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技能実習で在留する外国人の失踪者の割合が一・八%と高いことに関する質問主意書 ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和5(2023)年11月28日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は技能実習と特定技能に関する質問です。特定技能は、日本の人手不足を補うための制度。 技能実習は、日本で習得した技術を母国に持ち帰って広めてもらうという、国際貢献のための制度です。

2019年の朝日新聞の図↓で両者の違いが分かりやすく示されていると思います。ざっくり言うと、技能実習よりも特定技能の方がある意味高度な能力が要求されると思われます。

今回の質問は、技能実習と特定技能を比較し、技能実習での問題を指摘したものとなります。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

技能実習で在留する外国人の失踪者の割合が一・八%と高いことに関する質問主意書

 外国人労働者を受け入れる際によく利用されるのが「特定技能」と「技能実習」である。特定技能は日本の人手不足を補うための制度であり、技能実習は日本で習得した技術を母国に持ち帰って広めてもらうという国際貢献のための制度である。両制度は目的が違う他に受入れが可能な職種や在留期間も違う。何より違うのは、特定技能は「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格が条件だが、技能実習の場合は介護職種のみ日本語能力検定N四レベルであることが求められるが、その他の職種では特に試験はない。特定技能は就労する分野の知識が一定以上あることが条件であるが、技能実習は入国前に特定の技能を習得する必要がない。そのことから特定技能での在留者数は令和三年末において約五万人、技能実習での在留者数は約二十八万人となっており人数に大きな開きが生じている。

そこで、目的が違う二つの外国人労働者を受け入れる制度があることから以下に政府の見解を伺う。

一 特定技能で在留する外国人の令和三年における行方不明者数は七十六人であり〇・一四%の行方不明率であるのに対し、技能実習で在留する外国人の失踪者数は七千百六十七人で一・八%という高い失踪率になっている。特定技能外国人の行方不明がまれである理由としては、転職が可能であることが大きいと思われる。そのことを踏まえて技能実習でも職場や人間関係について悩みや不満があった場合は他社に転職することができるようにしては如何か。

一について

技能実習生(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する技能実習生をいう。)が実習実施者(法第二条第六項に規定する実習実施者をいう。以下同じ。)を変更すること(以下「転籍」という。)については、法第九条第二号の規定により委任を受けた外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成二十八年法務省・厚生労働省令第三号)第十条第二項第三号チに規定する「やむを得ない事情がある場合」を除いて、新たに技能実習を行わせようとする者が技能実習計画の認定(法第八条第一項に規定する技能実習計画の認定をいう。)を受けることができず、認められないが、当該「やむを得ない事情がある場合」には、技能実習制度運用要領(平成二十九年四月七日法務省・厚生労働省公表)において、「実習実施者の経営上・事業上の都合、実習認定の取消し、実習実施者における労使間の諸問題、実習実施者における暴行等の人権侵害行為や対人関係の諸問題等、現在の実習実施者の下で技能実習を続けさせることが、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護という趣旨に沿わないと認められる事情による実習先の変更の場合が該当」することを明らかにしており、御指摘の「職場や人間関係について悩みや不満があった場合」についても、出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣又は外国人技能実習機構が、当該要領を踏まえ、個別の事案に応じて転籍の可否を判断することとなる。

その上で、技能実習制度については、現在、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に設置された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)において、制度目的と実態を踏まえた制度の在り方、転籍の在り方等について議論されており、今後、有識者会議の議論等も踏まえ、制度の見直しに向けた検討を行ってまいりたい。

二 特定技能の在留者の行方不明が少ないことから、それに倣い技能実習での外国人の受入れ体制や支援方法などを見直してみることで失踪は防ぐことができるのではないか。政府の見解を伺う。

三 技能実習での在留許可を出す条件を見直すことで失踪の多い現状を改善することができると思料するが政府の見解を問う。

二及び三について

御指摘の「外国人の受入れ体制や支援方法などを見直してみる」及び「技能実習での在留許可を出す条件を見直す」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、技能実習制度については、有識者会議において、監理団体(法第二条第十項に規定する監理団体をいう。)による監理及び支援の在り方、実習実施者の体制の在り方等についても議論されており、一についてで述べたとおり、今後、有識者会議の議論等も踏まえ、制度の見直しに向けた検討を行ってまいりたい。

質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

この質問主意書に限らず、技能実習の問題はかねてから数多く指摘されてきたこともあり、技能実習の制度変更が行われることになりました。

技能実習→育成就労へと変更されます。

育成就労の概要については、↓の農林中金の解説動画が分かりやすいと思いました。

大きな変更点2点 1.日本語能力を重視する 2.転籍を可能とする(要件緩和)

技能実習制度では、奴隷のような劣悪な環境で外国人が働かされていた現状があったわけですが、今回の変更2点については、いずれも奴隷状態から解放され得る制度変更として評価したいです。

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