スポンサーリンク

11月13日 救国シンクタンクのライブ配信 台湾有事を日本の「存立危機事態」として本気で想定し、中国総領事の恫喝発言にはペルソナ・ノン・グラータ級の厳しい措置をとるなど、日本の対中外交と安全保障の腰砕け姿勢を改めよ――という警鐘

今回は2025年11月13日(木)のチャンネルくらら(救国シンクタンク)のライブ配信動画を紹介します。

救国シンクタンクは私が普段から政策立案で大変お世話になっております。

動画内容の前に、補足知識を。

「唇歯輔車(しんしほしゃ)」は、

「唇(くちびる)と歯は互いに助け合う関係で、一方が失われればもう一方も保てない」
という意味の故事成語です。

  • 唇がなくなれば歯はむき出しになって寒さに耐えられない
    一方がやられると、もう一方も危うくなるほど密接な関係

という比喩で、外交・安全保障では、

  • 「あの国が侵略されれば、自国も安全ではいられない」
  • 「運命共同体的な前線の同盟・パートナー」

を指す言葉として使われます。

今回の動画文脈では、
「台湾が侵略されれば、日本の安全も直撃を受ける=台湾は日本にとって唇歯輔車の関係」
という意味で用いられていました。

もうひとつ補足事項。ポーランドと英仏の例、について。

動画で出てきた「ポーランドと英仏の例」は、ざっくり言うとこういう話です。


① 何が起きた例なのか(1939年)

  1. 英仏がポーランドに「安全保障の約束」をした
    • 1939年春〜夏、ナチス・ドイツが拡張を強める中で、
      イギリスとフランスはポーランドに対して
      「ドイツに攻撃されたら助ける」と軍事的な約束(保障・同盟)を結ぶ。
  2. ドイツがポーランドに侵攻
    • 1939年9月1日:ドイツ軍がポーランドへ侵攻(第二次世界大戦の開戦)。
  3. 英仏は開戦はしたが、まともに助けなかった
    • 9月3日:イギリスとフランスはドイツに宣戦布告したものの、
    • 西部戦線では本格的な攻勢をほとんど行わず、「奇妙な戦争(Phoney War)」状態に。
    • ポーランドは短期間で分割・占領されてしまい、「同盟は紙切れ同然だった」と批判される。

② これを倉山さんがどう使っているか

倉山さんのポイントは、

  • 英仏がポーランドを守ろうとしたのは、
    「同盟条約があるから義務的に守った」というよりも、
  • 「ポーランドがドイツに飲み込まれたら、次は自分たち(英仏)が危ないから」
    という、自国の安全保障上の必然として動いた、という見方です。

ここから導いているのは:

  • 「同盟という紙(条約)」が国を守るのではなく、
  • 「あの国がやられたら、次は自分が危ない」という現実認識が、真の行動理由になる
    = それが「存立危機事態」の本質だ、という説明です。

③ 台湾とのアナロジー

動画の文脈ではこうなっています。

  • 戦前のポーランドが侵略されれば英仏の安全が大きく損なわれたように、
  • 台湾が侵略されれば、日本の安全・シーレーン・在日米軍体制も直撃される。
  • だから、
    • 法律用語の細部よりも、
    • 「台湾がやられたら日本は実質的にどうなるか」という意味で考えれば、
    • 台湾は日本にとってポーランド的な位置づけ(=唇歯輔車)であり、存立危機事態そのものだ
      というロジックです。

一言でまとめると:

英仏とポーランドの例は、「条約という紙切れ」よりも
「あの国が潰れたら次は自分が危ない」という安全保障のリアルを示す歴史例として、
台湾と日本の関係を説明するために持ち出されている、ということになります。

というわけで、本題の動画です。

要約は以下の通り。

テーマごとに整理して詳しめにまとめます。


1 台湾有事は「存立危機事態」か、中国総領事の問題発言

(1)存立危機事態とは何か

  • 安倍政権時の安保法制で定義された概念で、「武力攻撃事態対処法」に明記された。
  • 従来「日本は集団的自衛権は行使できない」とされてきたが、
    • 日本近傍で発生した武力攻撃が
    • 日本の存立を脅かし、国民の生命・自由・幸福追求に重大な被害を及ぼすおそれがある場合、
    • 限定的に集団的自衛権を行使し、自衛隊が武力行使できるという枠組み。
  • 倉山氏の趣旨:
    • 法律用語の細かい定義にとらわれるのではなく、「日本にとって何が安全保障上の必要なのか」から逆算すべき。
    • 戦前の「唇歯輔車」(どちらか一方がやられればもう一方も危ない)という発想でいえば、台湾はまさに日本の「唇」にあたる。
    • ポーランドと英仏の例のように、同盟条約そのものより、「守らないと自国が危なくなる」という現実が重要。
    • その意味で、台湾侵攻は「日本の存立への危機」そのもの、つまり存立危機事態と考えるべきだ。

(2)「手の内を明かさない」ことの意味

  • 中国人民解放軍の立場で考えれば、
    • 「日本は憲法と法律を守るから絶対に台湾を助けに来ない」と楽観するのか、
    • 「いざとなったら憲法・法律を超えてでも日本は台湾を助けに来るかもしれない」と見て慎重な作戦を立てるのか、
    • どちらを前提に作戦計画を立てるかが問題。
  • 実際には両にらみだとしても、「日本は絶対に来ない」とは思わせない方が抑止力になる。
  • だからこそ、日本側が「ここまではやらない」と手の内を明かしすぎるのは得策ではない、という議論。

(3)大阪の中国総領事の「問題発言」

  • 大阪の中国総領事が、「日本が台湾問題に介入すれば報復する」など極めて品のない表現で発言。
  • 問題点:
    • 外交官には「赴任先国内の内政に介入しない義務」があり、ウィーン条約にも反する。
    • 国際社会では、外交官が汚い・直裁的な言葉で他国指導者を脅すことは「外交儀礼」に反する、極めて非常識な行為。
  • 倉山氏の見立て:
    • 通常の国なら「24時間以内にペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を宣告して即時退去させる案件。
    • 日本は過去に「東京を火の海にしてやる」と言われても何もできなかった国であり、その弱さを高市首相は背負わされている面もある。
    • しかし、初動で追放できなかったとしても、
      • 1週間以内には、
        ①日本からペルソナ・ノン・グラータ宣言を出すか、
        ②向こうから「引き上げざるを得ない」と思わせて退去させるか、
        どちらかに追い込むべき。
    • 国際社会では「悪いことをした側」以上に、「それを止められない側」がより悪く見られる。

(4)渡瀬氏の視点:対中姿勢と対米連携

  • 中国が日本の国会審議に口出しすること自体が不当であり、日本の安全保障論議は中国に忖度すべきではない。
  • 総領事発言を中国政府の報道官が擁護している以上、これは「中国政府の公式スタンス」と見るべき。
  • 対応としては、
    • 本来は速やかにペルソナ・ノン・グラータで追放すべき。
    • それが難しいにしても、「向こうがまずい」と思って自ら引っ込めるような圧力をかける必要がある。
    • その際、日本だけで怒っても中国は痛くないので、トランプ大統領ら米側との連携を重視すべきだった。
  • 高市首相は、台湾をめぐる極めてセンシティブな問題について事前の根回しを十分せず発言した疑いがあり、
    また立憲民主党の質問通告がギリギリだったために対米調整の時間もなかった。
  • 渡瀬氏は、
    • 「立憲民主党の質問は国益を害する行為である」
    • そのうえで日本政府が毅然と対中対応を取らなければ、ますます舐められると強く批判。

2 国会質疑・立憲民主党/共産党/公明党批判と、小泉防衛相の評価

(1)立憲民主党・共産党の安全保障論

  • 高市首相の「台湾有事=存立危機事態になり得る」発言に対し、立憲民主党・共産党が国会で追及。
  • 渡瀬氏:
    • 立憲民主党は一応「野党第一党」なのだから、安全保障についてまともな質問をすべき。
    • ところが実際は、
      • 「台湾有事が存立危機事態に入るなんて危ない、戦争になるじゃないか」といった中国側の代弁のような質問ばかり。
      • 本来問うべきは
        「台湾有事を存立危機事態とした場合、日本を守れる体制になっているのか。何が足りないのか」
        という具体的な防衛体制の議論。
    • このままでは「立憲民主党・共産党には外交・安全保障を語る資格がない」とまで断じる。
  • 倉山氏:
    • 共産党は「日本国の国家本の政党ではない」レベルであり、そもそも本音の安全保障議論ができない場を作っている。
    • 立憲民主党は党内の幅が広すぎ、憲法審査会などでも党として見解をまとめられない。
    • 野田佳彦氏ら“比較的まとも”に見える人物が党の統一方針を阻害している面もあり、「この党を存続させるべきかどうか」から議論せよと皮肉。
  • 総括:
    • 自民党が「世界最強の与党」であり続けたのは、「世界最弱クラスの野党第一党」が続いてきたからだという辛辣な評価。

(2)公明党への批判

  • 公明党はつい最近まで与党であり、防衛・機密情報にもアクセスしていたはず。
  • それにもかかわらず野党になるや否や、「非現実的な安全保障論」を展開し始めている。
  • 渡瀬氏:
    • 与党時代に「日本をどう守るか」を議論していたのであれば、野党になった途端に真逆のことを言うのは無責任。
    • 「変身の速さ」はある意味すごいが、本音の地金が出てきただけではないかと指摘。

(3)「原稿読み大臣」問題と高市首相

  • 視聴者からの「大臣が原稿読みすぎでは?」という疑問に対し:
    • 原稿には、
      • 「ここから先は絶対しゃべってはいけない」安全保障上の線引き、
      • 法律解釈としてズレてはいけない部分
        が書かれている面もある。
    • ただ、日本ほど「1ミリも答弁をずらさない」ことにこだわる国は珍しい。
  • 倉山氏:
    • 総理大臣の役割は「細かい法律解釈」ではなく、「どちらの方向に国家を導くか」を自分の言葉で示すこと。
    • 細部だけなら「AIに全部読ませればいい話」であり、政治家の役割を矮小化してはならない。
  • 高市首相については、
    • 自分の言葉で話す場面が増えたが、時に「言い過ぎ」と言われる。
    • しかし方向性を示すリーダーには、ある程度の“振れ幅”は必要だと評価。

(4)小泉進次郎防衛大臣への評価

  • 小川氏(元自衛官)の評価:
    • 小泉氏は就任後、国防の基本や「ここはしゃべってはいけない」領域をよく勉強している様子で、答弁の質が上がっている。
    • 組織論から見ても、トップがしっかりして方向性を出すと、その下の幹部も引き締まり、組織が動きやすくなる。
    • 今回、防衛相として“修行”を積んでいることは、将来の大政治家への成長にとってプラス。
  • 倉山氏:
    • 小泉家は父・純一郎の時代から「政局感」が鋭く、進次郎氏も選挙には強い。
    • 将来総理を目指すなら、単に大臣ポストを歴任するだけでなく、「野党自民党総裁」を経験し、反対党と論争しつつ国民の支持を得る訓練をするのが望ましいと提案。

3 熊被害・有害鳥獣対策と「重量ガイドライン」・森林環境税・地方分権

(1)現行の「銃猟ガイドライン」の問題点(小川氏)

  • 政府は熊被害対策として会議を開き、「銃猟ガイドライン」を作成。
  • しかしガイドラインは、
    • 弾が地面や硬いものに当たって跳弾し人に当たらないよう「高い場所から撃て」など、教科書的な条件を並べる。
    • その一方で、住民には「今まで通りの生活を続けてください」と言い、ハンターに対し
      「人が普通にいる市街地で熊だけを安全に撃て」と要求。
  • 小川氏の主張:
    • ハンターは本来、山中での狩猟が前提で、市街地での安全確保まで一人で担うような訓練も制度もない。
    • 武器を扱う者に「安全管理」と「射撃」の二つの任務を同時に負わせるのは、軍事原則にも反する(原則「一人一任務」)。
    • 住民避難や安全確保は自治体や警察が担い、ハンターは「駆除」に専念できる体制を作るべき。
    • ガイドラインは「絶対守るべき義務」と「参考事項」をしっかり分けないと、すべてを守れなかったハンターに法的責任を押し付けることになる。

(2)熊の個体数管理と森林環境税(渡瀬氏)

  • 根本問題は「熊の個体数管理ができていない」こと:
    • どこに何頭いるのか、どれくらいが適正数なのかというデータと目標が曖昧。
  • 兵庫県の例:
    • 県独自の「森林環境税」で熊の個体数調査と管理を行い、「だいたい何頭いるか」を把握したうえで増減をコントロールしている。
  • 一方で国の「森林環境税」(住民税に上乗せの国税)は、
    • 林業整備に使う名目だが、都会の自治体では使い切れず基金に積まれたり、目的外に流用されたりしている。
  • 結論として、
    • 国税としての森林環境税は廃止し、
    • 熊被害など「地域固有の課題」は、地方自治体が自らの税(県税など)と権限で対応できるようにするべき(地方分権・税源移譲)。

(3)「自国における居留民保護」としての熊対策(倉山氏)

  • 熊被害を「自国領内の居留民保護」に準えた議論:
    • 戦前、日本は海外で邦人が危険にさらされた際、「居留民保護」を名目に軍を派遣し、住民を退避させつつ敵を叩き、すばやく軍を引き上げるという成功例があった。
    • これを熊問題に当てはめれば、
      • 住宅地を「守るべき居留民の居住地」と見立て、
      • 必要なら住民を一時退避させたうえで熊を駆除・追い返し、
      • 人間と熊の「境界線」を再構築するという発想になる。
  • 現状は、
    • 環境省の「長獣保護」枠組みに縛られ、「住民保護」の視点が弱い。
    • どの法律(環境・災害・治安)を適用するのかという設計を、政治がやり直す必要がある。
  • 短期的には「災害」とみなして、
    • 不発弾処理のように、一時的に住民を避難させて集中的に駆除を行う発想もありうる。
    • そのためには、法制度上も災害認定できる条文があることを国シンクタンクとして確認済みであり、それに基づく提言を準備していると説明。

(4)中長期的な熊対策の「ゴール設定」と政策設計

  • 小川氏・渡瀬氏の共通認識:
    • 政府はコロナ対策と同様、「何を達成できたら成功なのか」というゴール(エンドステート)を決めずに、場当たり的な対策だけを積み上げている。
    • その結果、
      • 住民はいつまで熊に怯え続けるのか不明、
      • 超獣管理の予算も「出しっぱなし」で、成果の検証がされない。
  • あるべきプロセスとしては、
    1. 「人が熊に怯えず生活できる状態」を具体的な指標(個体数、出没件数など)で定義する。
    2. 短期的には災害枠で徹底的な駆除・避難を行い、個体数を適正水準まで下げる。
    3. その後、地方自治体が主体となり、長期的な個体数管理と境界線の維持を行う。
    4. 国は地方分権を進めつつ、不要な規制(厚労省系など)を整理し、現場の裁量を増やす。
  • これらを踏まえ、国シンクタンクとして政府・与野党の熊対策案を比較し、「目的設定」からやり直す提言を作成中だと述べている。

4 書籍・イベント・グッズの告知

最後のパートは、国シンクタンクの宣伝・告知。

  • 会員・賛助会員募集:
    • 「高市総理が全省庁に出した指示書」をさらに深堀りできるような、全省庁対応型シンクタンクを目指す。
    • 特別賛助会員(100万円)なども含め、政策研究への支援を呼びかけ。
  • 小冊子『コーランは語る』:
    • 真面目なイスラム教徒は日本社会と協調しているというメッセージを広げる目的。
    • 1冊350円、10冊単位で頒布。
  • 「皇統図」巻物:
    • 神武天皇から今上陛下までの皇統を一望できる系図。
    • 郵送料のみ負担で頒布(巻物のためやや重い)。
  • 書籍『合憲自衛隊』(ワニブックス、11/26発売):
    • 小川氏が中心となり執筆、倉山氏・横山氏も寄稿。
    • ポイント:
      • 「憲法改正が進まない現実」を前提に、現行憲法のもとで自衛隊を実質的な軍事組織として動かす法理を整理。
      • 自衛隊の成り立ち(警察予備隊・保安隊からの流れ)ゆえの制度的歪みを是正する提案。
      • 国際法・憲法解釈の入門書としても読める内容。
  • 11月30日のイベント「リーダーシップコード特別編」:
    • テーマ:地方自治体・地方議会と選挙。
    • 柳瀬元参議院議員とともに、地方選挙に勝つための戦略・裏話なども含めて解説予定。

まとめ(番組の全体的なメッセージ)

  1. 台湾有事は日本の「存立危機事態」そのものであり、法技術論よりも実際の抑止・防衛の観点から考えるべき。
  2. 中国総領事の暴言に対し、日本政府は本来24時間以内の追放レベルで対応すべきで、対米連携を含めた「本気の外交」を行わないと国際社会から舐められる。
  3. 立憲民主党・共産党・公明党の安全保障論は国益を害しており、「まともな野党第一党」の不在こそが日本政治の深刻な問題。
  4. 熊被害は「居留民保護」と同レベルの人命問題であり、災害としての位置づけ・地方分権・個体数管理の徹底など、目的から逆算した政策設計が必要。
  5. 救国シンクタンクは、こうした安全保障・危機管理・地方行政の課題に対し、現実的な提言を行うシンクタンクとして活動しており、書籍やイベント・グッズを通じて議論を広げようとしている。

↓もしよろしければ応援クリックお願いします。
人気ブログランキング

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク