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イランの強み

今回はイランについて。

海外各国のことについては、濃淡あるにせよ、ある程度のことは押さえておきたいものです。

要約は以下の通り。

内容は「イランがなぜアメリカや国際社会からの圧力にも屈せず強国であり続けるのか」を、4つの視点(地理・軍事・体制・外交)から分析したものです。


🕌 第1章:地理的な強み ― 天然の要塞国家

イランは山脈と砂漠に囲まれた、侵略困難な国である。

  • ザグロス山脈が西と南に壁のようにそびえ、陸軍が侵入しにくい。
  • カビール砂漠・ルート砂漠が中央に広がり、夏は灼熱、冬は極寒という過酷な環境で軍を寄せつけない。
    この「山と砂漠の二重防衛」により、アレクサンドロス大王やモンゴル帝国でさえ完全制圧できなかった。

さらに南には世界の石油物流の要、ホルムズ海峡を握る。

  • 世界の石油の約21%(日量2,100万バレル)がここを通過。
  • イランがこの海峡を「封鎖できる」能力自体が強力な抑止力となり、各国が軍事攻撃をためらう要因となっている。

⚔️ 第2章:特殊な軍事構造 ― 革命防衛隊と非対称戦

イランの軍事力は二重構造。

  1. 通常の正規軍(国防を担当)
  2. イスラム革命防衛隊(IRGC):体制防衛を使命とするエリート部隊で、最高指導者直属。

この革命防衛隊は軍事だけでなく政治・経済・社会にも影響力を持ち、アメリカからテロ組織指定されている。
正面戦争で勝てないイランは、非対称戦(非正規戦)を徹底強化。

  • 弾道ミサイル・巡航ミサイル開発:敵国を直接攻撃可能。
  • ドローン戦術:偵察・自爆・攻撃型ドローンを大量配備し、ロシアにも供与。
  • 小型高速艇群戦術:ホルムズ海峡での「群れ攻撃」により空母艦隊にも脅威。

さらに革命防衛隊のコッズ部隊が海外ネットワークを統率。

  • パレスチナのハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアのシーア派民兵などを支援。
  • これら「抵抗の軸(Axis of Resistance)」が代理戦争を行い、イランは自国兵力を消耗せずに影響力を拡大している。

🏛️ 第3章:強固な国内体制と結束力

アメリカの長年の経済制裁で経済は苦しいものの、体制は揺るがない。

背景要因:

  1. 歴史と文明への誇り:2500年以上続くペルシャ文明の継承者という自負。
  2. 宗教的統一:イスラム教シーア派を国教とし、他のスンニ派諸国と差別化。

この精神的支柱が1980〜1988年のイラン・イラク戦争で結束を強めた。
外部からの侵攻を「イスラム防衛・祖国防衛」として団結し、国家的抵抗精神を形成。
これが今日の「制裁に屈しない精神力」の源泉となっている。

統治構造:

  • **最高指導者(現:ハメネイ師)**が軍・司法・メディアを掌握。
  • 大統領も「監督者評議会」の承認が必要で、体制に反する候補は排除可能。
  • 革命防衛隊が体制維持の実働部隊として、国内の反政府運動を力で抑え込む。

これにより、若者の不満や女性の権利要求があっても、最終的に体制崩壊には至らない。


🌐 第4章:巧みな外交戦略 ― 孤立せず、逆手に取る

イランはアメリカやイスラエルと敵対しながらも、国際社会で孤立を回避している。

対立の起点:

  • 1979年のイスラム革命で親米王政が倒れ、反米路線へ転換。
  • 同年、米大使館人質事件(444日拘束)により国交断絶。
    →「反米」は国内結束を促す体制のイデオロギー化。

対イスラエル:

  • 国家としての存在を否定。
  • 「影の戦争」として、科学者暗殺・核施設破壊・サイバー攻撃が続く。
  • 2025年6月には、イスラエルがイランの核関連施設を空爆、イランも報復ドローン攻撃を実施。
    さらにアメリカ軍も核施設3か所を攻撃し、緊張が高まる。

大国との連携:

  • ロシア:軍事協力(ドローン供与、シリア内戦での共同支援)。
  • 中国:経済協力(原油購入、2021年に25年包括協定締結)。
    → 制裁を受けながらも「反米陣営」との連携で孤立を回避し、生存戦略を確立。

🧩 結論:イランの「4つの強さ」

  1. 天然の要塞地形(山脈・砂漠・ホルムズ海峡)
  2. 非対称戦を得意とする軍事力(革命防衛隊・ドローン・代理勢力)
  3. 宗教的結束と中央集権体制(シーア派信仰+最高指導者体制)
  4. 反米を軸にした現実的外交戦略(ロシア・中国との提携)

これらが複合的に作用し、アメリカの制裁や軍事圧力にも屈しない国家を形成している。
イランを理解することは、中東情勢全体、ひいては世界エネルギーと安全保障を理解する鍵であると動画は結んでいる。


ところで、日本とイランとの関係と言えば、私は数10年前のビザ免除協定とその停止が頭に浮かびます。

今のクルド人騒動を考えると、この時のビザ免除協定の停止は正しい判断だったのでしょう。

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