は告訴をする権利が侵害されることがないよう、どのような対応を取っているか。また、公益通報者から具体的な法令違反の証拠資料を受領していたにもかかわらず、公益通報を受理した事案について公訴時効を迎えた場合は、金融庁及び証券取引等監視委員会の行政運営上の遅延、不適切、怠慢、不注意、能力不足などの不適正行政に該当するか。政府の見解を伺いたい。

六について
お尋ねについては、その趣旨が必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」に基づき、各行政機関において通報を受理した後は、必要な調査を行うとともに、調査の結果、法令違反等の事実があると認めるときは、速やかに、法令に基づく措置等を行うこととなっている。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

金融庁が実際のところどうなっているのかは分かりません。しかし金融庁自身がしっかりやっている、と主張する場合、検証をしていくのはかなり難しいような気がします。とは言え、相談者の声は可能な範囲で政府側には伝えていこうと思っています。

相談者の方はYouTubeに他にいくつも動画をアップされています。私は参議院行政監視委員会所属であり、この動画の内容についてはおっしゃる通りだと思います。

とにかく、相談者の方からは、今回の質問主意書の内容を踏まえた上で再度質問主意書を作ってもらうこととしました。様々な方にとって良い形で落ち着くことを願っています。

ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売予定となりました。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。

書籍「立花孝志かく闘えり」の紹介です

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