テレビ朝日について。
興味深いポストがあったので紹介します。
これとっても重要。
株主56人による共同提案5項目について
テレビ朝日は全力で拒否。これによって
「他者には要求・強要をするが、自分達は一切やる気はない」
テレビ朝日のダブルスタンダード体質がはっきりと記録に残る形になる。 https://t.co/bg691aJfhJ— 茶請け (@ttensan2nd) May 31, 2026
【悲報】テレビ朝日、株主から「プロパガンダすな」「ファストチェックしろ」「女性を役員にしろ」と怒涛の説教コンボを喰らい、秒で「全部反対だお」と突っぱねる件www
テレビ朝日ホールディングス(9409)のIRニュースを要約すると、
・物申す株主56名が結束、ガチの共同提案で5連発のクソデカ要求キタコレ
・「戦前のプロパガンダに戻るな!」と定款に書けと言われ、「もう放送法守ってるから屋上屋を重ねるムーブ、乙」とバッサリ
・「ネットの嘘を暴くファクトチェック事業を定款に入れろ」との要求には、「異質な内容を混在させるな( ゚Д゚)ゴルァ!」と拒否
・「常勤取締役の3分の1を女性にしろ」というジェンダー平等パンチに対しても、「数値で縛ると法的リスクで詰む」とスマートに論破
・長年トップに君臨する番組審議会委員長への忖度を疑われ、「任期を最長10年に制限しろ」と限界オタク並みに詰め寄られる・会社側は「委員長のこれまでの経験値はプライスレス、一律排除とか無理みが強い」と全力で拒否して草
・さらに「番組内で特定出版社の本をステマっぽく紹介すな」と大看板のワイドショーを名指しで晒される事案が発生
・「通報者の保護を定款に書け!」と迫られるも、「コンプラ窓口もうあるしチェック体制は神対応。はい、反対」とお約束のテンプレ回答
・株主からの愛のムチ(説教)を「貴重なご助言として活かします」と綺麗に既読スルーする様式美【結論】「株主からガチトーンで会社の憲法(定款)を書き換えろと迫られるも、大人のロジックと華麗なスルー技術で全弾撃ち落としたテレ朝ニキ」です。
テレ朝の資料は以下。
https://www.tv-asahihd.co.jp/pdf/ir_news/pdf/2026/20260527_shareholder_proposal.pdf
ご提示いただいたPDF(2026年5月27日発表の「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」)を読み込みました。
この文書は、テレビ朝日ホールディングスが2026年6月26日に開催予定の「第86回定時株主総会」に向けて、株主56名から提出された共同提案(5つの議案)と、それに対する同社取締役会の「反対」意見をまとめたものです。
内容の要点を分かりやすく整理しました。
株主提案の5つの議案と取締役会の意見
第1号議案:定款に「公正なジャーナリズム活動」を明記する件
株主の提案理由: 戦前のメディアがプロパガンダ(宣伝)を担った歴史を繰り返さないため、定款に「放送の不偏不党、真実及び自律の保障」を再確認し、公正なジャーナリズム活動を行う旨を新設すべき。
取締役会の意見(反対): すでに現行の定款(目的)に「放送法による基幹放送事業および一般放送事業」と記載されており、放送法の基本原則(不偏不党など)に沿って活動している。重ねて記載する必要(屋上屋を重ねるもの)はない。
第2号議案:定款のネット事業に「ファクトチェック」を加える件
株主の提案理由: SNSなどで玉石混交の誤情報が大量に流れて市民の知る権利を害している。報道機関としてインターネット業務の目的に「誤ったコンテンツの是正やSNS情報の適正化(ファクトチェック)」を含めるべき。
取締役会の意見(反対): 定款のインターネット事業の項目にこれを混ぜるのは不適切。また、ファクトチェックはネットだけでなくテレビのニュース番組でも積極的に行っており、定款に明示せずとも通常の報道活動の一環としてすでに対応している。
第3号議案:常勤取締役の「3分の1以上を女性」とする件
株主の提案理由: 日常の意思決定にジェンダー平等の視点を入れ、業界で問題視されてきたセクハラ・パワハラを防ぐ土壌を作るため、常勤取締役の3分の1を女性とする規定を設けるべき。
取締役会の意見(反対): ハラスメント防止やジェンダー平等の重要性は認識している。今回の株主総会で会社側の候補者が選任されれば女性取締役の比率は21%になる。しかし、定款に数値や属性を固定してしまうと柔軟な人材配置の妨げになり、欠員が出た際に直ちに定款違反となる法的リスクがある。
第4号議案:番組審議会委員・委員長の任期を制限する件
