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金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問主意書(その2) ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年10月8日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は、以前ご相談いただいた方からのご依頼による質問です。

今年の第204回通常国会で提出した質問主意書↓の続きとなる質問です。

再質問となるので、質問主意書のタイトルを「金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問主意書」としたかったのですが、再質問主意書というのは、同一国会の中での再質問でないといけないとのことでした。この質問主意書は第205回の臨時国会での提出でしたので、「~に関する再質問主意書」とはせず、前回と同様のタイトルとしました。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問主意書

 第二百四回国会に提出した「金融庁法令等遵守調査室のメンバーの選出・任命に関する質問主意書」(第二百四回国会質問第一〇三号)に対する答弁(内閣参質二〇四第一〇三号。以下「前回答弁」という。)の内容を受け、改めて以下のとおり質問する。

一 前回答弁の一についてに関し、「行政指導等が開示されている事件」とは金融庁が公表している「行政処分事例集」及び証券取引等監視委員会がWEBページ等で報道発表している金融機関への勧告等である。以上を踏まえ、二〇一〇年度から二〇二一年度までの「行政指導等が開示されている事件」について、金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において、弁護士が関与したものについては関与した弁護士名、その前職(出向元)事務所名及び利益相反関係の有無について示されたい。

一について
お尋ねの弁護士の個人名等については、個人に関する情報であることから、お答えすることは差し控えたい。

二 前回答弁の一についてに関し、「法令違反行為を行った者と親族であった等」が「利益相反関係」、「自らが関係する通報事案」に該当するとの答弁だが、親族とは具体的に何親等までを想定しているのか。

また、「ファンドの運用における日本生命への不当な利益提供、発注伝票への法令で定められた記載事項の不記載、発注ミスにより顧客に損失を与えたことに対する不適切な対応(証監委第四二五三号)」の公益通報において、金融庁等は公益通報者に対して法令違反行為・通報対象事実行為を行った個人を完全に特定できる情報をヒアリングしておらず、公益通報者も個人のフルネームや会社部門内の管理職や全ての関係者の氏名は開示していない。このような状況においてどのようにして金融庁等の職員が法令違反行為を行った者と親族であるかを確認したのか。また、法令違反行為等を直接行った者ではなく、その部門の責任者の親族であれば、「利益相反関係」、「自らが関係する通報事案」に該当しないという理解で良いか。政府の見解を問う。

二について
利益相反関係等の確認については、公益通報を受理するかを検討する段階において、通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等の確認を通じて、個別の事案ごとに金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において確認を行っているところ、お尋ねの「親族」の範囲についても、個別の事案ごとに異なることから一概にお答えすることは困難である。その上で、個別の事案である本件に関する対応について具体的にお答えすることは、今後の金融庁等の業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあること等から、お答えすることは差し控えたい。

三 前回答弁の二についてに関し、関係法令にのっとり、広く募集を行い任期付職員として採用している旨の答弁だが、弁護士資格を持つ任期付職員の前職の法律事務所等の弁護士紹介のWEBページ等において、「金融庁に出向」と明記されている職員がいる。弁護士資格を持つ任期付職員が任期を終えた際に前職の法律事務所等に再就職することが約束されているのであれば、任期付職員といえども実質的な「大手金融機関の取締役及び監査役等を務める弁護士の事務所」からの出向及び重大な利益相反ではないか。政府の見解を問う。

三について
御指摘の「弁護士資格を持つ任期付職員の前職の法律事務所等の弁護士紹介のWEBページ等において、「金融庁に出向」と明記されている職員がいる。」との点については、現時点で金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員について、「金融庁に出向」と弁護士事務所のウェブサイトで表記されている職員はいないと認識している。
また、お尋ねの「弁護士資格を持つ任期付職員が任期を終えた際に前職の法律事務所等に再就職することが約束されているのであれば、任期付職員といえども実質的な「大手金融機関の取締役及び監査役等を務める弁護士の事務所」からの出向及び重大な利益相反ではないか。」については、金融庁等においては、弁護士資格を持つ者を任期付職員として採用する際は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、「実質的な「大手金融機関の取締役及び監査役等を務める弁護士の事務所」からの出向及び重大な利益相反ではないか。」という御指摘は当たらないものと考えている。

