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イベルメクチン耐性ヒゼンダニが出現した場合における対処法に関する質問主意書 ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年10月5日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は、イベルメクチンとヒゼンダニについての質問です。ヒゼンダニというのは疥癬という皮膚疾患の原因となる寄生虫です。イベルメクチンはもともとこの薬が有効なのですが、使用が広まるとイベルメクチン耐性のヒゼンダニが問題となる可能性があります。アムステルダムでの例を紹介しておきます。

アムステルダムの老人介護施設の内外で発生した疥癬の持続感染性について: リンデーンとイベルメクチンに対する耐性の徴候(ヨシダ製薬)

アムステルダムの老人介護施設で2007年9月から2008年3月の間に、入居者やスタッフの間で回帰性の疥癬が発生した。感染者の全てが、発生源である入居者(施設において死亡)と何らかのつながりがあったと思われる。また、この入居者が介護施設へ入居する前に暮らしていた集合住宅の住人や、入居者の義理の娘とその夫も疥癬に感染していることがわかった。 施設内外の感染者は皆、リンデーンとイベルメクチンを投与されたが、その後再発、ペルメトリン5%の投与によって、ようやく全員の感染が治まり、少なくともその後3ヶ月間の経過観察の中では症状が再発することはなかった。この点から、この大量発生についてはリンデーンとイベルメクチンに対する耐性がその原因になっていると考えるのが妥当であると思われる。

また、疥癬に関する動画も紹介しておきます。

今回の件について、問題意識をお持ちのNHK党関係者の方から今回の質問主意書のご提案をいただき、提出する次第となりました。

イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療薬として服用する風潮がありますが、その新型コロナウイルス感染症に対する効果は否定されつつあり、欧州でも米国でも使用を控えるよう呼びかけがなされています。
このままイベルメクチンが濫用されると、アムステルダムで過去に発生したイベルメクチンに耐性をもったヒゼンダニが日本にも出現する可能性があり、しかも日本ではペルメトリンが薬事承認されていないため、治療方法が非常に限られます。
そこで、ペルメトリンをなぜ疥癬に対し使えるようにしないのか等を問うています。

とのことです。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

イベルメクチン耐性ヒゼンダニが出現した場合における対処法に関する質問主意書

 アムステルダムの老人介護施設で二〇〇七年九月から二〇〇八年三月の間に、入居者やスタッフの間で回帰性の疥癬が発生した。施設内外の感染者は皆、リンデーンとイベルメクチンを投与されたが、その後再発し、ペルメトリン五%の投与によって、ようやく全員の感染が治まり、少なくともその後三か月間の経過観察の中では症状が再発することはなかった。「A PERSISTENT PROBLEM WITH SCABIES IN AND OUTSIDE A NURSING HOME IN AMSTERDAM: INDICATIONS FOR RESISTANCE TO LINDANE AND IVERMECTIN, Eurosurveillance, Volume 13, Issue 48, 27 November 2008」によると、この大量発生についてはリンデーンとイベルメクチンに対する耐性がその原因になっていると考えるのが妥当であると思われるとのことである。

日本では、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として、医師がイベルメクチンを処方する場合があるほか、医師による処方なしで個人が輸入して使用している場合もある。しかしながら、欧州医薬品庁が新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療を目的としたイベルメクチンの使用を控えるよう勧告したほか、米国疾病予防管理センターも、イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として使用しないように注意を呼びかけた。

国民が新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療効果を期待してイベルメクチンを服用し続けることにより、イベルメクチンに耐性を持つヒゼンダニが出現した場合、日本ではアムステルダムの事例で有効性を示したペルメトリンが疥癬に使えないことから、疥癬への対処が困難になる患者が多数発生する可能性がある。

右を踏まえて、以下質問する。

一 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)診療の手引き・第五・二版には「最新のメタ解析(十のランダム化比較試験を対象)では、イベルメクチンによる治療は標準治療やプラセボと比較して、軽症患者における全死亡、入院期間、ウイルス消失時間を改善させなかったと報告されている。」とある。一方、「新型コロナウイルス感染症の治療に際しての医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて(依頼)」(厚生労働省保険局医療課令和二年四月九日事務連絡)には、「診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由(診療の手引き(※)、ガイドライン等における現時点での知見や治療上の有益性と危険性を考慮した上で慎重に使用の適否が判断されたことなど)等も参考に、個々の症例に応じて医学的に判断していただくようお願いいたします」とある。

1 新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療薬としてイベルメクチンを使用することに対し、政府の見解如何。

一の1について
イベルメクチンについては、様々な研究論文が発表されており、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての評価が定まっているものではないが、医師は、患者に適切な説明を行い、その理解を得るよう努めた上で、患者の状態、現在得られている医学的知見等を踏まえた専門的な判断により、個々の事例に則して適切に適応外使用(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第一項の規定による製造販売の承認を受けた医薬品の製造販売の承認外の効能、効果等を目的とする使用をいう。以下同じ。)を行うものと考えている。

2 新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療薬としてイベルメクチンを医師が処方した場合、現在、国民健康保険または社会保険の適用はされるのか。

一の2について
お尋ねの「イベルメクチンを医師が処方した場合、現在、国民健康保険または社会保険の適用はされるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、新型コロナウイルス感染症の治療における適応外使用に係る診療報酬請求書の審査については、厚生労働省から審査支払機関に対し、「新型コロナウイルス感染症の治療に際しての医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて(依頼)」(令和二年四月九日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)を発出し、「診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由(診療の手引き(※)、ガイドライン等における現時点での知見や治療上の有益性と危険性を考慮した上で慎重に使用の適否が判断されたことなど)等も参考に、個々の症例に応じて医学的に判断していただく」ようお願いしているところである。

二 政府は、欧州医薬品庁が新型コロナウイルス感染症に対する予防・治療を目的としたイベルメクチンの使用を控えるよう勧告した事実及び米国疾病予防管理センターがイベルメクチンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として使用しないように注意を呼びかけた事実を認識しているか。

二について
欧州医薬品庁が、新型コロナウイルス感染症の予防又は治療を目的としたイベルメクチンの使用は現時点では管理された臨床試験での使用を除いて推奨されないこと等の見解を令和三年三月二十二日に公表した事実及び米国疾病予防管理センターが、現時点ではイベルメクチンの使用が新型コロナウイルス感染症を治療又は予防する手段であることは証明されていないことについて留意するべきであること等の見解を令和三年八月二十六日に公表した事実については、認識している。

三 疥癬に対しペルメトリンを薬事承認していない理由如何。また、今後ペルメトリンを薬事承認する予定はあるか。

三について
法第十四条第一項の規定による製造販売の承認又は同条第十三項の規定による承認事項の一部変更承認(以下「承認等」という。)の申請に係る情報は、当該申請に係る医薬品を開発している企業の商業上の秘密に該当するため、個別の医薬品の承認等に係る状況については承認等をしていない理由も含めお答えすることは差し控えたいが、一般論としては、医薬品の承認等に当たっては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において、当該医薬品の承認等を申請した企業から提出される臨床試験の結果等についての法第十四条の二第一項の規定に基づく審査が行われた上で、薬事・食品衛生審議会において、当該審査の結果に基づき、承認等の可否について議論されることとなる。

四 イベルメクチンに対する耐性を持ったヒゼンダニが出現した場合、医師はペルメトリンなしでどのような治療を行えばよいか。

四について
疥(かい)癬(せん)の治療については、公益社団法人日本皮膚科学会が編集した「疥癬診療ガイドライン(第三版)」において、疥癬の治療薬として「ペルメトリン」以外に、「フェノトリン」、「イオウ」、「有機イオウ」等が示されていると承知している。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

現状の研究結果から判断するにイベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する効果はあまり期待できそうな感じではありません。無用なイベルメクチンの使用が余計な被害を引き起こさないことを願っております。

ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売予定となりました。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。

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