株主の提案理由: 番組審議会の活性化のため、委員の任期を最長10年、委員長は最長8年とすべき。長期間同じ人物が委員長を務める(在任20年、委員長12年など)ことで「長期政権への忖度」などが懸念される。
取締役会の意見(反対): 放送法に任期規定はなく、社内規程(任期1年、重任あり)で対応している。150以上の番組を審議するには一定の経験が必要であり、一律に制限すると柔軟な選任を損なう。人選や在任期間によって放送内容が左右されることはない。
第5号議案:広告と番組の混同(ステマなど)防止に関する定款追加の件
株主の提案理由: 景品表示法の改正(ステマ規制など)や過去の番組(『ワイド!スクランブル』『モーニングショー』など)での特定出版物の取り扱いを踏まえ、「広告と番組の混同の疑いがある際の通報者保護や是正措置」を定款に追加すべき。
取締役会の意見(反対): すでに「コンプライアンス・ホットライン」や報道局内の「放送倫理ホットライン」を設置し、通報者保護や再発防止の仕組みは十分に整っている。また、該当番組での商品紹介は視聴者への情報提供であり、疑いが生じないよう厳しくチェックしている。
まとめ
株主側は「ジャーナリズムの信頼性」「ジェンダー平等」「ファクトチェック」「ガバナンス(番組審議会の新陳代謝やステマ防止)」といった観点から定款の変更を求めていますが、テレビ朝日取締役会は「すでに現状の体制・仕組み、および現行の定款で十分に対応できている(または一律に定款に書き込むと経営の柔軟性を失うリスクがある)」として、すべての議案に対して反対の姿勢を示しています。
上記提案を実現することは可能なのか?どのくらいの株式が必要なのか?
AIに調べてもらいました。
テレビ朝日の株主提案(定款変更)を通すための現実と障壁
1. 必要資金と高いハードル
必要な議決権: 出席株主の3分の2(66.7%)以上(特別決議の可決が必要)。
必要資金: 単独で安全圏を確保するには、約1,500億〜1,600億円規模の株式取得が必要。
2. 立ち塞がる3つの障壁
強固な系列株主: 「朝日新聞社」や「東映」などの親密株主が約50%の議決権を掌握しており、現経営陣を支持しているため、力技での買い占めは構造的に不可能。
放送法の外資規制: 外国人等の議決権比率が20%以上になると放送免許が取り消されるため、海外資本を使った買い増しルートは法的に遮断されている。
3. 現実的な代替戦略
単独での買い占めが不可能なため、以下の2路線が現実的なアプローチとなります。
プロキシーファイト(委任状争奪戦): 数%の株を取得して大株主となり、他の一般株主や機関投資家を巻き込んで賛成票を集める。
経営陣との直接対話: 大株主の立場(発言権)を背景に経営陣にプレッシャーをかけ、定款変更の代わりに「社内規程の改定や運用の徹底」を約束させる。
放送利権を崩すのは難しそうです。
一方で、今回このような株主提案がなされたことは意義があると思います。
2020年の動画を紹介します。
要約は以下の通り。
YouTube動画(チャンネル名:政治専門)は、2020年6月当時、アメリカの資産運用会社であるRMBキャピタルがテレビ朝日ホールディングスに対して行った、異色の株主提案について解説・論評している動画です。
内容の主な要点は以下の通りです。
1. RMBキャピタルによる株主提案の概要
提案の内容: テレビ朝日に対し、「地上波の電波(放送免許)を国に返上すること」を検討するよう提案 [00:00]。
提案の背景(経営面の理由):
目指すべき方向性: 無料の地上波中心のビジネスモデルから脱却し、中長期的にディズニーのような「総合メディア企業」を目指すべきとし、すでに手がけている「ABEMA」などのインターネット・コンテンツ事業へ重点的にシフトすることを求めた [00:20], [01:03]。
2. 提案を行った株主の規模
提案を行ったRMBキャピタルは、当時テレビ朝日HDの株式を1%以上保有していた長期株主 [00:28], [01:12]。
日本の会社法上、1%以上の議決権を(半年以上)保有する株主には株主提案権が認められているため、2020年6月26日開催の定時株主総会に向けた正式な提案として出された [00:35]。
3. 動画投稿者による独自の論評・批判
動画の後半(1分15秒以降)では、この株主提案をフックに、当時のテレビ朝日の番組内容やガバナンスに対する強い批判が展開されています。
大株主の構造: 筆頭株主である朝日新聞社(当時約25%保有と解説)の不祥事や部数問題に言及 [01:23]。
ネットシフトの妥当性: 広告費の主役がテレビからインターネットに逆転している現状を踏まえ、ネットに注力する方向性自体には賛同 [01:36]。
番組報道への批判: 当時、テレビ朝日の『モーニングショー』や『報道ステーション』でなされたコロナ関連の報道(PCR検査に関する解説や、番組内でのクラスター発生など)を取り上げ、「デマや不適切な報道によりスポンサーがつきにくくなっているのではないか」と持論を展開 [01:54], [02:20]。
結論: こうした質の低い報道を続ける地上波電波のビジネスからは撤退し、株主提案を真摯に受け止めて電波を返却すべきである、という投稿者側の見解で締めくくられています [02:30]。
(補足・関連性)
前に触れた「2026年の株主56名による共同提案」はジャーナリズムのあり方やジェンダー平等を求めたものでしたが、この2020年の提案は「ファンド(RMBキャピタル)が企業価値・株価の向上を目的として、ビジネスモデルの大転換(地上波撤退・ネット特化)を迫ったもの」であり、アプローチの毛色が大きく異なる過去の事例となります。
このように、テレビ朝日は株主からのガバナンスや公正な報道を求める声に対して「現状で十分」と一蹴する一方で、過去にはビジネスモデルの根本を揺るがす「地上波電波の返上」すら突きつけられた経緯があります。
他者に対しては厳しいコンプライアンスやジェンダー平等を強硬に要求しながら、自らの組織が問われた際には大人のロジックで全弾拒否を決め込む――こうした姿勢は、まさにメディアの「ダブルスタンダード」そのものと言わざるを得ません。
放送利権の壁は依然として強固であり、民間の一株主の力だけで定款を変えさせることは極めて困難な構造になっています。しかし、こうして株主総会の場を通じて表舞台に企業の体質が記録され、広く国民の目に触れること自体に大きな意義があります。
そして、こうしたテレビの問題については、株主総会のみならず、国会という場で議論を戦わせることも極めて有効であることは言うまでもありません。電波という「国民の共有財産」を原資に既得権益を享受している以上、放送法の遵守(政治的公平性)や外資規制の実効性といったガバナンスの問題は、国政の場でも厳しく検証されるべき公共の論点です。


コメント
RMBキャピタルによる株主提案の背景についてAIをつかって考えてみました。
日本メディア構造の総合解説:なぜ「放送制度のまま配信時代に入った」のか
1. 出発点:日本と欧米のメディア構造の違い
欧米では放送局・スタジオ・広告代理店が役割分担していたのに対し、日本では広告代理店(特に電通)が企画・制作・スポンサーを統合し、「放送のプロデューサー機能」を持ちました。これがキー局体制の基盤となりました。
2. なぜ広告代理店が編成まで握ったのか
地方局には制作能力がなく、「放送枠はあるが中身がない」状態でした。そこに代理店が入り、全国スポンサーを束ねて番組を供給する「スポンサー主導モデル」(タイムスポンサー制)が確立しました。アメリカは1960年代にスポンサー支配を規制しましたが、日本は規制せず、この構造が固定化されました。
3. CATVが「再送信インフラ」に固定された経緯
技術的にはCATVが最もNetflix型に近い構造(双方向通信・STB・VOD)を持っていましたが、フランチャイズ型の地域独占規制により全国ブランド化・制作投資ができず、「ローカルインフラ」に固定されました。アメリカではCATVからCNN・HBOのような全国専門チャンネルが生まれましたが、日本では再送信義務・エリア規制によってその動機が生まれませんでした。
4. なぜ韓国は転換でき、日本はできなかったか
韓国は1997年のアジア通貨危機で産業構造を強制リセットし、CATVを「コンテンツ産業」として設計、CJ ENMのような制作+配信一体型企業を生み出し、制作会社にIPを持たせる政策をとりました。結果、制作会社がIPを保有し海外展開する「企業集中型」になりました。日本は危機がなく制度が安定しすぎたため変化せず、製作委員会方式で「IPが分散」する構造が続きました。
5. ニュース専門チャンネル(CNN型)が育たなかった理由
新聞社とテレビのクロスオーナーシップ(読売-日テレ、朝日-テレ朝など)、県域放送による取材網の分散、ニュースが広告と相性が悪いという3つの要因が重なりました。
6. キー局が「不動産会社化」した理由
テレビ局は放送黎明期に都心の超一等地(汐留、六本木、お台場、赤坂)を取得しました。2000年代に広告収入が伸び悩むと、免許制度による倒産リスクの低さを背景に、安定収益源として不動産再開発(六本木ヒルズなど)にシフトし、コンテンツ投資より不動産収益に依存する構造になりました。
7. キー局体制の「強さ」の正体
制度的(免許・ネットワーク支配・クロスオーナー)には強いものの、産業競争力(IP保有・データ・グローバル展開)では弱体化しています。「強いのはキー局ではなく免許制度そのもの」という整理です。
8. 「キー局は多いがチャンネル数は少ない」構造
地上波中心で発展し、CATVが再送信に固定され、BSも新規市場ではなく既存局の延長として設計されたため、「1局=1チャンネル」のまま横展開(チャンネルブランド化)が起きませんでした。
9. 海外との分岐点:広告モデルの進化速度
海外(特に米国)は1970年代からケーブルの多チャンネル化が進み、視聴率が分散したことでターゲット広告・課金モデル(HBOなど)へ移行し、「視聴率産業」から「コンテンツ産業」へ転換しました。日本は地上波の視聴率が崩れなかったため、変化の圧力が生じませんでした。
10. テレビの「ショー化」とニュース構造
1985年の「ニュースステーション」を転換点に、広告主導(広告→編成→番組という逆順)でニュースが番組コンテンツ化しました。しかし責任構造(編集基準・アーカイブ責任)は更新されず、広告モデルのまま継続しました。
11. 製作委員会方式とアニメの例外性
テレビドラマ・バラエティは放送依存型でしたが、アニメ・ゲームはパッケージ販売・海外展開・キャラクターIPという放送に依存しない収益構造を早期に確立していました。製作委員会方式(出版社・テレビ局・玩具会社などの共同出資によるリスク分散モデル)は、たまたま結果的に配信権販売・海外ライセンスとの相性が良く、Netflix等との関係構築に有利に働きました。ただ制作会社に恩恵があるとはいい難いでしょう。
12. 制作会社の「下請け化」構造
日本の製造業的な「元請け-下請け-孫請け」モデルがコンテンツ産業に持ち込まれ、番組は「消耗品」、制作会社は「変動リスク吸収装置」として扱われました。IPはテレビ局側に残り、制作会社は資本蓄積もIP保有もできず、企業として成長できませんでした。これは「搾取目的」というより「IPという概念自体が当時弱かった」結果でもあると整理されています。
13. 世界のメディア企業の3分類と日本の位置
世界のメディア企業は「コンテンツ型(Disney、CJ ENM)」「プラットフォーム型(Netflix、YouTube)」「インフラ型(通信会社)」に分業が進んでいますが、日本のキー局はテレビ局がすべてを担おうとした結果、いずれの型にも完全には属さない中途半端な状態になっています。
14. 今後の展望
放送法と通信法が統合されればIPTV・OTT・CATVの区別が消え、全国IPTVが成立する可能性があります。キー局再編(5局体制から2-3グループへ)、テレビ局のコンテンツスタジオ化、通信会社×制作会社の統合などが現実的なシナリオとして示されています。日本の強みはアニメ・ゲーム・漫画のIP力であり、課題は「出口(配信・資本の産業設計)」にあるとまとめられています。
総括: この一連の議論の核心は、「日本は『放送制度』のまま『配信時代』に入ってしまった」という点です。広告代理店中心の構造、県域放送、クロスオーナーシップ、製作委員会方式といった個別の論点はすべて、「広告産業構造への過度な最適化」という一つの根本原因に収斂しています。
「権利とリスクの表裏一体性」という視点からの総括
ご指摘の「本来、権利を持つこととリスクを負うことは表裏一体である」という点は、これまでの議論全体を貫く構造的な歪みの核心を突く整理だと思います。これを軸に、ドキュメント3で展開された「構造設計」論と、これまでの「権利は上、リスクは下」という構造を結び直してみます。
本来あるべき対応関係:権利とリスクの一致
経済の基本原理として、リスクを取る者が、その見返りとしてリターン(権利・資産・収益)を得る、という対応関係があります。投資家が資金を出してリスクを負うからこそ株式(権利)を持ち、起業家が失敗のリスクを引き受けるからこそ事業の利益を得る、という形です。欧米の構造では、これが基本的に保たれています。リスクを負うのは資本であり、その資本が権利(IP、株式、プラットフォームの所有権)を持つという一致が成立しています。
日本型構造での「権利とリスクの分離」
これに対し、日本型の構造(元請→下請→孫請、テレビ局→制作会社→フリー)では、この対応関係が分離・逆転しています。
リスク(変動費、雇用の不安定さ、品質責任、納期責任)は下位層に集中する一方、権利(IP、ブランド、最終的な収益の大部分)は上位層に留まります。つまり「リスクを取らされる側が、その対価としての権利を得られない」という、本来の経済原理から外れた状態が常態化していることになります。
これがご指摘の核心であり、ドキュメント中で「日本型外部化(契約が曖昧、力関係で決まる、従属)」と呼ばれていた状態の、より本質的な定義と言えます。
なぜこの分離が「構造設計の欠如」と直結するのか
「構造企業 vs プロダクト企業」という対比に接続すると、この分離の理由が見えてきます。
構造設計型の産業(欧米型)では、「誰がリスクを取り、その見返りに何を得るか」という設計そのものが産業の出発点になります。プラットフォームを設計する企業は、巨額の投資リスクを取る代わりに、OSやエコシステムという権利を握ります。IP産業も同様で、制作会社が企画・開発のリスクを取るからこそ、IPという資産を保有する正当性が生まれます。
一方、日本のように「技術・現場・品質から入る」発想(プロダクト思考)では、「権利をどう設計するか」という問いがそもそも最初に存在しません。発注者(テレビ局など)はすでに権利(放送免許、ブランド、編成権)を持った状態で出発し、制作という実務だけを下位に委ねます。この時点で、権利配分はすでに固定済みであり、後から参加する制作会社・フリーランスは、リスクだけを引き受ける立場に自動的に置かれることになります。
つまり、「権利とリスクが分離している」のではなく、「権利配分の設計という行為自体が最初から欠落していた」ために、既存の権利保有者(資本・組織の上位)がそのまま権利を持ち続け、新規に参加する側がリスクのみを背負うという非対称が、設計されたものとしてではなく「自然な前提」として固定化された、という見方ができます。
「制作中心制度」との関係
「作品完成=終了(制作中心)」と「作品完成=スタート(IP中心)」という対比も、この権利・リスクの一致/分離と表裏一体です。
「作品完成=終了」という発想では、完成後に何が起こるか(収益化、二次利用、権利の運用)への関心が薄いため、「その後のリスクと収益を誰が引き受けるか」という設計問題そのものが意識されません。結果として、完成までのプロセス(制作)におけるリスクだけが下請けに残り、完成後の権利だけが発注側に残るという、時間軸上の分離も生じます。下請けは「完成までのリスク」を負い、発注側は「完成後の権利」を得るという、二重の非対称が成立しているとも言えます。
まとめ:この視点が示す日本の課題の本質
これまでの議論(放送制度、CATV、製作委員会、韓国との比較、製造業との共通性)を一本につなぐと、「権利とリスクの表裏一体性」という原理が日本の産業構造のあちこちで意図的にではなく構造的に切り離されている、という点が見えてきます。
「必要なのは制度・資本・文化の3条件」と整理していますが、制度面では権利配分のルールが未整備、資本面では誰がリスクマネーを出し誰が見返りを得るかの設計が弱い、文化面では「リスクを取った者が報われるべき」という規範自体が組織内の力関係によって希薄化している、という具合です。
日本の課題は「権利とリスクを再び一致させる設計」をどこで、誰が行うか、という一点に集約されると言えるでしょう。
続報:
電波利権の機関紙(?)の「電波タイムズ」の記事
民放連 ジェンダー平等推進へ提言 早河会長「経営側が本格的に取り組むということが重要」2026年6月14日
日本民間放送連盟(民放連、東京都千代田区、会長=早河洋・テレビ朝日会長)は12日、放送業界における男性優位の構造を改革し、多様な価値観を尊重する社会の実現を目指す「民放業界におけるジェンダー平等推進のための提言」を公表した。本提言は、昨年5月に策定された「民放連・緊急人権アクション」の一環として設置されたプロジェクトによるもので、同日開催の会員協議会で全会員社と共有された。民放連は今後、この提言を指針として、会員各社に取り組みを促すとともに、業界全体の不平等解消に向けた検討を継続する。
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株主提案を否決したテレビ朝日会長が民放連の会長として、ジェンダー平等推進は経営側が本格的に取り組むということが重要という資格があるのでしょうか?(個人的にははなっから女性幹部を3分の1以上などで数字で決めることは好ましいとは思わないが・・・)
これは提案に関わらず外部の人間(株主)が定款変更をしてしまうことそれ自体を断固拒否しているのは明らかで、放送局にとって定款変更が通ってしまった時点で利権が終わるということなのでしょうね。