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国による緊急事態宣言と都道府県による独自の緊急事態宣言の違い

先週、1都3県での緊急事態宣言が出ました。

そして、緊急事態宣言の対象にさらに7府県が追加されることとなりました。

この流れだと、今後また別の道県が緊急事態宣言の対象となるかもしれません。

これらの緊急事態宣言は国による緊急事態宣言となります。一方、熊本県や宮崎県では独自の緊急事態宣言が出されています。

※栃木県の宇都宮市など、市町村でも独自の緊急事態宣言が出ているところはあるようです。

ここで、国による緊急事態宣言と地方自治体独自の緊急事態宣言の違いについて、私のYouTube動画に質問をいただきましたので参議院調査室にご協力いただき調査してみました。

非常にざっくりとした表現で説明すると、国による緊急事態宣言の対象地域となる場合は、都道府県独自の緊急事態宣言に比べて、都道府県の権限(事業者への指示や医療施設開設等)が幅広く認められる、ということです。

法的根拠となる新型インフルエンザ等対策特別措置法の条文を中心に見ていこうと思います。※厳密な説明をすると膨大な分量となり、理解の阻害となりうるため、ここではある程度簡略化していることはご了承ください。

参考動画を掲載しておきます。

以下の条文が根拠条文に挙げられます。

・第24条(都道府県対策本部長の権限)
・第32条(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)
・第45条(感染を防止するための協力要請等)
・第48条(臨時の医療施設等)

24条が(国による緊急事態宣言の対象と関係なく)都道府県の権限を示したもので、32条は国による緊急事態宣言の根拠条文であり、45条・48条は国による緊急事態宣言によって都道府県に追加される権限を示したものです。

これらをひとつずつ見ていきます。

・都道府県独自の権限(必要な協力の要請)は第24条に記載されています。

新型インフルエンザ等対策特別措置法 第二十四条

都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、当該都道府県及び関係市町村並びに関係指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うことができる。

(2~8項まで略)

9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。

・国による緊急事態宣言自体の根拠となる条文が第32条となります。

新型インフルエンザ等対策特別措置法 第三十二条

政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置(第四十六条の規定による措置を除く。)を実施すべき区域
三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要

・国による緊急事態宣言の対象地域となった場合、都道府県は(24条より幅広い)様々な要請が可能となります。第45条にそれが記載されています。

新型インフルエンザ等対策特別措置法 第四十五条

特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。

・国による緊急事態宣言の対象地域となった場合、都道府県は臨時の医療施設等を設置する場合、消防法や建築基準法上の規定の適用などが一部免除され、迅速な設置が可能となります。第48条に記載されています。

新型インフルエンザ等対策特別措置法 第四十八条

特定都道府県知事は、当該特定都道府県の区域内において病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずると認める場合には、その都道府県行動計画で定めるところにより、患者等に対する医療の提供を行うための施設(第四項において「医療施設」という。)であって特定都道府県知事が臨時に開設するもの(以下この条及び次条において「臨時の医療施設」という。)において医療を提供しなければならない。
2 特定都道府県知事は、必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の措置の実施に関する事務の一部を特定市町村長が行うこととすることができる。
3 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条第一項及び第二項の規定は、臨時の医療施設については、適用しない。この場合において、特定都道府県知事は、同法に準拠して、臨時の医療施設についての消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設の設置及び維持に関する基準を定め、その他当該臨時の医療施設における災害を防止し、及び公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
4 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第八十五条第一項本文、第三項及び第四項並びに景観法(平成十六年法律第百十号)第七十七条第一項、第三項及び第四項の規定は特定都道府県知事が行う医療施設の応急の修繕及び臨時の医療施設の建築について、建築基準法第八十七条の三第一項本文、第三項及び第四項の規定は特定都道府県知事が建築物の用途を変更して臨時の医療施設として使用する場合における当該臨時の医療施設について、それぞれ準用する。(以下略)

1月18日に召集される通常国会で、この新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正が予定されています。

私も立法府の一員として、どのような法改正が望ましいか、考えていこうと思います。

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