「拝米」でも「反米」でもないリアリズムを 〜アメリカを使いこなす気概と歴史的教養の必要性〜

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今回は減税TVの動画から。

動画「アメリカを知らずに日米関係は語れない⁉『嘘だらけの日米近現代史』著者に聞く!」(YouTubeリンク)で語られている主なポイントを整理・羅列します。

1. 冷戦期・ケネディ政権とキューバ危機の真相

  • ケネディ神話の欺瞞 [01:40]: キューバ危機は西側では「ケネディが核戦争辞さずでソ連を退けた英雄的交渉」とされがちだが、実際はトルコに配備されていたアメリカの核ミサイルを撤去させられており、客観的にはソ連側の勝利だった。
  • 対外政策の失策 [02:15]: キューバを敵性国家に決定づけたのも中途半端な介入を行ったケネディであり、プロパガンダで英雄視されているに過ぎない。
  • ベトナム介入の発端 [04:35]: ベトナム戦争を泥沼化させた発端もケネディ政権にある。

2. ニクソン政権とベトナム撤退・米中接近

  • 泥沼からの撤退戦 [06:19]: 「民主党が始めた戦争を共和党が終わらせる」構図の通り、ニクソンは徹底的な空爆で相手の動きを止めることで、なりふり構わずアメリカの撤退を成功させた。
  • 佐藤栄作の「前向きに検討」が招いた米中接近 [07:08]: ニクソンが日本に対抗役(核武装含む大国化)を打診した際、佐藤首相の「前向きに考える(やらないという意味の官僚言葉)」をニクソンがイエスと誤解したことで不信感を抱き、ニクソンショック(金停止)および毛沢東との電撃接近へと繋がった。

3. 田中角栄の評価(目的合理性とトップの資質)

  • ナンバー2としては優秀、トップとしては不適 [08:46]: 課せられた目標を達成する「目的合理性」は天才的だが、「その目的が正しいか」を判断する大局観に欠けていた。
  • 日中国交回復の拙速さ [09:15]: 「日中国交正常化」という目標だけを最短で達成しようとし、中国側が驚くほど相手の条件を丸呑みしてしまった。

4. 冷戦終結の裏舞台(間接侵略と情報戦)

  • バチカンとハプスブルク家の役割 [10:53]: ヨハネ・パウロ2世のポーランド訪問や、ハプスブルク家のオットー大公が主導した「汎ヨーロッパ・ピクニック」など、地下組織やカトリックを動かした間接侵略・情報戦がベルリンの壁崩壊に決定的な影響を与えた。
  • 冷戦の本質は「金(経済)と紙(スパイ戦)」 [12:00]: 直接的な武力(鉄)で打ち合う熱戦ではなく、スパイ戦や経済力競争によってソ連を自滅に追い込んだ。

5. クリントン政権の危険性と9.11への連鎖

  • スキャンダル隠しの空爆 [13:04]: クリントンは自身の不倫スキャンダルなどが報じられるたびにアフガンやケニアなどへ一時的な空爆を行い、アルカイダ側に「スキャンダル隠しで同胞を殺された」という大義名分・復讐の論理を与えて9.11へと繋がった。
  • ブッシュ批判の裏側 [16:15]: 子ブッシュの単独行動主義は激しく批判されたが、実態はクリントン政権の遺した負の遺産の尻拭いをさせられていた面が大きい。
  • 敵と味方を見誤るアメリカ [15:45]: アメリカは「敵と味方を間違えて、敵同士を団結させる天才」である。

6. 日本の政治指導者と安全保障の現実

  • アチソン・ラインと沖縄の地政学的重要性 [18:03]: 沖縄は、太平洋・ペルシャ湾・大西洋(ロンドン)を結ぶ米国の世界戦略の十字路の真ん中にある。鳩山由紀夫の「最低でも県外」発言は、世界覇権の要衝を放棄しろと言っているのに等しく、地政学的理解が皆無だった。
  • 「魂のない」防衛費増額と憲法論議 [27:43]: 冷戦期の西ドイツは「東ドイツ奪還」という明確な国家意思を持っていたのに対し、現在の日本の防衛費2%増額はアメリカから課された「数値目標の宿題」に過ぎず、明確な戦略・国家目標(魂)が欠けている。

7. トランプ現象とアメリカの捉え方

  • 3つの視点で分ける必要性 [23:46]: 「トランプ本人」「トランプ政権」「アメリカ合衆国」を混同せず、多面的に分析しなければならない。
  • 公約通りの行動と予測可能性 [26:00]: トランプは発言が過激でブレて見えることもあるが、基本的に掲げた公約や主張をそのまま実行しているため、深読みしすぎなければ行動は読みやすい。
  • アルメニア・アゼルバイジャンの和平調停 [24:51]: メディアでは失言ばかりが取り沙汰されるが、長年の宿敵同士を調停させた実績など、実務的な外交成果も存在する。

8. 対米外交における歴史・教養の重要性

  • 英王室(チャールズ国王)のウィットに学ぶ対等さ [31:48]: チャールズ国王(当時皇太子)が米英戦争でホワイトハウスを焼き払った歴史をブラックユーモアにしてトランプを笑わせたように、対等に渡り合うには歴史教養とウィットが必要。
  • 歴史的コンプレックスの克服 [33:43]: 神田うの氏の「アメリカなんて高々200年の国」という発言を引き合いに、過度にアメリカに卑屈になる必要はなく、堂々と歴史と事実を元に議論・反論できる対等な関係を目指すべきである。

かつて、椎名悦三郎外務大臣が、アメリカを日本の番犬(様)と国会で述べたことがあり、そのことを私も国会で取り上げたことがあります。

沖縄県庁PFOS流出隠蔽、石垣港での全港湾によるテロ、椎名悦三郎外務大臣の番犬様発言、等について質問 参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会2024年5月24日
書籍『嘘だらけの日米近現代史』および著者の倉山満氏が提起している「アメリカ=番犬(番犬様)」という比喩・論理の要点は以下の通りです。

1. 吉田茂の「番犬論」が原点

  • 「番犬は扱いやすい」という発想
    戦後の講和条約と旧日米安保条約を結んだ吉田茂元首相は、米軍の駐留を認めつつも防衛負担をアメリカに押し付ける形をとりました。吉田は内心、「経済復興を最優先にし、日本の防衛(外敵の警戒)は米軍という強力な“番犬”に任せておけばよい。番犬にはエサ(基地の提供や駐留経費・思いやり予算)を与えて機嫌を取っておけば扱いやすい」と考えていたとされます。

2. 「拝米(アメリカ崇拝)」でも「嫌米(反米)」でもないリアリズム

  • 感情論からの脱却
    日本国内の対米議論は、「アメリカの言う通りに従う(盲従・拝米)」か「アメリカ出ていけと叫ぶ(反米・嫌米)」の二極化に陥りがちです。
  • 冷徹な「使いこなし」の視点
    倉山氏は、アメリカを正義の味方とも悪魔とも見なさず、「気性は荒く腕力はあるが、頭はあまり良くない大型の番犬」として客観視することを説いています。必要なのは感情ではなく、「どうエサをやり、どう手なずけて日本の安全保障のために働かせるか(コントロールするか)」という外交技術・リアリズムです。

3. かつての日本と現代日本の決定的な違い

  • かつては「猛獣使い」だった日本
    戦後しばらく(または近代の外交巧者たち)は、アメリカの性格や弱点を把握した上で、したたかに自国の国益のために動かそうとする気概や教養がありました。
  • いつの間にか「飼い主」から「奴隷」へ逆転
    現代の日本政府・官僚は、番犬に指示を出す飼い主の気概を失い、ただ「アメリカ様からの宿題(防衛費増額や要求など)」をこなすだけの従属関係になってしまっています。倉山氏は動画や著書の中で、「番犬のコントロールなど本来難しくないのに、日本が自信と歴史的教養を失って怯えている」と警鐘を鳴らしています。

動画や書籍の中で倉山満氏が指摘されている通り、日本が目指すべきは感情的な「拝米(盲従)」でも「反米」でもなく、相手の性格や利害を冷徹に見極めた上で自国の安全と国益のためにコントロールする「リアリズム」です。

かつて吉田茂や椎名悦三郎外相が持っていた「番犬(様)を使いこなす」というしたたかさを、現代の日本政治は失ってしまっているのではないでしょうか。単に言われた防衛費の数値目標(宿題)をこなすだけでは、真の自立や抑止力向上にはつながりません。

相手国の歴史や政治構造を正しく知り、対等に議論できる歴史的教養と国家意思を取り戻すことこそが、これからの日米関係において最も求められていると感じます。

私自身も、日本の自立と国民の利益を守るための安全保障政策・外交論議について、引き続き発信と問題提起を続けていきます。

 

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