四 前回答弁の四についてに関し、金融庁等において、弁護士資格を持つ任期付職員が、客観的事実として、大手金融機関の取締役や監査役、顧問弁護士等を務める人物の法律事務所から採用されており、法律事務所のWEBページには出向と記載されている。情報漏洩、忖度、利益相反、その他を防止する観点からすれば、金融庁が採用した弁護士資格を持つ任期付職員の前職の法律事務所(実質的出向元)と公益通報の調査対象先金融機関の間に、人材(取締役や監査役を務める等)、資金(融資等)、取引関係等があった場合には、前職といえども再就職が予定されている以上、実質的な利益相反関係にあるといえる。このような実質的な利益相反を防止するために、金融庁は、弁護士資格を持つ任期付職員の前職(出向元、再就職予定先)と金融機関の関係について調査を行ったか。調査を行ったのであれば何を把握したのか。また、利益相反防止のために、弁護士資格を持つ任期付職員の前職に対して、任意で関係先・取引先金融機関名を開示させる、又は、金融機関に対して関係先・取引先弁護士事務所等の開示を求める等を行う必要があるのではないか。政府の見解を問う。

四について
お尋ねの「弁護士資格を持つ任期付職員の前職(出向元、再就職予定先)と金融機関の関係について調査を行ったか。」については、採用時にはそのような調査は行っていない。
また、「弁護士資格を持つ任期付職員の前職に対して、任意で関係先・取引先金融機関名を開示させる、又は、金融機関に対して関係先・取引先弁護士事務所等の開示を求める等を行う必要があるのではないか。」との御指摘については、金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、また、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条の規定により、職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されている。

五 前回答弁の五についてに関し、議事録等を作成していないとのことだが、審査内容や公益通報者との連絡において誤りがあった場合に、どのようにして誤りを確認するのか。金融庁はこれまで、公益通報者からの公益通報を情報提供にすり替え、審査を怠ったことや、書面の受渡し手続の不備等、故意過失を問わず、様々なミス、不適切行政を行ってきた。詳細な記録を残していないのであれば、金融庁等において重大な問題行為が行われていた場合に、どのようにそれを調査・確認するのか。政府の見解を問う。

また、金融庁等が「公益通報進捗状況表」に「結論」の記載を始めたのは、公益通報者から、金融庁等が議事録等の正確な記録の作成を行っていないことの指摘を受けた後のことである。金融庁等が「公益通報進捗状況表に結論」を記載し始める以前は、どのように、審査・公益通報者との連絡内容等を記録していたのか。

五について
金融庁等においては、関係部局又は通報者に連絡を取り、通報の内容となる事実等をできる限り正確に把握した上で、御指摘の「公益通報進捗状況表」等に通報者等と連絡を取った日や「結論」等を記載しているところ、御指摘のような場合を含め、対応に問題があると考えられる場合には、「公益通報進捗状況表」等によって確認を行うこととしている。
また、金融庁等が「公益通報進捗状況表」に「結論」を記載し始める前においても、「公益通報進捗状況表」等には進行管理の状況や、通報者等と連絡を取った日等を記録していたところである。

六 前回答弁の六についてに関し、「令和三年九月金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」において、「(七)証券化商品の販売に係る留意事項(証券化商品の追跡可能性(トレーサビリティ)の確保)」との記載があり、トレーサビリティの意味が「追跡可能性」であること及びその使い方(公益通報の各段階において関与した職員の全ての名前を記録するなどし、問題発生時及び重大な利益相反関係が明らかになった場合に、何処で、誰が、どのような対応・関与し、いつ問題が発生したのか等を追跡可能な状態にすること)を理解しているはずである。このような答弁は実質的な答弁拒否と考えられるが、政府の見解を問う。

六について
先の質問主意書(令和三年六月十一日提出質問第一〇三号)の六で示されていた「トレーサビリティ」については、その意味するところが明らかではなかったため、お答えすることは困難であるとしたところであり、「実質的な答弁拒否と考えられる」との御指摘は当たらないものと考えている。

七 前回答弁の七についてに関し、「国家公務員には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条の規定により、退職後も含めて職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されて」いるとのことだが、金融庁等の任期付職員の前職の法律事務所である森・濱田松本法律事務所の「行政争訟」のWEBページには「当事務所は、各種行政機関に出向した経験のある弁護士や各種審査会・審議会の委員なども多数在籍しており、これらの行政争訟手続に精通した弁護士が各分野の専門弁護士と連携しながら、行政側、事業者側それぞれの立場からアドバイス及び法的手続の代理を行っています」との記載がある。この記載は明らかに、行政機関(金融庁等)に出向した弁護士が事務所内に多数いることを売りにしており、出向期間中に知り得た情報等により、金融庁等の行政手続を理解しているために、自身の法律事務所であれば、行政に上手く対応できることを暗に示しているものと考えられる。すなわち、金融庁等に出向した弁護士(任期付職員)が、その職務において知り得た情報を業務に用いる・漏洩する可能性が暗に示されている。若しくは、実際に公務員の守秘義務が守られた場合においても一般顧客・国民に対して、公務員の守秘義務が守られないことにより、依頼主に利益があるとの誤認を与える記載である。このような金融庁等の行政機関に出向経験がある弁護士が在籍しているといううたい文句は他の法律事務所においても散見される。すなわち、大手法律事務所から、金融庁等に出向者(任期付職員)を出すことが、法律事務所においての大きな利点となっており、実際に出向した弁護士自身が金融庁等の職務において得た情報を再就職先の業務にて流用している可能性は否定できない。また、過去にも、総務省の事務次官が「かんぽ生命の保険の不適切な販売をめぐる問題」において、情報漏洩を行う等、事実として、公務員の守秘義務が守られていないという問題がある。このような状況において、金融庁等に弁護士資格を持つ任期付職員として採用された弁護士が任期終了後に、再度、金融機関と取引関係のある法律事務所等で勤務する場合、利益相反の防止及び公務員の守秘義務の観点から、その弁護士は、口外禁止条項若しくは、数年間、任期付職員として採用された行政機関の対応及び行政訴訟に関与することを禁止するように契約を締結するべきではないか。政府としての見解を問う。

七について
御指摘の「金融庁等に弁護士資格を持つ任期付職員として採用された弁護士が任期終了後に、再度、金融機関と取引関係のある法律事務所等で勤務する場合、利益相反の防止及び公務員の守秘義務の観点から、その弁護士は、口外禁止条項若しくは、数年間、任期付職員として採用された行政機関の対応及び行政訴訟に関与することを禁止するように契約を締結するべきではないか。」については、国家公務員は、国家公務員法第百六条の四の規定により、離職後二年間、離職前五年間に在職していた局等組織の職員に対し、離職前五年間の職務に属する契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼することが禁止されているほか、同法第百条の規定により、その職を退いた後も含めて職務上知ることのできた秘密を守る義務が課されており、御指摘のような契約を締結する必要はないと考えている。

八 前回答弁の八についてに関し、弁護士事務所等から弁護士の出向を受け入れることはないとのことだが、大手弁護士事務所のWEBページには金融庁に出向等と明記されている。すなわち最初から再就職が約束されている実質的な出向であると考えられるが、大手金融機関の取締役や監査役等を務める弁護士の事務所における、事務所の弁護士が金融庁等に出向しているかのような記載は、誤りであるか。また、そのような記載をしている各法律事務所に対して、事実に反する記載を訂正するように要請する予定はあるか。政府の見解を問う。

八について
金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律に基づき採用しており、弁護士事務所等の他の事業者等との労務提供契約はなく、「金融庁に出向」と弁護士事務所のウェブサイトで表記することについては、金融庁等に在籍している任期付職員に対して訂正を要請した結果、現時点で金融庁等に在籍している弁護士資格を持つ任期付職員について、そのような記載はないと認識している。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

相談者の方の意向により、先の質問主意書を出したわけですが、その回答が十分ではなかったとのことで今回再質問となりました。相談者の方にとっても、その他の関係者の方々にとっても、ある程度納得できるような形に落ち着くことを願っております。

最後に、金融庁法令等遵守調査室に関する動画を紹介しておきます。

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