スポンサーリンク

ワクチン大規模接種の延長によってグランキューブ大阪の利用承認処分を撤回された者が、生じた損失の補償を求めること等に関する質問主意書 ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年10月5日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は、大阪府の大規模ワクチン接種会場となったグランキューブ大阪と、その会場で予定されていたコンサートなどの中止に関する質問です。

中止となった事例のツイートをいくつか紹介します。

今回の件について、問題意識をお持ちのNHK党関係者の方から今回の質問主意書のご提案をいただき、提出する次第となりました。

政府は自衛隊による大規模接種会場を11月30日まで延長しましたが、会場であるグランキューブ大阪はコンサート会場としても人気であり、政府の延長によってコンサート開催をあきらめた者がいました。
グランキューブ大阪は大阪府の行政財産ですから、公益上の理由が生じたときはその利用許可処分を合法的に撤回できますが、
・法的根拠があるからといってむやみやたらに撤回すべきではなくあらかじめ利用者の了承を得ておくことが望ましいのではないか
・撤回に伴う損害賠償は誰が行うのか
・3度目のワクチン接種会場もグランキューブ大阪を使うのか、もし使う場合はまた同じ問題が起こるのではないか
等を問うています。

とのことです。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

ワクチン大規模接種の延長によってグランキューブ大阪の利用承認処分を撤回された者が、生じた損失の補償を求めること等に関する質問主意書

 令和三年九月二日、防衛省は同年九月二十五日頃までとしていた大阪府の自衛隊大規模接種センター(以下「大阪会場」という。)の運営期間を同年十一月三十日まで(以下「本件延長期間」という。)とすることとした(以下「本件政府決定」という。)。これを受け、グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場条例(平成十一年三月十九日大阪府条例第三号。以下「本件条例」という。)第一条に規定する大阪府立国際会議場をいう。以下「本件会議場」という。)の本件指定管理者(本件条例第四条に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)は同年九月十日、会議場全館利用不能な旨を本件使用権者ら(本件条例第三条に規定する利用の承認を、本件延長期間中の日時と重なる日時において受けたものをいう。以下同じ。)に通知した(以下、この通知の後、本件指定管理者が本件使用権者らに対し、本件会議場の使用許可を撤回したことを「本件撤回」という。)。一方、本件会議場の一部の利用者はホームページ上で「六月十九日(土)、二十日(日)に開催予定でしたが、突如会場がワクチン接種会場になるという報道を受けて延期となりました。この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした。九月二日(木)にワクチン接種会場としての利用が再延長となり十一月末日まで継続される旨が会場側のホームページ上で発表されました。主催者・アーティスト側に事前の報告もないまま発表されたことは杜撰な対応且つ、誠に遺憾であり、我々も非常に困惑しております」と発表し(以下、この発表をした者を「本件使用権者」という。)、同年十一月二十日から同月二十一日に開催予定の催事の中止を発表した。

右を踏まえて、以下質問する。

一 現時点で、使用権者らのうち、実際に大阪府に対し、本件撤回によって生じた損失につきその補償を求めた者はいるか。

一について
お尋ねは、大阪府及び利用者(大阪府立国際会議場条例(平成十一年大阪府条例第三号)第二条第一項の規定により利用の承認を受けた者をいう。以下同じ。)に関する事項であり、政府としてお答えする立場にない。

二 昭和四十九年二月五日最高裁判所第三小法廷判決や昭和四十四年三月二十七日東京高裁判決中最高裁判決によって取り消されなかった部分を踏まえると、大阪府は、本件撤回の対象となった本件使用権者らに対して、本件会議場の利用料のみならず、もし本件撤回がなければ得られるはずであった利益を喪失したという消極的損害をも賠償する立場にあると考えるが、政府の見解如何。

二について
お尋ねは、大阪府の事務に関する事項であり、政府としてお答えする立場にない。

三 政府が交付した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」は、地方自治体が新型コロナウイルス感染症対策に係る公用若しくは公共用に供するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十八条の四第九項の規定に従い、行政財産の使用権を撤回した場合における、使用権者が求める求償に充当することができるか。

三について
お尋ねに関しては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を事業者等への損失補償に充当することはできないこととしている。

四 本件政府決定自体は、行政処分か。行政処分である場合、処分の相手方は誰か。

四について
お尋ねに関し、御指摘の「本件政府決定」については、防衛省において、令和三年九月二日に開催された第十三回大規模接種対策本部会議において、御指摘の「大阪会場」の運営期間を同年十一月三十日まで延長することを決定し、これを踏まえ、同年九月二日、防衛省における文書の形式に関する訓令(昭和三十八年防衛庁訓令第三十八号)第九条の規定により、自衛隊の部隊及び機関に対する任務付与等に関する事項に関して発する命令として、防衛大臣が「大阪府を中心とする地域を対象とした新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種に関する自衛隊一般命令の一部を変更する自衛隊一般命令」を発出したものである。

五 本件延期期間中の大阪会場の選定について

1 本件使用権者は「この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした」と述べているが、政府・大阪府・本件指定管理者は本件使用権者に対し、本件政府決定以前に、本件延長期間中に本件会議場が利用可能である旨を伝えたか。

2 本件使用権者は「主催者・アーティスト側に事前の報告もないまま発表されたことは杜撰な対応且つ、誠に遺憾」と述べているが、本件使用権者らに対し、政府・大阪府・指定管理者は令和三年九月二日以前に本件政府決定を行う旨を連絡したか。

なお、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第四十六条は「地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とし、これを受け、大阪府行政手続条例(平成七年三月十七日大阪府条例第二号)第十三条第一項第一号イは、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、聴聞をしなければならないと定められている。

五の1及び2について
お尋ねの内容について、政府から利用者に対して伝えた事実はなく、大阪府及び指定管理者(大阪府立国際会議場条例第四条第一項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)が利用者に対して伝えたかどうかについては、政府としてお答えする立場にない。

3 法的根拠があるからといって、被処分者に非がない受益的行政処分の撤回はむやみやたらに行うべきではなく、まして本件使用権者は「この十一月二十日(土)、二十一日(日)は会場側から提案を頂いた日程でした」と述べているのであるから、その信用を裏切ることは信義則にも反する。政府・大阪府は本件延長期間の大阪会場について、本件会議場以外の場所に設置することを検討したか。また、政府・大阪府・指定管理者は本件政府決定や本件撤回に際し、事前に本件使用権者らの合意を得ることが望ましいと考えるが、政府の見解如何。

五の3について
政府として、御指摘の「大阪会場」を大阪府立国際会議場以外の場所に設置することは検討していない。
その他のお尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。

4 本件使用権者らに対し、本件会議場の使用許可処分を撤回できるのは、大阪府及び本件指定管理者のみであり、政府ではない。政府は、なぜ本件撤回が行われる前に、本件決定を公表したのか。本件会議場の使用権が誰に存在するかという法的安定性の観点からすれば、政府は、本件撤回を待ってから本件政府決定を公表すべきではなかったかと考えるが、政府の見解如何。

五の4について
御指摘の「本件政府決定」については、「十月から十一月のできるだけ早い時期にワクチン接種を希望する全ての方への二回の接種の完了を目指す」という目標を達成するため、広く国民に周知する必要があったことから、公表したものである。
また、御指摘の「本件撤回」に関する御質問については、指定管理者及び利用者に関する事項であり、政府としてお答えする立場にない。

六 三回目のワクチン接種の際の大阪会場の在り方について

1 厚生労働省は第八回新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会において、自治体に追加接種の体制確保を依頼した。政府は追加接種の際、大阪会場の設置を検討しているか。

六の1及び3について
現時点において、政府として、御指摘の「大阪会場」の設置は、検討していない。

2 政府は令和三年十二月一日以降に、本件会場の使用許可処分を受けた者が存在することを把握しているか。

六の2について
利用者の状況について、政府としてお答えする立場にない。

3 本件会議場は、本来は「府民に開かれた国際交流の拠点として、学術、芸術及び産業の振興に資する集会及び催物の場を提供し、もって大阪の文化及び経済の発展に寄与するため」(本件条例第一条)に設置されている。前記五の1が真の場合、政府は大阪会場について、追加接種においては本件会議場以外の場所に設置することを含めて検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

六の1で回答済み。

七 確かに、本件決定によって、大阪府をはじめとする近隣自治体のワクチン接種は急速に進んだ。このこともあってか、大阪府下における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数、重症病棟使用率は劇的に改善した。これによって大阪府は、新型コロナウイルス感染症の流行が収まらなかった場合における対策費用を支払わずに済んだという点においては、本件政府決定の受益者とみなすこともできるであろう。しかしながら、大阪府は、政府の施策であるワクチン接種の普及というミッションを、政府単独では関西地方においてこれを行うに適した施設を確保できないことに対して、本件使用権者らに対する本件会議場の使用許可処分を撤回するという苦渋の決断をしてまで、政府を助けた立場でもある。政府の施策を、政府の方針に従って協力した大阪府に対し、法の立て付けがそうなっているからという一事をもって、本件使用権者らが、本件撤回に対して行う求償を、知らぬ存ぜぬで押し通すというのは、あまりにも冷たい。

政府は、本件使用権者らが大阪府に対して行う求償について、その一部または全部に対し、適当な財政的措置を行うべきではないか。政府の見解如何。

七について
お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

コンサート関係者の方、日本政府や大阪府の関係者の方々のご協力の下でワクチン接種が進み、国内での新型コロナウイルス感染症患者拡大抑制につながっていることを感謝します。

以下、参考となるリンクなどを紹介しておきます。

防衛省(R3/9/2) 第13回大規模接種対策本部会議について
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2021/09/02c.pdf

大阪府立国際会議場(R3/9/10)「大規模接種センター」設置期間再延長について
https://www.gco.co.jp/wp/wp-content/uploads/4480632c0bf765c50049773db431f162.pdf

大阪府立国際会議場条例
https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00000611.html
(利用料金)
第十一条 知事は、指定管理者に会議場の利用に係る料金(以下「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。
6 指定管理者が既に収受した利用料金は、還付することができない。ただし、指定管理者は、知事が定める基準に従い、利用料金の全部又は一部を還付することができる。

大阪府立国際会議場条例施行規則
https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00000612.html
第十条 条例第十一条第六項ただし書の知事が定める基準は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額を還付することができることとする。
一 天災その他やむを得ない理由により会議場を利用することができない場合で指定管理者が適当と認めるとき 条例第十一条第一項に規定する利用料金(以下「利用料金」という。)に相当する額

第八回新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21217.html
P4 「2回目接種を終了した者のうち、概ね8か月以上経過した者を対象に、1回追加接種を行う。」
P6 「市町村は、住所地(医療従事者等は勤務先も可)で追加接種をできるように、接種体制を確保する。」
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000834746.pdf

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00012.html
パワポP47「追加接種の必要がある」
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000833964.pdf

地方自治法
第二百三十八条の五 普通財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができる。
2~3 略
4 普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国、地方公共団体その他公共団体において公用又は公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
5 前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。
※グランキューブ大阪は普通財産ではなく行政財産ですが、そうであっても「 前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる」規定が類推適用されます(昭和四十九年二月五日最高裁第三小法廷判決)。

ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売予定となりました。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。

書籍「立花孝志かく闘えり」の紹介です

↓もしよろしければ応援クリックお願いします。
人気ブログランキング

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク