今回は(も)私が時々出演させてもらっているインターネット番組、ニッポンジャーナルから。
日本でも世界でも、対立の軸は「左翼/右翼」ではなく、「政治に道義性を求める人たち」と「政治に自己利益の実現を求める人たち」の間にシフトしたようです。圧倒的に後者が多いので、選挙で負けるのは仕方がないと思います。でも、声を上げ続けなければなりません。黙ったら終わりですから。
— 内田樹 (@levinassien) September 13, 2026
内田樹氏のポストが炎上しています。
今回の動画。
動画(ニッポンジャーナル「江崎道朗×石戸諭 最新ニュースを解説!」)内で取り上げられた主な発言・議論のポイントを、発言者(KAZUYA氏、石戸諭氏、江崎道朗氏)ごとに詳細に整理・羅列します。1. 沖縄県知事選の開票結果・選挙戦の動向
KAZUYA氏の発言
新人の古謝玄太氏が全41市町村中40市町村で勝利し、過去最多の42万3124票を獲得したと結果を紹介。 那覇市で古謝氏が約8万票を獲得して玉城デニー氏に大差をつけ、玉城氏が上回ったのは大宜味村のみ(54票差)だった点に言及。 今回の知事選は、自民・公明・維新・国民民主・参政・日本保守党まで揃い、「宇宙人が攻めてきたときの地球の一致団結」のような異例の構図だったと指摘。 玉城陣営が終盤に「玉城知事がノーベル平和賞にノミネート/推薦された」とアピールした件に対し、「県民の生活に全く直結しない」「身内ノリが過ぎたのではないか」と冷ややかに評した。 石戸諭氏の発言
古謝氏の得票は過去最多の約42万票であり、文句のつけようがない歴史的圧勝である。 玉城陣営が敗因に「SNSの浸透」を挙げているが、40市町村で勝っている現実に対し「SNSの影響」とするのはX(旧Twitter)ユーザー等の影響力を過信しすぎている。 勝敗を決定づけたのはSNSではなく、無党派層や若年層が多い都市部(那覇、浦添、宜野湾、沖縄市など)で古謝陣営が約6対4の割合で票をしっかり取り切ったことにある。 8年間の玉城県政において、辺野古移設反対を掲げても司法判断等により法的に止められる手段が尽きていた。妥協や現実的な交渉が必要だったが、支持層が左派・革新勢力のみに偏っていたため妥協できず、八方塞がりになっていた。 過去の知事選で「オール沖縄」を支えていた金秀グループなどの地元経済界が離脱した時点で、事実上この枠組みは崩壊していた。 保守側が下地幹郎氏の不出馬や参政党との政策協定によって保守分裂を未然に防いだことも勝因として大きい。 中道(立憲等)の分裂が起きたことで、公明党が国政のしがらみから解放され、選挙戦最終盤にかけて強力なフル稼働・ブーストをかけられた。 現地に入って感じたのは、古謝陣営の参加者や青年層、子育て世代の熱量の高さと、通りがかりの一般市民が足を止める広がりだった。 選挙終盤、玉城陣営の現場関係者から「最後の3日はウチナーンチュの心(精神力)に賭けるしかない」という声が出ていたが、具体的な政策や現実的手立てが尽きていた証拠である。 江崎道朗氏の発言
共産党や左派界隈が「自民党政権の物量に負けた」「基礎票が違う」と言い訳しているが、過去の選挙(2018年に菅義偉官房長官主導で挑んで敗北した際など)を考えれば理由になっていない。 唯一死守しなければならなかった知事ポストを失ったショックから、負けた原因を自分たち以外に求めて責任転嫁している状態に見える。 左派・リベラル層の中にも、現実的な政策や統治能力を重視して玉城氏に見切りをつけ、古謝氏に流れた有権者が相当数いたはずである。2. 経済政策・インフラ整備とイデオロギー
江崎道朗氏の発言
岸田政権が2022年の安保3文書改定以降、南西諸島の防衛・災害対応のために港湾・空港・輸送道路などの強靭化予算を計上してきたが、玉城県政は「防衛力強化に繋がる」としてこれを拒否・予算執行を抑制してきた。 一般道路や港湾の大型化は、軍事利用だけでなく民間製造業・物流の発展や大型輸送船の受け入れに直結する。それを「軍事強化」と同一視して拒絶した結果、沖縄経済に甚大な機会損失を与えた。これが地元経済界が玉城県政から離反した根本原因である。 嘉手納以南などの基地返還は着実に進んでいるが、返還跡地をつなぐ道路が極めて狭く、大渋滞が起きているため有効活用できていない。宜野湾のコンベンションセンター等も首脳級の警備や移動が困難で宝の持ち腐れになっている。 沖縄の大学等で高度な専門人材を育成しても、受け皿となる産業インフラがないため本土や米国に流出している(広島カープ状態)。 地政学的リスクから台湾との連携や、釜山・上海に代わる物流拠点構想(アジアゲートウェイ2050)を経済界が掲げているのに、玉城県政は参加しなかった。 石戸諭氏の発言
沖縄の産業は第3次産業(観光・サービス)が約87%を占めるが、観光業頼みではパートや非正規雇用の拡大に留まり、県民所得の抜本的向上には繋がらない。 2018年選挙で自民候補が掲げた「テーマパーク誘致」が刺さらなかったのも、観光一辺倒への不満があったからである。 航空機整備や創薬・ヘルスケア産業などへのシフトが必要だったが、航空機整備に関しても「自衛隊や米軍機の整備に繋がる」という反基地イデオロギーから県政がブレーキをかけてしまった。 道路やインフラ整備を「無駄な公共事業」と切り捨てるのは大都市圏の左派の理屈であり、深刻な渋滞と物流のボトルネックを抱える沖縄の現実を無視している。 普天間飛行場の返還跡地(15年スパンの長期構想)も含め、基地返還後の経済ビジョンを提示して国と実務的な合意を結ぶ姿勢が必要だった。玉城知事であっても現実的な妥協と交渉を行う道はあったはずだ。 KAZUYA氏の発言
従来の知事選がイデオロギー色全開だったのに対し、今回の古謝氏が掲げた「沖縄を前に」という経済重視のスローガンが有権者に強く刺さった。 反基地闘争に時間を費やしすぎた結果、道路整備や港湾回収などのインフラ整備に遅れが生じ、多くの機会損失を生んだことは非常に惜しまれる。3. 共産党・田村智子委員長の発言(振興予算増額批判)
KAZUYA氏の発言
政府が沖縄振興予算を3300億円超へ増額する調整に入ったことに対し、田村委員長が「情けない」「県民の暮らしを脅かした」と涙を流して批判したニュースを紹介。 玉城陣営が選挙戦で「経済絶好調」「過去最高予算」と胸を張っていた主張と完全に矛盾しており、ただの政権批判ありきに見えてしまうと指摘。 石戸諭氏の発言
田村氏の涙は理解しがたく、論理が破綻している。 沖縄振興予算は県の執行率・消化能力の問題があり、使い切れない予算が減額対象になるのは財政上自然な側面がある。知事交代によって使い道や政策方針が変われば、次年度予算の要求額や配分が変わるのも合理的である。 玉城陣営自身が選挙期間中、「県予算は過去最高」「観光収入1兆円突破」「子育て支援拡充」と経済実績を誇っていた。自分たちで「暮らしは良くなった」とアピールしていたのに、負けた途端「暮らしが脅かされていた」と騒ぐのは完全な矛盾である。 江崎道朗氏の発言
反対派の根本的な論理は「インフラ整備=米軍や自衛隊の兵站強化=悪」という固定観念に基づいている。 選挙中の誹謗中傷やデマについては、法的な名誉毀損には開示請求等で対処すべきだが、国家権力が言論規制に乗り出すことには慎重であるべきだ。4. 内田樹氏の投稿(「道義性 vs 自己の実現」)
KAZUYA氏の発言
内田樹氏がXで「対立の軸は『政治に道義性を求める人たち』と『政治に自己の実現(利益)を求める人たち』にシフトした。後者が多いので負けるのは仕方ない」と投稿した件を紹介。 玉城支持者側だけが道義的で圧倒的に正しいと思い込んでいる感覚に違和感を表明し、ひとり親世帯や若者が生活向上を願うのは当然の判断だと擁護した。 石戸諭氏の発言
内田氏の二元論は、「玉城支持=道義的で高潔、古謝支持=金目当てで非道徳」と決めつける極めて傲慢な見方である。 全国平均より所得水準が低く、ひとり親世帯も多い沖縄で、「家族を養いたい」「若者の働く場を作りたい」と願い投票した現役世代に対し、面と向かって「君たちは自己利益しか考えておらず、人の道を踏み外している」と言えるのか。生活を守るための選択を侮辱するハラスメントに近い言動だ。 玉城陣営自身も「医療費無料化」「給食費無償化」など生活利益に直結する政策を訴えていた。なぜ自陣営の政策は道義で、相手陣営の経済訴求は私利私欲とされるのか、論理が成り立っていない。 江崎道朗氏の発言
独善的な正義感ほど危険なものはなく、ろくな結果を生んだことがない。5. 辺野古転覆事故(修学旅行生死亡事故)の影響
石戸諭氏の発言
表立った選挙争点にはされなかったが、有権者の深層心理に極めて大きな影響を与えた。 沖縄県民の中には、自らデモには参加しなくても「自分たちの代わりに基地負担への怒りを政府に届けてくれている」と、反対運動側へ一定のリスペクトや信託を寄せていた層がいた。 しかし、修学旅行生が命を落とす重大事故が起き、その後の運動側の責任転嫁や不誠実な対応を目の当たりにしたことで、県民が抱いていた信頼感が一気に崩壊した。 「自分たちの思いを託していた運動が、結果としてこのような悲惨な事故につながってしまったのではないか」という県民側の葛藤やショックが、玉城陣営からの支持離れを加速させた。 選挙直後に新知事の古謝氏へ取材した際、刑事責任の追及は海保等に委ねつつも、県議会等を通じた「原因究明と再発防止」は県としてもしっかり進めると意欲を示していた。沖縄がこれからも安心・安全に修学旅行を受け入れられる地域であり続けるためにも、行政・議会主導での徹底した検証が不可欠となる。 江崎道朗氏の発言
沖縄の人々は、本土の若者が修学旅行などで沖縄戦の地を訪れ、悲劇に涙し、平和への思いを共有してくれることに深い喜びと共感を感じてきた。 だが今回の事故と運動側の責任逃れによって、「沖縄への平和学習の受け入れ自体をやめよう」という動きが本土で生じ、長年築いてきた本土と沖縄の心情的な絆が損なわれた。 そのことに対する県民の強いモヤモヤと失望感に対し、玉城知事が運動側を厳しく批判・清算することなく曖昧な態度を取り続けたことが、知事への失望に直結した。 KAZUYA氏の発言
事故から半年が経過したことに触れ、遺族が立ち上げた支援サイト「辺野古転覆事件の全容解明と再発防止を求める会」を紹介。 本土の生徒が安心して沖縄へ修学旅行に行ける環境を取り戻すためにも、新県政下での徹底した原因究明が必要だと締めくくった。
番組内での議論にもあった通り、今回の沖縄県知事選挙の結果は、単なる右派・左派の対立や、SNSの影響といった単純な構図で片付けられるものではありません。
内田樹氏は「政治に道義性を求める人」と「自己利益の実現を求める人」という二元論を持ち出し、あたかも前者が高潔で後者が利己的であるかのような物言いをされていますが、これには強い違和感を覚えます。
賃金水準の向上や子育て支援、そして深刻な交通渋滞を解消するための道路・港湾といった生活インフラの整備を求め、自らの生活や家族を守るために投票行動を起こすことは、主権者として極めて真っ当であり、何ら恥じることのない判断です。それを「自己利益に走って人の道を踏み外している」と上から目線で切り捨てる姿勢こそ、有権者の生活実感を無視した独善的な傲慢さではないでしょうか。
イデオロギーや抽象的な正義論に終始して地域経済の機会損失を招く政治から、現実的なインフラ整備や産業育成によって県民の豊かさを前に進める政治へ――今回の歴史的な民意の選択が示した本質は、まさにここにあると考えます。
新知事に就任された古謝玄太氏には、分断を乗り越え、沖縄の経済発展と県民生活の向上に向けた実務的なリーダーシップを期待したいと思います。

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